3547760 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

歌 と こころ と 心 の さんぽ

歌 と こころ と 心 の さんぽ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2013.02.16
XML
テーマ:短歌(1696)
カテゴリ:TNK楽歌31


♪ 日本語の妙なる調べ五と七の素数に宿る愛(は)しきことだま




‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥




 日本語は、昔から五音と七音による言葉の韻律が、文芸や歌舞音曲の根本的な形式として受け継がれてきました。

 俳句・川柳や和歌・短歌は言うに及ばず、今様や都々逸(どどいつ)、能や浪曲、地唄や長唄、近松の戯曲や人形浄瑠璃、そして近代の詩や現代歌謡曲、交通安全標語にまで七五調の韻律が無くてはならないものとして息づいています。

『五七調』
 近松の最初の作品「世継曽我」の「道行」 五七 五七 五七 五七 ・・・
 「さりとても恋はくせもの みな人のまよひの渕や 気の毒の山よりおちる ながれの身うきねの琴や 調べかや引手あまたに 繁げれど思い出すはかの一人~」

 島崎藤村「千曲川旅情の歌」 五七 五七 五七 五七 五七 ・・・
 「こもろなる、こじょうのほとり、くもしろく、ゆうしかなしむ、みどりなす、はこべはもえず、わかくさも、しくによしなし……」

 水前寺清子「三百六十五歩のマーチ」 五七 五七 五七 五七 五七 ・・・
 しあわせは 歩いてこない、だから歩いて ゆくんだね、一日一歩 三日で三歩、三歩進んで 二歩さがる、人生は ワン・ツー・パンチ、汗かき べそかき 歩こうよ、あなたのつけた 足あとにゃ、きれいな花が 咲くでしょう

 朝日新聞に諏訪哲史・作家が書いているエッセイの 巻之 百三十五 平成貧窮悶倒歌(もんどうか)も、この回は堂々の五七調だ。


クリックで拡大

『七五調』
「平家物語」 七五 七五 六五 七九  
 祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす 
 
 白波五人男の一人『弁天小僧菊之助』 七七 七五 七五 七五 七五 七七・・・
 「知らざあ言って 聞かせやしょう、浜の真砂と 五右衛門が 歌に残せし盗人の、種は尽きねえ 七里ヶ浜、その白浪の 夜働き、以前を言やあ 江ノ島で、年季勤めの 稚児が淵、百味講で散らす 蒔き銭を あてに小皿の 一文字、百が二百と 賽銭の、くすね銭せえ 段々に、悪事はのぼる 上の宮、岩本院で 講中の、枕捜しも 度重なり、お手長講と 札付きに、とうとう島を 追い出され、それから若衆の 美人局、ここやかしこの 寺島で、小耳に聞いた 爺さんの、似ぬ声色で こゆすりたかり 名せえゆかりの 弁天小僧 菊之助たぁ 俺がことだぁ!」

 近松門左衛門の「曽根崎心中」 七五 七五 七五 七五 七五 ・・・ 
 「この世のなごり 夜もなごり、死にに行く身を たとふれば、あだしが原の道の霜、一足づつに 消えて行く、夢の夢こそ あはれなれ、あれ数ふれば 暁の、七つの時が 六つ鳴りて、残る一つが 今生(こんじょう)の、鐘の響きの 聞き納め、寂滅為楽(じゃくめつ いらく)と 響くなり」

 近松門左衛門の「冥途の飛脚」 八 七五 七五 七五 七七五 七五 ・・・
 「翠帳紅閨(すいちょうこうけい)に、枕並べし 閨(ねや)の内、馴れし衾(ふすま)の 夜すがらも、四つ門の跡 夢もなし、さるにても我が 夫(つま)の秋より先に 必ずと、あだし情の 世を頼み、人を頼みの 綱切れて、夜半の中戸も 引き替へて、人目の関に せかれ行く」

 近松門左衛門の「心中天の網島」 七七 七五 七五 七五 七五 ・・・
 「頃は十月 十五夜の、月にも見へぬ 身の上は、心の闇の しるしかや、今置く霜は 明日消ゆる、はかなく譬(たとえ)の それよりも、先に消え行く 閨(ねや)の内、いとしかはひと 締めて寝し、移り香も なんとながれの 蜆(しじみ)川」

 卒業式の歌「蛍の光」 七五 七五 七五 七五
 「蛍の光 窓の雪、文読む月日、重ねつつ、いつしか年も、すぎの戸を、あけてぞ今朝は、別れゆく」

 都はるみの「北の宿から」 七五 七五 七五 七五
 「あなた変わりは ないですか、日ごと寒さが つのります、着てはもらえぬセーターを、寒さこらえて 編んでます、女心の 未練でしょう、あなた恋しい 北の宿」

 地唄「梅の月」 五七五 七七 七七 七五 七五 ・・・
 疑ひの雲なき空や如月の その夕影にをりつる袖も 紅ひ匂ふ梅の花笠 在りとやここに鶯の 鳴く音をり知る羽風に はらりほろりと降るは 涙か花か 花を散らすは嵐の咎よ いや あだしのの鐘の声

 地唄「鐘ヶ岬」 七七 七五 七五 七五 七五 ・・・
 鐘に怨みは数々ござる 初夜の鐘をつく時は 諸行無常とひびくなり 後夜の鐘をつく時は 是生滅法とひびくなり 晨朝の響きには生滅々為 入相は寂滅為楽とひびけども 聞いて驚く人も無し われは五障の雲晴れて 真如の月を眺め明かさん

