○◆○南アルプス 地蔵岳登山9 (無謀な計画に悪戦苦闘)
9 そう言えば、今日は誰ともすれ違わなかった。下から上って来る人は一人もいなかった。ドンドコ沢にいたのは俺ひとりだけ。昨日の同宿の客も他のルートへ行く人ばかりで、同じコースを下るという人はいなかった。二日間とも天気が良く、最高の登山日和だった。苦しかったが下りてしまうとあの辛さが懐かしく愛おしくさえ思えてくる。来てよかった。思い切って行動して、やってみれば何らかの答えは返って来るものだ。何か自信が付いた気がする。やればできるのだ。苦しいけどガンバリ通せば必ず返ってくるものはあるものなのだ。久し振りに新鮮な気持ちになれた。山はいい。また登りたくなる。下りてきたばかりだというのに。ビールを飲みたいところだが、今ビールを飲んだら疲れがドット出て車の運転どころではなくなってしまう。 10時50分、青木鉱泉を出発。小武川に沿って国道20号線へ向けて走る。韮崎から越えて来た林道とは違って途中からは舗装までしてあり、楽々の道だ。韮崎の駅から車(マイクロバス?)で御座石鉱泉まで乗って1,500円とか。あっという間に国道へ出、そのまま北上して伊那辺りから中央自動車道へ入る事にする。左に甲斐駒ヶ岳を見ながら走る。さすが頂上付近は険しそうだ。木曽駒ケ岳よりも高く2,966mあり、南アルプスでは一番人気のある山だろう。南アルプスには北岳もある。槍ヶ岳の3,180m、奥穂高岳3,190mをも凌ぐ3,192mで富士山に次ぐNo,2だ。 諏訪の手前を左折し256号線を高遠へ向かう。この杖突峠越えの道はかなり走り甲斐のある道だ。峠から見る諏訪湖や八ヶ岳連峰もなかなかのもの。しかし、峠越えから高遠の町までかなりの距離があり、昼過ぎで腹も減ってきたことからゆっくり景色を見る余裕はなかった。峠で蕎麦でも食えばよかったと思ったが通りずぎてしまって、後の祭り。高遠から伊奈インターへ入り、駒ケ岳サービス・エリアで休憩、食事。午後1時だ。青木鉱泉を出て2時間余り。家に電話を入れる。ガソリン10リッター入れ、セルフでタイヤに空気を入れる。40分後に出発し、一路名古屋へ。5時前には家に着けそうだ。 ここまで順調に運転してきたがさすがに疲れが出て来たか、眠くなってきた。そりゃそうだろう、疲れない方がおかしい。恵那サービス・エリアで一服。運転中は何ともないが歩くと腿が痛い。しばらくベンチで横になる。うつらうつらし、少し眠った様だ。30分ほど休んだだろうか、だいぶ元気が戻る。少しでも眠るとスッキリする。このまま一気に自宅までノンストップだ。 春日井インターで下り、19号線を経由して名古屋へ。庄内川を越えるのに渋滞に会い、時間をロスした。小牧インターから41号線を南下するよりこっちの方が早い気がするが実際はどうだったのか。 5時半少し前に家に着く。途中で買ったビール大瓶2本を一気に飲んだ。充実の二日間であった。走行距離は586km。 後年、取材した滝をテーマにした作品「cascade」が、中部染色展で最高賞を受賞することに。123456789