
♪ エドガ・アラン・ポーのごときや謎の夜〈アラン〉確かなアリバイあるや
金曜日の夜、アランが就寝する時間になっても帰ってこなかった。しかし間もなく戻って、カミさんの布団に潜り込んだらしい。そして土曜日の夜、カミさんはB′zのコンサートに1泊で東京へ行って、居なかった。
朝方になって、私の布団に乗ってきて朝まで、喉を鳴らしていた。
朝起きてみると鼻梁の真ん中を斜めに黒い線が入っている。汚れかと思ったが。よく見ると引っ掻き傷のようだ。いつもの相手にちょっかいを出されでもしたのか。他にはケガもないし、いたって元気。
それ以降、そのことははすっかり忘れていた。
火曜日になって、隣保班の若い主人たちがカミさんに、「アランは大丈夫でした? みんな心配してたんですよ」と心配顔で訊いて来たいう。皆さんネコ好きなのだ。
どういうことか訊くと「土曜日の夜中に猫の喧嘩があって、翌日には駐車場のにあちこちに血痕があった。てっきりアランがやられたんじゃないかと思った」と。車の下には血溜まりがあって、組み立て式の自転車用車庫にも血が飛び散っていたらしい。
私はこの夜、4合の冷や酒をのんで良い気持ちで爆睡していたのだろう。いつもなら夜中でも猫の喧嘩には気ずくはずだが、まったく知らなかった。
アランは何事も無かったようにしているし、普通に外へも出かけていく。一体何が起こったのか。縄張り争いを考えると、この家の周りはアランの縄張りのはず。そこへ闖入してきたヤツは排除しなければならない。
日曜日は、朝8時過ぎから汐見坂自然農の籾摺りを見に行ったり、買い物に行ったりして居なかった。午後は炬燵でジャズを聴いたりしていた。暖かかったが、外は静かで子供の声も聞こえて来なかった。それで近所の誰にも会っていない。
そういえば、金曜日のアランの様子が変だった。何かを怖がるような、警戒するような素振りがあって落ち着かなかった。いつもと違うヤツがウロウロしていたのかも知れない。でも、それはその時だけで、翌日はいつもと変わらないように見えた。
アランは喧嘩に強いとはとても思えない。一体何が有ったのか。事件があったのは確かだが、アランが関わっていたのかどうかは分からない。
|
|
|