
♪ かたわらに猫が寝ている朝のベッド泣きながら読む「少年と犬」
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今年の上半期の直木賞受賞作品「少年と犬」。婆さまが借りて読み終わったのをまだ期間内だというので急いで読み始めた爺さま。同じ主人公の犬をテーマにした短編6編の本は、簡明な文章で簡潔に書かれていて、読むのが遅い爺さまでも3日ほどでほぼ読み終わるところまで来ていたようです。でも、最後の章は今朝、このブログを書くためにのために起き抜けに読んでようやく読了となったところです。
この最後の章の「少年と犬」が一番良かったらしく、途中から涙が止まらなくなっていた。そばに横になっている僕をときどき見ながら、顔両手で拭ったり洟をすすったりしていた。ネタバレになるので内容は言わないけれど、幼子と幼犬の出会いから始まったワンダーランドに最後は拍手を送っていた。
読み終えた爺さまは、そばで寝ていた僕もうらやましいような、嫉妬さえおぼえるような顔をし、背中をそっと撫でて、PCのある部屋へ向かいました。
シェパードと和犬の雑種が、岩手・釜石市から日本海回りで日本列島を縦断する話になっていて、最後は九州・熊本にたどり着く。男と犬、泥棒と犬、夫婦と犬、娼婦と犬、老人と犬、そして最後に収められている。
実は、この「少年と犬」は最初に書いたものなんだそうです。「オール讀物」に2017年十月号に掲載され、その後2018年四月号・七月号、2019年一月号、2020年一月号と続く。単行本となるに当たってあえて最後に持ってきたという。それだけ完成度が高く思入れと、犬の持っている素晴らしい能力を描き切っているという自信もあって、最後に読んでもらいたいと考えたようです。
読んでみて、なるほどその目論見は成功していて、これが最初だったらその後のものは二番煎じ的な感じがして拍子抜けしたかもしれない。爺さまは、本を読み始めてすぐにその飾り気のない修辞に重きを置かない文章に少し物足りなさを感じてたようですから。
雑誌の、間を開けた連載ということからか、同じパターンが出てくるので一冊の本として読むにはどうかなぁという気分にもなったようで、「この章だけでも十分だなぁ」なーんて元も子もないような事を言っている爺さまは、犬を飼ったことがないんです。
とにかく、頭のいい犬「多聞」への愛情たっぷりの筆運びと、犬の洞察と心底からの畏敬の念が全編に溢れていて、犬好きには堪らないで本でしょうね。審査委員の中にも「犬を持って来るなんてずるい」と言った人がいるとかで、セラピードッグのことやら犬に癒される独居老人などの話題にも事欠か社会で、共感を呼ぶことは間違いなしの犬ものがたり。
馳星周さんは、バーニーズマウンテンドッグという大型犬と暮らしはじめ、四半世紀になるという。犬たちの暮らしを優先するため、東京から軽井沢へ居を移し、現在も二匹との朝夕長時間の散歩を欠かさないという、根っからの犬好き作家らしい。
柴犬の小次郎がどんな犬に育つのか、犬とて個体差・個性が違うので固定観念は捨てて考えないといけない。たまに孫ちゃんが連れて来たときだけ遊ぶのでは物足りなくなるかもなあ~。
猫そっちのけで犬に愛情が移ってしまうなんてことは、ないと思うけど、今朝の爺さまの様子を見てるだけにちょっと心配になるなぁ・・
このブログは8月22日より、飼い猫ピピの目線で書いています。タイトルの頭に ◇ が付いてますが一部例外があります。
日によって文体が違ったりしますが、そのうち一つの形に収斂していくと思いますのでそれまでは、未熟さを面白がりつつやり過ごして頂けるとありがたいです。
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