 地唄「黒髪」 五七五 七五 七五 七七 七七 七五 ・・・
 黒髪のむすぼれたる思ひをば とけてねた夜の枕こそ ひとり寝る夜の仇枕 袖はかたしくつまじゃといふて ぐちな女子の心としらず しんとふけたる 鐘のこえ ゆうべのゆめの けささめて ゆかし 懐かし やるせなや 積もるとしらで つもる白雪

「都々逸(どどいつ)」 七・七・七・五
 泣かせるばかりの空さえ晴れて 今宵は逢えそなまるい月(柳家三亀松)
 見送る松原遠のく姿 背延びする目にかかる霧(柳家三亀松)
 泣いて別れたまる一年の 秋がまた来て泣かす虫(柳家三亀松)
 土手に並んで行く方二つ 薄(すすき)が呼んでる月灯り(柳家三亀松)
 とめる実意をふりきる不実 傘も持たずに濡れて行く(柳家三亀松)
 草と寝て露に濡れてる 果報を持って何が不足で虫は鳴く(柳家三亀松)
 すだく虫の音 薄(すすき)の影に月をあびてる肩二つ(柳家三亀松)
 おぼろ月夜に寄添う二人 かすむ篝(かがり)に恋がうく(柳家三亀松)
 うちとけた心も一緒に 空まで晴れて今朝の青葉の冴えた色(柳家三亀松)
 月の薄(すすき)の穂にからませて 露に濡れてる立話(柳家三亀松)
 世間へたてつく小さな意地が ほろりとけそな秋の夜(柳家三亀松)
 惚れて通えば 千里も一里 逢えずに帰れば また千里(作者不詳)
 浮名立ちゃ それも困るが 世間の人に 知らせないのも 惜しい仲(作者不詳)
   五 七 七 七 五
 三千世界の鴉を殺し ぬしと添い寝が してみたい(桂小五郎説、高杉晋作説など)
 逢うて別れて別れて逢うて 末は野の風秋の風 一期一会の別れかな(井伊直弼)
 虎を退治し教師をまたぎ ぶってぶってと 姫せがむ  
 ついておいでよこの提灯に けして(消して)苦労(暗う)はさせぬから
 あとがつくほどつねっておくれ あとでのろけの 種にする
 はげ頭 抱いて寝てみりゃ 可愛いものよ どこが尻やら アタマやら
   五 七 七 七 五  
 ねだり上手が水蜜桃を くるりむいてる 指の先(田島歳絵)
 ぬいだまんまでいる白足袋の そこが寂しい 宵になる(今井敏夫)
 あせる気持ちと待たない汽車と ちょっとずれてた 安時計(関川健坊鐘)
 内裏びな 少し離してまた近づけて 女がひとり ひなまつり(寺尾竹雄)
   五 七 七 七 五

 これらの七五調が日本人の情感にピタッと来るのはなぜなのか。漢詩の影響と言う人がいるが、私はそれは違うと思う。

 五韻(五音)と呼ばれる日本音階がある。五韻は、低い方から順に宮(きゆう)・商(しよう)・角(かく)・徴(ち)・羽(う)と呼ばれ、基本型としては洋楽のド・レ・ミ・ソ・ラ(12356)と同様の音程関係になる。
 日本人に元々備わっているリズム感があり、五・七・五のリズムが根っ子の部分で生理的な反応を引き起し、言い知れぬ心地よさを感じさせるのではないか。
 
 これは、いわゆる47(ヨナ)抜きの音階であり、中国でも、喉音・顎音・舌音・歯音・唇音と称するし、韓国の歌謡曲は日本のそれとよく似ている。この民族らに共通するものとして、欧米やほかの民族とは違う独特の感覚があるように思う。

 連続する3つの素数7、5、3 は陽の数字でもあり、七五三のお祝いの数でもある。七と五は「白銀比」を表し、1対√2(1.4)は直角三角形の二辺と斜辺との比率と同じです。
 
 この白銀比は、洋紙のサイズにもなていてA版・B版とも、半分にしたものとのサイズが相似形になっていて、順にA2→A3→A4→A5→A6(Bも同じ)という風になっていく。
 これは紙を作る上で全く無駄のないサイズなのです。

 五と七の中に内包されている不思議な関係性。
 自然と共に「花鳥風月」を風雅の友として生きてきた大和民族。その生活の中に延々と培われてきた面目躍如たる感性。それらの発露として発達してきた短歌と俳句は貴重な文化・文芸だと思わずにいられません。 




◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」と
  タイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。

「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2017.12.09 17:15:46
コメント(0) | コメントを書く


PR

プロフィール

sunkyu

sunkyu

カレンダー

バックナンバー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄

◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)

「アーカイブ」
◎ Ⅰ  短歌
◎ Ⅱ 知っていて損はない話 健康と生活編
◎ Ⅲ 興味深いこと
◎ Ⅳ 興味深いこと パート2
◎ Ⅴ 自然界 地球 異常気象など

フリーページ

コメント新着

七詩@ Re[4]:★☆ ロスオリンピックと5千人のホームレス(08/12) sunkyuさんへ コメントを待っております。…

© Rakuten Group, Inc.
X