
♪ 生身こそ唯一信じられるもの仮想に巻かれて寿司が遠のく
精進湖
人間には二つの目立った認知のクセがあるという。
目にするものを正しいと思ったり、親しみを感じたりする。広告が販売で効果を上げるのは、人は多くを目にする商品に良い印象を持つようになり、自然と選んでしまうからだ。
小学生の時、工場見学とかしてその会社の商品に愛着を持ったのも、それだったのだろう。これを「単純接触効果」という。
高齢者がやさしい言葉を掛けられて信用してしまい、まんまと騙されてしまうのもそうだろう。
二つ目は、人間は自分と同じ意見を心地よく感じ、優先してしまう。これを「確証バイアス」という。
自分に都合のいい意見ばかりを受け入れて自己正当化する。認知欲求と絡んでいたりするので、これから抜け出すのはかなり難しい。
デジタル空間では、アルゴリズムによって自分に似た意見ばかりを流してくる。そうなれば人は正確な判断が出来なくなる。
米国では、フェイスブックやインスタグラムがファクトチェックをしなくなり、今後は利用者自らがファクトチェックしなければならなくなった。でも、実際にはそれが出来る人は一握りだろう。多くは、それほど気まじめにSNSを利用しているわけではないからだ。
人間とAIが虚実を交えた情報を大量に流し、権威主義的な大国指導者が真実を認めない時代、人々はそれにどう対処していくのだろうか。
トランプ大統領がイーロン・マスクと結託して、巨費を投ずる気になれば一小国を買収することなど簡単なこと。
「パレスチナのガザ地区をアメリカが長期的に所有し再建する」、「カナダはアメリカの州になれ」、「パナマ運河を返せ」とか、脅しをかけてディールするのもそれだけ重みのある裏付を見せつけられているからだろう。
世界の秩序、法律さえ無視して、金と権力で征服しようとする恐ろしい国となったアメリカ。その謀略をロシアや中国が黙って見ているわけがない。その弱点を研究し虎視眈々と隙を窺っているに違いない。
中国のようにデータの保存がアーカイブだけだと、中央管理者(国家権力や運営者)によって不都合な部分は改ざんや削除ができてしまうため、その内容はあまり信用できない。「X」も「メタ」も似たようなものだ。
今後一層、AI生成のプロパガンダや、架空アカウント、ボットによる自動投稿がデジタル空間に増えていくのは自明のこと。そうなってくると、ある主張を「多くのアカウントが支持していること」そのものが信用できなくなる。
もしこれが、これがブロックチェーンなどの技術を使うようになればその問題は解決できる。それを導入したものだけが支持される時代が来るだろう。 経済季評(朝日新聞)酒井豊貴・慶大教授の記事を参考にしました。
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