441291 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

ゆかママンのハッピーな毎日

ゆかママンのハッピーな毎日

さよならした日

いよいよこの日が来てしまった。

一生忘れられない日になるだろう。しゃーとさよならしなくちゃいけない日。お腹から出してあげなくちゃいけない日。
パパと2人で同意書にサイン。辛いけどこれが現実なんだ。しゃべったら涙が出てきそうでずっと黙っていた。
朝9時に病院に行くため、8時過ぎには母と妹が翔たんを見に来てくれた。2人が来て大はしゃぎの翔たん
その無邪気さが救いであり、でも辛くなってしまう。気が疲れないようパパと病院へ行く。家に戻る時は
しゃーはもういないんだ。覚悟をしてたから涙を我慢して病院まで行けた。でも怖い。すごく怖い。
これから起こること全てが怖い。でもしゃーはお腹の中でたった1人、もっと不安で怖いよね。
ママと一緒に頑張ろうね、1人じゃないよ、何度も言い聞かせる。

いつもの待合室、どんどん増える妊婦さん。気を強く持っていないと号泣しそうで、待っている数十分はすごく長かった。
内診もなく、意思確認と体調の確認だけして、手術のため別室へ移動。入院患者が使う部屋に通される。
目の前は新生児室。本当だったら10月に入院してたはずなのに・・・。翔たんを妊娠中に妹に買ってもらった
妊婦用のパジャマに着替える。幸せの象徴のこのパジャマ、こんな悲しい理由できるなんて想像もできなかった。

病室でパパと二人になり、着替えながら我慢していた涙が抑えられなくなった。しゃー ごめんね。 パパ ごめんね。
私のお腹に来てくれたしゃー、短い時間を精一杯生きてくれたしゃー、あなたは私達に本当に沢山の事教えてくれたね。
家族の絆、親子の絆、夫婦の絆を深くしてくれたね。パパはママがしんどい時、家のことも翔たんのお世話も
全部してくれたんだよ。翔たんはうまれてくる赤ちゃんのために、頑張っておっぱいとバイバイできたんだよ。
そしてあなたは、ママにお腹にいる命の愛おしさ、幸せを教えてくれたね。
本当は産んであげたかった。この手に抱きしめたかった。しゃーに会いたかったから、悲しくて辛いよ。
でも、あなたをお空に返してあげなくちゃいけない時が来てしまったんだね。あなたがお腹にいるとわかってから
1月と少し、短い間だったけど、たくさんの幸せをありがとう。

やがて点滴に看護婦さんが来る。でもヘタクソで何度も刺されては失敗され、死刑執行を待つ囚人の気分。
結局点滴は手術室ですることになり、ここでパパとお別れ。この部屋に戻る時、しゃーはいない・・・。
手術室、やっぱり怖い。でももう現実を変えることはできない。
時計を見ると10時過ぎ。最後の時が一刻一刻と過ぎていく。涙は出るけど不思議と冷静になりつつある私。
悲しすぎて麻痺しちゃったのかな。

点滴をし、血圧や酸素マスクの準備ができ、医者が来て麻酔をしますと言われたけど
いつどこから麻酔が入ったのかもわからなかった。看護婦さんに一緒に数えて下さいと言われる。
数えながら眠れるわけないだろうが!そう思ったのにいつのまにか記憶がなくなっていた。

そして朦朧とした意識の中で、医者と看護婦が話す声が聞こえる。既に手術は終わっていたのだ。
「私いくつまで数えてた?」そう聞くと「11よ」とのことだった。8までしか記憶にない。
目は覚めたけど、体も頭も麻痺している。このまま心も麻痺してしまえたらいいのに。涙も出なかった。

パパの待つ部屋に戻り、少しお話し。ベッドから見える空は真っ青でなんていい天気なんだろう。
こんな気持ちのいい日に天国にいけてよかったんだよね。きっとお空で先に天使になった樹里と遊んでるよね。
そんなようなことを話して眠ってしまった。

目が覚めると正気に戻ってて、あぁ、夢じゃなかったんだと思って涙。
足元もだいぶしっかりしてトイレに行き、夢じゃなかった証拠を見てまた涙。
手術前は絶食なので、前の晩から何も食べてなくて、お腹が空いていた。
おにぎりと味噌汁の軽食が出た。こんな時でもお腹は空くんだな、私生きてるんだなぁ、食べながら考えた。
何とか歩いて家まで帰る。空を見上げながらしゃーを思う。切ないけど暖かい気持ち。

ただいまと家に帰ったら、ママ と翔たんが駆け寄ってきた。あなたがいてくれなかったら、パパとママはボロボロだった。
母が仕事に遅刻して行った後、妹がしばらく1人で見ててくれたのだけど、泣いたりもせずいい子にしてたみたい。
えらかったね、翔たん。

色んなこと考えては後悔したり悲しくなったり、気持ちは不安定。
パパも協力的だし、しばらく実家で静養するから、体はすぐに回復するだろう。
心はゆっくりゆっくり、前に進んでいければい。
前進できそうにない時は、無理しなくていい。自分の気持ちに正直にいたい。
心を抑え偽る苦しさは、我慢しないでいこうと思う。


© Rakuten Group, Inc.