◆ 1月15日 歌会始
♪ 定職を持たざる国家公務員 年初に開く歌会の御儀‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 今年も歌会始の儀が1月15日、宮殿 松の間で開かれました。 元は成人の日でもあったこの日は、私の誕生日でもあります。小正月に当たり元服の儀が行われていたことに由来するのですが、公布・施行が私の生まれる前年1948年7月)ということで、何かと因縁を感じる日でもあります。 読師(どくじ)(司会役)、講師(こうじ)(全句を節をつけずに読む役)、発声(はっせい)(第1句から節をつけて歌う役)、講頌(こうしょう)(第2句以下を発声に合わせて歌う役)の諸役によって進行される。 まるで長鳴き鳥のように、長~~~く伸ばして読まれるのを聞いていると、あまりに長いその間に耐え切れず、歌の世界から気がそれて行ってしまいます。 今回も応募したが、当然一般の十首には選ばれずTVで眺めるだけだ。もし選ばれて、会場で以下の歌の数々を聴いていたら一体どんな心持がするのでしょうか。その場にいる体験を歌にしようと、そっちの方へ気をやって耐えるのかも知れないなどと下らんことを思っている。 天皇、皇后両陛下と皇族方、選者、入選者らの歌は次の通り。 お題は「静」。〈天皇陛下〉 慰霊碑の先に広がる水俣の海青くして静かなりけり〈皇后さま〉 み遷りの近き宮居に仕ふると瞳静かに娘(こ)は言ひて発つ〈皇太子さま〉 御社の静けき中に聞え来る歌声ゆかし新嘗の祭〈皇太子妃雅子さま〉 悲しみも包みこむごと釜石の海は静かに水たたへたり〈秋篠宮さま〉 数多なる人ら集ひし遷御の儀静けさの中御列は進む〈秋篠宮妃紀子さま〉 いくつものボビンを子らは繰りながら静かにイドリアレースを編めり〈秋篠宮家長女眞子さま〉 新雪の降りし英国の朝の道静けさ響くごとくありけり〈常陸宮妃華子さま〉 秋祭君の挨拶を聞かむとし子供神輿の子らは静まる〈三笠宮妃百合子さま〉 思ひきや白寿の君と共にありてかくも静けき日々送るとは〈寛仁親王妃信子さま〉 わが君と過ごせし日々を想ひつつ静かにながるるときありがたき〈寛仁親王長女彬子さま〉 夏の夜に子らと集ひし大社静寂(しじま)の中に鈴の音聞きぬ〈高円宮妃久子さま〉 灯籠のあかりともれる回廊を心静かに我すすみゆく〈高円宮家長女承子さま〉 静けさをやぶる神社の鳥の声日の落ちてよりいづる三日月〈高円宮家次女典子さま〉 かすみゆく草原(くさはら)に立ち眺むればいとど身に沁む静けさのあり◆召人〈芳賀徹さん〉 子も孫もきそひのぼりし泰山木暮れゆく空に静もりて咲く◆選者〈岡井隆さん〉 朝霧のながるるかなた静かなる邦あるらしも行きて住むべく〈篠弘さん〉 一瞬の静もりありて夕駅へエスカレータは下りに変はる〈三枝昂之さん〉 から松の針が零れる並木道みんな静かな暮しであつた〈永田和宏さん〉 歳月はその輪郭をあはくする静かに人は笑みてゐるとも〈内藤明さん〉 手に載せて穴より覗く瓢箪の静けき界に心はあそぶ◆入選者(年齢順)〈愛知県 伊藤正彦さん(83)〉 いなづまのまたひらめきし静かなる窓ひとつあり夜をひとりあり〈山口県 中西輝磨さん(82)〉 目の生れし魚の卵をレンズもて見守る実験室の静けさ〈徳島県 藤本和代さん(65)〉 おほいなる愛のこもれる腎ひとつ静かに収まる弟の身に〈北海道 佐藤真理子さん(64)〉 プレートよ静かにしづかに今しがた生まれたひとりが乗らうとしてゐる〈群馬県 山口啓子さん(60)〉 ひとり住む母の暮しの静かなり父のセーター今日も着てをり〈大阪府 前田直美さん(52)〉 嫁ぐ日の朝(あした)に母は賑やかに父は静かに食卓囲む〈福島県 冨塚真紀子さん(32)〉 吾の名をきみが小さく呼捨てて静かに胸は揺らいでしまふ〈東京都 樋口盛一さん(29)〉 静けさを大事にできる君となら何でもできる気がした真夏〈東京都 中島梨那さん(20)〉 二人分焼いてしまつた食パンと静かな朝の濃いコロンビア〈新潟県 加藤光一さん(16)〉 続かない話題と話題のすきまには君との距離が静かにあつた 一昨年(19,726)、去年(18,429)は応募者が少なかったが今年は少し増えて、22,603首の応募があった。平成17年には28,785首あったのは例外としても、2万首以上を維持してきている。 前2年よりも増加したのは、景気の上向きと関連があるのかもしれない。 天皇がお催しになる歌会を「歌御会(うたごかい)」といいます。宮中では年中行事としての歌会などのほかに,毎月の月次歌会(つきなみのうたかい)が催されるようにもなりました。これらの中で天皇が年の始めの歌会としてお催しになる歌御会を「歌御会始(うたごかいはじめ)」といいました。 鎌倉時代中期,亀山天皇の文永4年(1267年)1月15日に宮中で歌御会が行われており,『外記日記』はこれを「内裏御会始」と明記しています。 歌御会始は,江戸時代を通じほぼ毎年催され,明治維新後も,明治2年(1869年)1月に明治天皇により即位後最初の会が開かれました。以後,改革を加えられながら今日まで連綿と続けられています。 明治7年(1874年)には一般の詠進が認められ,これまでのように皇族・貴顕・側近などだけでなく,国民も宮中の歌会に参加できるようになりました。 大戦後は宮内省に置かれていた御歌所が廃止され,在野の歌人に選歌が委嘱されました。また,広く一般の詠進を求めるため,お題は平易なものとされました。預選者は,式場への参入が認められ,天皇皇后両陛下の拝謁や選者との懇談の機会が設けられるようになりました。召人は広く各分野で活躍し貢献している人々を選び,陪聴者の範囲や人数を拡大しました。 また,テレビの中継放送が導入されて,さらに多数の人々が歌会始に親しむことができるようになりました。こうして歌会始への国民参加は,ますます促進されました。◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。★ 「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)☆短歌集「ミソヒトモジ症候群」円居短歌会第四歌集2012年12月発行●「手軽で簡単絞り染め」