笑顔

本当に凍えるような、寒い日だった。

ミニバスが、満席になるまで待たなければならず、満席になるまでの一時間。
二人の若いパレスチナ人、そして私と日本人男性。
一人は片目が見えず、足も不自由のようだった。
彼らは英語が話せるという訳でもなかったが、一生懸命、私たちに話しかけてきてくれた。
彼はどうやら10歳の頃、イスラエル軍に片目と片足を不自由にされたらしかった。

「死亡」と「負傷」。
その瞬間、どうしても「負傷」の方が、私の中で軽く受け取られているらしいことに気づいた。
実際に負傷者を目の前に、その「負傷」がどれだけその人の人生を狂わすか、を目のあたりにし、私はぞっとした。


「僕らはイスラエル人が嫌いなんだよ」
彼らは、笑顔で私たちにそう言った。

そして二人で、何かアラビア語で話し合った後に、バスの向こうへと姿を消し、
5分後、パレスチナ伝統の食べ物と、温かいカフェオレを

笑顔、で私たちに渡してくれた。




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