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2010年08月06日
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1987年から23年 24回目の出展
30歳から 53歳に 歳月は飛び去った・・・・・

若かったあのころ・・・・・

    ↓

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2年目の出展ですわ・・・・

毎年8/7・8・9.10の4日間 京都の五条坂は陶器まつりでにぎわいます。
東大路から鴨川までの国道1号線ぞい、北の歩道も南の歩道も両側にやきものを
売る店、包丁を売る店、たこたき、ラムネの夜店が立ちならんで・・・
1年でこの日だけ国道で分断された五条坂の北と南をひとびとが行き交います。

もともとは六波羅密寺(珍皇寺)さんの御盆行事『お迎え鐘』を突きに来やはる
参拝客をあてこんで、どこぞの窯元がみかん箱に傷モン並べて売り出したら
エライ当ったそうで今や90年ぐらいつづく京の夏の風物詩に。
400ぐらいの出店とか。


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独立当初 踏み迷った時期もあったんですわ、けど思いは定まった

   日常の用に供する器をつくる工芸の芸人
   ぼくなりの『芸』がもりこまれた器を・・

元気になって日常食器を作り、京都のお店に持ち込んでかぼそいながらも
作っては見てもらい、少しずつお納めできるようになりました。

87年の6月にカミさん里美の年季が明けていっしょに暮らすようになりました。
そしてたまりにたまった二番手の品を持って清水焼団地と五条坂の陶器祭にふたりで
店出ししました。

清水焼団地は梅雨まだ明けやらず、五条坂は暑い夏。
はじめての出店でいろんなことを学ばせてもらいました。


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  五条坂で学んだことのいくつか

◇こんなにやきものを愛してる人がいてくれる!
 暑い中すごいエネルギーを使って「良くて安いやきもの」を探そうと
 何万人も五条坂に集まってくる!そしてぼくの作った物を好んでくださる!

  ほんとうに勇気づけられました。
 「道ばたで物を売る」というはじめての経験もぼくには合ってました。
  2つの出来事がすごく心にのこっています・・・

◎ぼくらのような個人作家は焼物屋仲間のつてを頼って五条陶栄会(陶器まつり運営
 母体)に出店申し込みのはがきを出してOKをもらい、出店料(3万円ほど)を振り
 込み、前日の6日にテントを張りに五条坂に行きます。
 場所は記号がふってあって各出店者の名前がチョークで歩道に書いてあります。
 その年、ぼくのまわりはみんな初出店の人ばかり、白ペンキで表示のあるそれぞれ
 の持ち分はけっこう狭い。横にひろがると隣に悪いんで、ついつい前へひろげてし
 まうんです。すると歩道の両側に店あるんやから通れるトコが狭くなる。
 でもまあ通れるしその場のみんなでこんなもんでショーとか言って帰りました。
 つぎの日の初日7日の朝8時に来てみると・・・

 南側歩道まん中へん五条郵便局のあたりは有田・瀬戸・美濃の機械もんを売ったは
 る業者さん、テキヤさんです。うどんの鉢1ダース積み上げて「千円っ!」とかの
 啖呵バイもあります。
 南側歩道は陶栄会ではなくテキヤさんが仕切ったはるんやけど、
 その中の世話人さん(五十がらみの日に焼けたオッチャン)が

「たったいますぐ、この辺りの全員、道路の表示まで店を縮小せよ」と

 静かに、だけど重みのある申し渡しをしゃはりました。でもテント自体大きいのを
 張ってる人もいるし、昨日半日かけて焼物きれいに並べ終わってるし、みんな相当
 の量を展示してて、お客さんもそろそろ来はじめてるし、これいまからやり直すと
 なるとまた半日仕事・・・出してる人間の一人がちょっと気色ばんで抗議しました、

「はじめてで分からなかったけど、通行に支障はないし、今回はこのまま出さしてほ
 しい。事前の十分な説明がなかったンやから・・・」

 テキヤさんは東濃弁でこう言わはりました。

「あんたたち作家さんは葉書1枚を出すだけやが、ワシらテキヤはどこの祭に出すに
 してもかならず寄りをして『地割り』というコトをする」
「テキヤどうしの店店がちゃんとどことも商売がなりたつように、休むモンがいると
 きは人の流れを考えて配置を変えたり・・・」
「かならず集まって時間を使こーて地面を割る。そーやって『地べた』をもらう」

「あんたたちは芸術家かシランが葉書1枚で前の日ここへ来てにテント張って、
 三人が楽にすれ違えると言われるが、夕立ちが来て何十人もが京阪にむこうて一斉
 に駆け出しても通られようか。車椅子の人も通られようが、足の弱いモンも。」
「事故が起こったらあんたたちが困るンやのーて、この陶器祭に店出ししてるモン
 みなが困られる、ケーサツの許可が取り消されたら来年の陶器祭はのうなる」

