♪ レイヤーとなりし歴史の井戸を掘る上書きされてゆく時の中
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新型コロナのパンデミックが止まらない。まさかここまで延々と続くなんてことは誰も思わなかったでしょう。
100年前のスペイン風邪では、諸説あるものの世界で2500万人から
4000万人が亡くなり、日本でも本土だけで45万人が命を落としたという。
1918年から’20年までの3年間も続いてのこの結果だったらしい。 第一次大戦後、米国のウィルソン大統領は戦勝国、敗戦国の怨讐を
解くべきと、仏英が求めた独からの賠償金取り立てに反対。講和条約のため
’19年3月、パリ入りした時にスペイン風邪に掛かり、会談を離脱している
間に独への多額の賠償義務が条約に盛り込まれてしまったという。 その当時の独の国民総所得の約2.5倍(1320億金マルク)という膨大な
負債が、国民の窮乏を招き、復讐心がナチスの台頭に繋がったという。
ウィルソンの悲劇が第二次大戦の悲劇に繋がっていったのではないかと
「史上最悪のインフルエンザ」の著者はいい、図らずも脅威の蔓延が
続いている今を暗示させてゾッとする。
(12月9日 朝日新聞)
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