
♪ 白薔薇や確信犯のごとくして一花開きて清風を呼ぶ
拡大 早くも「茶房じゅん」の薔薇が満開になったとのことで、さっそく観に行ってきました。中国原産のオールドローズ、一重の白薔薇:浪花(難波)茨(なにわいばら)。
昨年は前年に強剪定したため花数が少なかったらしいが、今年はその剪定の甲斐あって、特別に花数が多いらしい。そりゃあもう凄いボリュームで圧倒されます。
花の直径は、開くと10㎝ほどになる純白の花弁は、俗性を嫌って深山に王国を築いている貞淑で謹厳実直な女王一族のよう。
ただ美しいというのではなく、尊厳に包まれた光の聖域のようなイメージ。
夜が明けるかどうかという薄明の中で、世界の初めての朝を迎える瞬間にその場の神秘を共有することこそ最もふさわしいのかも知れない。
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喫茶ギャラリーからの眺めは素晴らしく、ジャズのBGMを聞きながら珈琲を飲むという、なんとも贅沢な雰囲気を味わうことができる「茶房じゅん」。
底知れない無垢の美をギャラリーのかたわら、窓一杯に静かに輝かせています。私からすると天然記念物に匹敵するくらいの価値はあると思う。これだけ浪花茨を大きく育てられるスペースがあること自体がとても貴重なこと。
街中ではありえないし、そうでなくともここまで自由に(喫茶店の窓外に)薔薇を遊ばせることなど、そうそう出来るものではないでしょう。
薔薇と言えば “イングリッシュローズとかのハイブリット系” が喜ばれるのでしょうが、そういうのは薔薇の館を謳うところにはよく有ると思う。でも、どっこいこの無垢の純白の薔薇が好きな人も案外たくさんいるように思います。
清純派というか人知れずいるそれらのファンに、この清楚なスッピンの美しさを見せる薔薇をぜひご皆さんに覧いただきたいと思う。
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我が家の浪花茨はこの枝を挿し木したもので、DNAが同じ薔薇という事になります。
米名のチェロキーローズ(Cherokee Rose)は、19世紀初頭、アメリカでゴールドラッシュが起きた時、当時のアメリカ政府が部族(チェロキーインディアン)を強制移住させたことに由来するのだとか。
冬のさなか充分な衣料や食糧も与えられずに移住させられたインディアン達は、14000人のうち4000人が途中で亡くなり、特に弱い老人や子供達が犠牲になったという。
その1600kmの山道は “涙の足跡(Trail of tears)” と呼ばれ、オクラホマへの山道沿いに咲き誇るチェロキーローズの白い花は、チェロキー族の女達の涙の象徴だと言われている。
立ち退かされた土地であるジョージア州は、それに因んで州花として慈しんでいる。 |
悲しみを内包しているがゆえの可憐な白。どんな人の心のなかにもある無垢なるものへの憧れ。理不尽な耐え難いものに溢れている世の中で、必死に生きている人々の心に静かに寄り添ってくれるもの。
火を灯すごとき赤い情熱ではなく、絶対的純白の白薔薇こそふさわしい。
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