●交サドンデス
この日、小樽のタクシー会社が一社破綻した。
昼頃には、この会社の営業車が忽然と姿を消したのだ。金曜日の忙しい日にどうしたのだろうか。
思い出してみれば、うちの会社から●交へと移籍した運転手さんと話をしたとき、給料を二回に分けて払うと言われたそうだ。
この時点で●交の信用不安は加速度的に広がっていったのかもしれない。
それにしても●交はどうしたのだろう?
5年前私が初めてタクシーに乗務した頃は、私の車をパスして後の●交の車に乗って行かれることがしょっちゅうだったのに。
あの時は本当にくやしい思いをしたし、それと同時に羨ましくもあったものだが。
その一方で、「●交の車は随分荒い運転をするなぁ」とも思ったものだった。
寿司屋通りのところで他のタクシードライバーと話をしていたかと思えば、タイヤを鳴らしながら猛然とUターンしていったのもいたし、極めつけは小樽一の急坂、旧石山中学の坂を下りながら私の営業車を追い越して行ったドライバーまでいたのであった!それもお客様を乗せながら。
私の営業車には警察の方が乗っていたのだが、二人揃って開いた口がふさがらなかったのを今でも覚えている。「随分とまあ血の気の多いやっちゃなあ。」
もちろんすべてのドライバーがそうだとは思わないが、私はこの時以来●交の車をみると思わずハンドルとブレーキを構えるようになったのであった。〈終>