
♪ すべからく世は天才の哲学に形作られてゆくものならん
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アルゴリズムという言葉をときどき目にします。「アルゴリズム(algorithm)とは、『手続き』や『手順』のことで、辞書には「問題解決のための段階的手順」とある。
「グーグルで検索する、アマゾンで買い物をする、フェイスブックで知人の動向を知る」など、日常で行われている。入力されたデータや、フェイスブックの「いいね」などの反応をもとに、使っている人物は、どんな趣味でどんな話題に関心を持っているか。どのような情報を優先して画面に表示するかを決める「手順」もアルゴリズムなのだそうだ。
2012年にスタートした「スマートニュース(スマートフォン向けのニュースアプリで100カ国以上で使え、月間で1千万人以上が利用している。)」。生みの親の1人で代表取締役会長・共同CEOの鈴木健(44歳)氏は、5年前の米国進出にあたり、ある危機感を抱いていたという。
「二つのアメリカ」と言われる保守とリベラルの深い分断。フェイスブックなどのソーシャルメディアのアルゴリズムによって、分断はさらに増幅されているのではないか。似たような意見に囲まれ、好みの情報や商品の「おすすめ」を受けるのは、人間にとって快適なことかもしれない。ソーシャルメディア企業の広告収入は増え、業績も良くなるかもしれない。
しかし、人々の対話が成り立たないような「非民主主義的な社会」になっていいのか。
鈴木氏は、16年の大統領選の前から「フェイスブックとは逆のアルゴリズムを入れよう」と決めたという。
その結果、ニュースの表示はどうなったか。
保守層とリベラル層、どちらのユーザーに対しても、保守層が好みそうなニュースと、リベラル層が好みそうなニュースの、両方が表示されるようになったという。
1990年代、インターネットの草創期に先駆者たちの多くは、一人一人が世界に向けて発信でき、民主主義は成熟した姿を迎えると、バラ色の夢を描いていた。しかし、20年たってみれば、ネットは分断を広げ、フェイクニュースの温床になり、ポピュリズム政治家が力を持つ要因の一つにもなっているようにみえる。
あえて両論を示すアルゴリズムを入れる鈴木氏。それだけでは十分とは思っていないという。「教育や政治、リアルな世界で民主主義を活性化させる役に立てないか、今、考えているんです。」
(朝日新聞 分断にあらがう ─ 「愚かさの自覚」から始まる知恵 より)
鈴木健(すずき・けん) スマートニュース株式会社代表取締役会長 共同CEO。1998年慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了、博士。著書に『なめらかな社会とその敵』(勁草書房)など。
情報処理推進機構において、伝播投資貨幣PICSYが未踏ソフトウェア創造事業に採択、天才プログラマーに認定されている。 |
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