
♪ 吸う吐く吐く、吸う吐く吸う吸う吐くという忍者走りのリズムやたのし
地域や学校で、黒装束に扮し忍術を使って「身体を使って『生きる力』を伝授している人がいる。「忍者から入ると、子どもたちが興味を持ちやすいんです」
旅先のブラジルで身の危険に遭ったことがきっかけで忍術に興味を持ったとか。「伊賀に興味を持ったのは、20代半ばに入門した古武術『武神館』の武術の一つ、戸隠流忍法体術が伊賀忍者と関わりがあるというのを知ったからです」。武神館では、2016年に最高段位の15段を取得し、大師範の腕前に。
三橋さんは、鳥取大学や京都大学大学院で農業経済を学んだ後、出身地の大阪府枚方市に戻り、ビル管理などを手がける家業を手伝った。
三重大学大学院で「忍者・忍術学」修士号を取得後、地域イノベーション学科の博士号を取得。
論文では、県内の庄屋に残る古文書などを読み解き、江戸時代末期の安政伊賀地震で、伊賀衆(無足人)が被災状況を素早く把握して津藩の藩主に報告。迅速な災害支援・復旧支援に貢献したことなどを明らかにした。
さらに、この伊賀衆の対応が、現代の地域防災に役立つ可能性があることを述べ、これらの研究の成果が評価されて、2023年12月に同コースで初となる忍者学博士号を取得。
これを機に伊賀忍者発祥の地である伊賀への移住を決意。敷地内で道場を開き、続いて農業体験や忍術体験ができる民農泊施設「産土武芸道場=現・うぶすな)」を伊賀市石川区に開業。
伊賀衆の研究のほかに、忍者の生活術を現代の防災に活かす研究もしいて、2024年3月には、三重大学の学生と三重大学付属小学校の児童や教師などと『暗所対処』の体験を行っている。
「この体験は、地震で停電している時に、物が散乱した屋内から安全に脱出するための模擬体験として実施しました。
まずは、忍者の印『早九字』を結び、気持ちを落ち着かせます。暗闇の中、方向感覚、平衡感覚が不安定な状態で歩く際の重心のかけ方や、硝子の破片を踏まないように地面を撫でながら歩く『忍者歩き』などを紹介しました。
子どもたちは楽しみながら真剣に取り組んでいて、とても好評でしたよ」と三橋さん。
*忍者の「歩法と走法」
「忍び足」-足の小指から徐々に体重をおろしていく
「浮足」-つま先から足を下ろす
「犬走」-たって歩けないところを四つんばいで歩く
「狐走」-たって歩けないところをつま先を立てた四つんばいで歩く
「深草兎歩」-手の上に足を乗せて歩く
「二重息吹(ふたえのいぶき)」という呼吸法。「吸う、吐く、吐く、吸う、吐く、吸う、吸う、吐く」のリズムで呼吸を繰り返します。酸素の摂取量も増え、余計なことを考えず集中して走ることができる。
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石川区は「石川五右衛門」生誕の地ともいわれ、伊賀・甲賀の境のこの地域は「忍びのふるさと」でもある。忍びが用いた忍術は「総合生活術」「総合生存術」ともいわれる。
民農泊施設うぶすな「在宅避難忍術プログラム」
最近では年間を通じて(春・秋の台風シーズン・ゲリラ豪雨、夏の異常気象、冬の積雪による停電被害など)災害に見舞われる機会が増えています。
「家族が災害にあったらどうしよう?」
「夜間の停電時はどうしたら?何から手をつけよう?」
そんな時に忍術に学んでみてはどうでしょうか。
忍び達は敵の情報を入手するため、主に「夜間に安全に移動して生きて帰る」必要がありました。
家族が自宅にいる時はだいたい、学校や仕事前後に早朝や夕方以降が多いのではないでしょうか。夜間に自宅で被災した時を想定して、寝室から安全に移動して玄関までたどり着き、避難所に移動する。忍術の歩法やメンタルケアと現代の在宅避難方法を合わせて、楽しく在宅避難が学べます。
忍術は「総合生活術」ともいわれます。この体験では、ご自宅の見取り図を想定して練習するので、その日から生活に活かせる内容になっています。 |
「民農泊施設うぶすな」三重県伊賀市石川666番地の4
☎0595-51-0513 ※体験中や農作業中で電話に出られない場合もある。
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三橋さんは、「忍びは正確ですばやい情報の伝達が最も重要な仕事とされ、その動き方は災害発生時に情報収集などで役立つと思う。忍びの文化を通して南海トラフ巨大地震などに備える社会づくりに貢献していきたい」とも語っている。
子どもたちは、面白がって、そして吸収が早いのでこういう風にきちんと教えてもらうのは確かに役に立つだろう。
人間の本質的な部分を引き出しながら、楽しく面白く教えてくれるのなら、子供会単位で教えてもらうのも良いんじゃないかな。
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