2007/05/03(木)01:04
有吉佐和子 「香華(こうげ)」
どなたに教えてもらったんだか。「印象に残っている本は?」
と質問したとき、コーチングのTさんが
「有吉佐和子の香華」
と答えてくれた気がする。たまたまうちには妹の読みさした文庫本がいっぱい。
ちゃんと「香華」もあった。 和歌山出身のヒロイン達だし、
出だしから突飛な設定で先が気になる。とうとう朝の5時半まで読んでしまったけれど、
持って行き場のない怒りのようなものが残り
嫌な気分だった。 そう言えば前にも有吉佐和子を読んで、
後味が悪かったように思う。
きっと知りたくない、関わりたくない部分が
題材になってるからだなぁ。 私には両親がいて、
どこの出身か先祖がどうだったとか分かっているし、
旦那もいて子供もいて、手の中にはごくあたりまえの幸せがある。この本を読んで、私の親はこうでなかったから良かったと手放しで喜べもしないし、
もし私がこういう境遇だったらどうしたかなど、考えてみたくもない。とても心をかき乱す小説ではあったけど、
好きな本ではありませんでした。 所詮私はつらいものや汚い部分から逃げているだけで、
本の中で夢をみていたいお子ちゃまということでしょうか。そういえば昔。
牛やブタを食用のために殺す事実を知って
ひどく可哀想な気がしたのに、
そして決して自分では手を汚したりはしないくせに
平気で牛肉や豚肉を食べる自分が受け入れられなかった。親切な善人面して、実は自分のことばかり。
そしてそれに気づきもしない厚顔さ。 読みたくない本こそ、私が読まねばならない本なのかなぁ。