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歌 と こころ と 心 の さんぽ

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2019.05.06
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カテゴリ:ひと時

♪ アラビア語の辞書を縁(えにし)に話す夜演歌が好きとムスリムが言う


 アラブと親交のある知人に誘われて、岐阜の揖斐地方へ一泊でアラブ人と密度の濃い交流をして来た。
 最高の天気で、青い空に映えて新緑がとてもきれい。ミスター田中の運転する車に揺られながら、20代の時、同じ時期に高山からヒッチハイクで上高地に行った時の事を思い出していた。木々の芽吹き始めた頃で、その木によって若芽の色が違う。緑ばかりではなく赤いのや紫がかったもの黄色や茶がかった色など、パレットの色全部を使って混色した言葉では表現できないような複雑さ。自然界の見せる色の神秘にいたく感動したものだ。

「岐阜のマチュピチュ 天空の茶畑」


クリックで池田町のサイトへ

 JR東海道線で大垣まで行き、養老鉄道で終点の揖斐駅へ。

 日中の空いた時間帯に自転車の持ち込み可能になっているのが何ともユニーク。オランダを思いながら、嬉しくなって眺めていた。

 単線の列車に乗るのも久し振り。ワンマン運行で、男の車掌が乗り込んだり降りたり。

 揖斐駅でアラブ人等と合流し、い座「岐阜のマチュピチュへ座」。最近になって知名度が上がり、多くの見物客が訪れる様になったらしい。
 少ない駐車スペースを住民が休日返上で交通整理。お寺の敷地に誘導されて、ここで軽い昼食を済ませる。鐘楼の鐘の下。

 高台までの遊歩道があり、みどりの空気を吸いながらの~んびりと登って行く。

 いい眺めだ。岐阜方面が一望できる場所がある。岐阜は山国、随所にこんな眺めを堪能できる所があるのだろう。

 畑には猪除けのネット。鄙びた山間部ゆえまともな商店など無く、小さな八百屋兼雑貨店で野菜を買って、一泊お世話になる古民家へ。適当にブロックを重ねて、サバイバル風のバーベキュー。

 ミスター田中が、パレスチナで危険を冒し撮影、編集した貴重なDVDや、パレスチナの悲惨な現状のドキュメンタリー「壊された5つのカメラ」(クリックで紹介ページへ)を観る。これは、第41回国際エミー賞ドキュメンタリー部門で受賞し、第85回米国アカデミー賞・長編ドキュメンタリー部門にノミネートされたもの。イスラエルの無謀な侵略、その現状をまざまざと見せられて、ただただ言葉を失うばかり。

 少し冷えて来たので囲炉裏に火を入れ、暖を取りながら様々な話をする。アラビア語と英語と日本語とが入り混じる。3人がトライリンガルで、日本語しか出来ないのは私ともう一人。単語の意味が分からないので何ともならない。
 ナン風のパンにクリームチーズを乗せて、話の肴に・・。

 多方面に話題は広がって尽きることなく1時すぎ迄話し込む。一人は堪らずに先に寝てしまった。

 前日に行きそこなった温泉に行き、朝風呂と洒落こむ。マス釣りもする予定だったが、時間に間に合わず断念している。


クリックで拡大

 アラブ人も慣れたもの。朝の陽を受けながらの露天風呂は最高だった。長島温泉とかスパー何とかと違うごく自然な新緑の中で、鄙びた温泉に浸かるのは最高の気分。

 前日とこの日は三輪神社の祭礼の日で、立派な山車と神輿まで出る盛大なもの。しかし凄く静かで何だかサイレント映画を観ているよう。

 二種類の神輿が町を練り歩く。真っ白な装束は神社の神輿なのだろうか。由緒正しい伝統がある神社らしく、とても神聖な感じがあって美しい。どうりで静かなわけだ。

 伝統の子供歌舞伎を見るのが目的だった。あまり歌舞伎に詳しくない私は、腹も減っていた(2時なのに昼食はまだ)こともあって、途中で抜けて屋台の並ぶ通りへ。子供歌舞伎は垂井町の方が立派だという人と立ち話。

 人混みの一部となってブラブラ。当然ビールが欲しくなる。アラブ人は酒を飲まないのでずっと我慢していた。空腹で2杯飲んだら神社に戻ってしばらくして、急速に眠気が襲ってきた。お堂に凭れていつしか夢の中へ。

 京都へ帰るムスリムたちと一緒に大垣まで、養老鉄道で帰途へ。私にとってはとても充実した二日間だった。田中さんはすっかりアラブ人の事が分かっているので、決して先を急ぐことなくゆっくりと事が運ばれていく。自分はのんびりしている方だが、何だかいつもより疲れたのは、日本人のリズムとは時間のカウントが違うからかも知れない。

 

 イヤス・サリム氏は京都花園在住。ミスター田中とはJAICAの仲間だったとかで、20年来の友人関係。日本語も堪能で博識もある優しい益荒男って感じ。インストラクターの仕事をしているとか。
 エゴル・バスキンも京都大学で経済学を研究している20代後半の秀才。背が高くてスノーデンに似ているなんて言われたりている。日本語も堪能ではないが上手で、スマホで日本語の辞書をひらがな入力で調べ、すぐに疑問を解決する手際の良さは見事。ひらがなは直ぐに覚えられたが、カタカナは難しかったとか。

 
 イスマイル・アラビューはモロッコ出身で、2年間の日本滞在を終えて帰国するらしい。無口なヤツでこちらから話しかけないと、自分からは何も話さない。日本語が出来ないので、この国で人と接するのに苦手意識があるのかも。前夜も真っ先に寝てしまった。帰りの電車で隣り合わせになったので、23話し掛けてみた。モロッコの夏は40度以上になりとても暑いが、冬には雪が降ることもあるらしい。日本の好きな食べ物は「お好み焼き」と「寿司」だとか。もっと色々話したかったが、電車の中では聞き取りにくい上に控えめに話すのでなお分かりにくい。もう二度と会うことはないかも知れないので、とても残念だ。

 それにしてもミスター田中はもの知りだなぁ。人と話をすることが好きで、話をすればするほど記憶が確かなものになっていき、その上に知識も雪だるま式に増えていくのだろう。
 田中さん、楽しいひと時をありがとう。





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最終更新日  2019.05.07 08:00:50
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
◆2019年6月6日より 「歌とこころと心のさんぽ」に改題しました。
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