 ぼくら全員3時間かけてやりなおしました。
 『地べたもらう』・・・しびれましたね。
 あのおやっさんのサカヅキ貰おーかと思いましたね。

◎もうひとつ。
 カミさんに店番まかして、ほかの人のもん見てまわるのンも楽しい勉強。
 郵便局前であのおやッさんにあいさつして東大路のほうへあがって行くと
 いちばん東よりの歩道橋の下にオジイが小体な店出しの準備中。
 50cm四方の机と椅子、テントなし、これがこのオジイの出店のすべて。
 そしてオジイは今しも販売する商品をならべるために自分の店の前に
 かがみこんでて何を売ろーとしてるのかワカラン。
 近づいてのぞきこんで見ると・・・

 カエル。 1cmにも満たないカエルのやきもの。
 財布に入れとくとお金がカエルというまじないのカエル。
 これも陶器まつりで売り買いされるやきもの。
 
 そのオジイは2~300はあるちっちゃい、ちっちゃいカエルを一生懸命に
 お客さんの目線にあわせて正面にむけて1個づつ、1個づつ並べてました。
 几帳面に少しカーブをつけて。後ろに立ってるぼくにも気づかんと一心不乱に。
 地面にはオジイとぼくの影がすごく濃くあって、ときおりオジイは汗をぬぐいます。
 品もンを汚さぬように・・・胸を突かれました。

 ほんとにいろんなベンキョウをさせてもらい、商売をさせてもらい、
 取り引きを申し出てくださるいくつものお店の方と出会わせてもらいました。
 独立して2年。地道に焼物をつくって頑張っていけばやっていけると
 初めて思ったのがこの時の五条坂です。87年夏。


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 4ケ月後の12月9日に左目の視力を失いました。交通事故。
 カミさんに運転をかわってもらってシートベルトをするのん忘れました。
 してたカミさんは無傷。道路左端に駐車中の乗用車にノーブレーキで激突。
 事故直後いちばん最初に思ったこと。
「あーこれで当分寝てられるぅ」(書いててナサケナイ)
 左眼裂傷。すぐ分かりました。左はダメだと。
 右はセーフ。「きっとダイジョーブ」そうも思いましたが・・・

 29日間で退院、正月明けから仕事再開。でも・・・
 カミさんには仕事するフリして仕事場で文庫本読んでました。

 使いもンにならない大きさの湯のみをまる1日挽いてて気づいた時の気持ち・・・
 見ようとして見えへんねんけど前とおんなしに仕事しようとして
 できひん時の気持ち・・・
 スグには出来んでもやってるうちにかならず出来るようになるはず、
 という強がり・・・
 その訓練をやった先で出来ないということを確認せんなんかもという恐れ・・・
 そして生まれついての怠惰な性格、
「こんだけの目にあったんやからもうちょっと遊んでてもエエやろ」・・・
 その全部がないまぜになって仕事してるフリしてました。

 でもカミさんは2階で機を織りながら見えてたんですね、ぼくが仕事してないの。
 それである日ぼくにむかって涙ながらに感情をぶつけました。

「いろんなことの不安や怒り、あんたの気持ちを私にぶつけてくれないことが
 なによりツライ!」

 これでふっきれました、うちのカミさんはすごい人です。
 その日から顔の左を覆ってるガーゼをはずしました。
 もう必要はなくなってたけど外せなかったンで・・・
 なんていうかそん時の顔はいっしょに食事する人のごはんがマズくなる顔で・・・
 自分でも見とーなかったしカミさんにも見られたなかったし・・・

 そうしてる頃に仕事の電話がいくつかはいりました。
 前年の夏、五条坂でぼくの物を買ってくださった人たちから。
 むこうも事故のことは知らはりません、こっちも話しません。

「もうじき永年つとめた保母をやめる、ついては世話になった同僚にその人の
 誕生月にあわせた花の図柄と名前を入れて贈りたいけど・・ひとつ600円で
 20個ほどやってもらえんやろか」
 
 日を限られた仕事。こんな注文がその時期に4件ほども・・・
 五条坂で知り合った方たちがぼくに仕事をさせてくれはりました。
 それが訓練になり、訓練すればなんとかなり・・・
 そのときの花の図案のいくつかは、お店の方でもやってもらおうということに
 なり、定番に育ち・・・

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 こんなふうに五条坂の陶器祭で出会った人たちに助けられて
 ぼくは仕事をつづけてこられたんです。
 だから命のあるかぎり五条坂陶器まつりには出します。
 人間国宝になっても(笑:それはない)、五条坂の道ばたで
 自分の良いと思う焼きもんならべて買おていただきます。
 
 あれから出し続けて今年で24回目。
 毎年、毎年うれしい出合いがあります。
 30才の夏から比べるとさすがに最近はえろうなってきました。
 でも今年も、京都のあついあつい陽に焼かれに行きます。
 そして天の底のぬけたみたいな夕立ちを浴び、
 そのあとの夕焼け空を愉しみに行きます。

                      2010年 8月6日   中根 啓
 


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へー おーきにぃ 

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  つたないブログではございますけども
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  ご反応を頼りに この先もと・・・
 
 なにとぞ クリックでのお力添え
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最終更新日  2010年08月06日 05時36分16秒
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