歌 と こころ と 心 の さんぽ

2019/12/05(木)07:40

☆ 尺八好き?フルート好き?オオクラウロは?

話題・情報(241)

♪ 尺八にフルート・キイのオオクラウロ チェロにフレット付けるがごとく‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  へ~!?って思うことが時々ある。あの日本の代表的な楽器のひとつ、世界三大難楽器のひとつでもあるあの尺八を、西洋音階を吹けるようにしたいと思い、フルートを縦笛にしたような楽器を作ってしまった日本人がいたんだね。迂闊にもまったく知らなかった。  その名は「オークラウロ」という変な名前の楽器。 フルートのキイと尺八の歌口のついた、ケンタウルスのような楽器だ  考案・製作したのは、ホテルオークラの創業家の二代目・大倉喜七郎。若くから特に尺八の吹奏を得意としており、最初は尺八式の歌口に、フルートに似たキーシステムを備えた「わかまつ」銘で真鍮製の「大倉式尺八」を製作し、1922年(大正12年)4月に披露会が行なわれている。  次第に指孔を増やすことで尺八の音域を広げ、西洋音楽の十二音律に対応する楽器にしたいとの考えに発展してゆき、ロンドンのフルート・メーカーであるルードル・カート(ルーダル・カルテ)社に試作を依頼。管の太さを調整したり、キーの配置にも尺八独特の奏法や音色を取り入れるための工夫を随所に盛り込むなどして、1935年(昭和10年)に新楽器として初めてオークラウロの名称で世間に発表されたという。  左、1936年、オークラウロを演奏する大倉喜七郎(大倉集古館) 右、当時の雑誌広告(拡大します)  標準管のソプラノのほか、ピッコロ、ソプラニーノ、アルト、バッソの5種が制作されというから、その思い入れは相当なものだったことが窺える。  大倉の名前とギリシャの縦笛アウロス(aulos)から名付けられたらしいが、「--ウロ」という響きがあまり良くない感じ。もうちょっといい名前が思いつかなかったのか。当時は、教則本も作り、奏者の養成や楽団による定期演奏会などが盛んに行われていたらしい。  自らもフルートを吹奏した作曲家の平尾貴四男も深く関わり、現在「フルート為のソナチネ」として知られている楽曲は、当初オークラウロのために作曲されたものだったとか。  当初は主に尺八の楽曲を中心に演奏していたが、やがて、西洋クラシック音楽の演奏に傾倒していたことでフルートとの安易な比較を招き、尺八ともフルートとも異なるオークラウロ独自の音色の可能性を目指した喜七郎の夢は半ばとなった。   戦後の財閥解体によって大倉家のバックアップも難しくなり、演奏の機会も激減していって、いつしか忘れられた幻の楽器となってしまったらしい。 ALIAKE - Gindami(銀彩)Rapid Promotion(Okraulo...Akihisa Kominato、Violin...Yusaku Tsuchiya、Guitar...Junichi Saito、Japanese Percussion...Naosaburou Bihou) YouTubeへ  2011年、喜七郎の五十回忌を前に大倉集古館主催の展覧会「大倉喜七郎と邦楽 ―“幻の竪笛”オークラウロを中心に―」が開催され、この展覧会の併催イベントとしてオークラウロ(わかまつ銘大倉式尺八)を使用したコンサートが行われた。これよりオークラウロの再生に向けた活動が始まり、コンサートやCD発売、楽器の再製作などを通じて、尺八の表現力とフルートの明るくクリアな音色を併せ持つ、和魂洋才のハイブリッドな魅力が今再び注目を集めるようになっているようだ。 「浜辺の歌」オークラウロ・トリオ with Guitar 小湊昭尚(S.Okraulo)松下尚暉(A.Okraulo)元永拓(B.Okraulo)愛川聡(Guitar)  YouTube(静止画)  良いか悪いかは好み次第。フルートほどクリアな音ではないし、尺八の首振り奏法や穴に当てる指の微妙な操作による音の揺らぎなどがないので、中途半端な感じがしないでもない。音が丸いと表現する人もいて、湿潤な日本の気候に合っているというなら、歌口はやっぱり竹の方が良いような気がする。  フルートは元々は木管楽器で、フラウトトラベルソなんていう古楽器は、小さくて伸びがなく弱弱しい音しか出ない。それを改良して今に至っているわけだから、尺八も同じ道を歩んだのかも知れないが、尺八にフルートの構造をそのまま当てはめたのは間違いだったんじゃないだろうか。  一歩譲って、本体はこれで良いとして、歌口の部分だけ竹で作るという訳にはいかないものだろうか。或いはカーボン製か何か、現代の技術をもってすればもっと良いものが出来ると思う。  でもしかし、新しい楽器を創りたかったという想いなら、これはこれで認めるべきものなのだろう。 左から、元永拓(バス管)、大河内淳矢(ソプラノ管)、小湊昭尚(ソプラノ管)、松下尚暉(アルト管)  小湊と大河内は歌口などを改良した最新のソプラノ管で演奏しているというので、この楽器はまだまだ進化を続けている最中なのかも知れない。  オークラウロ・オフィシャルサイト

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