▲▼猫は思惟の種を抱える
♪ 化け猫になるかも知れぬ不可解なアランこのごろ無口となりぬ 昨日6月6日は、二十四節季の「芒種」。2週間後はいよいよ「夏至」がやって来る。 この時期の季節感を、ウェザーニュースがアンケート。「春」「初夏」「梅雨」「夏」の4択から現在の体感に最も近いものを選択。8,552人の回答は、やはり「梅雨」という意見が六割という結果。想像通りの結果だと言える。 まだ梅雨入りしていないのに、どんよりとしていて青空がどこにもない。九州、四国そして近畿では、8日にかけて熱低が通過するため、大雨の予報が出ている。 梅雨の末期に似た状況は、トマトで挟んだバーガーの上下に、厚みのあるハムを重ねたハンバーグみたいなもの。 来週の中から週末は晴れるが、その後は梅雨本番となるようだ。 気象庁は、今日7日、関東甲信地方と東海地方が「梅雨入りしたとみられる」と発表。平年並み。梅雨明けは7が17日ごろ。 村松友視の「アブサン物語」を読んだ。21歳まで生きたずいぶん賢い猫だったようだ。我が家のチャミーとギン、ピピとアランを足して4で割ったような猫だ。 エッセイ風に記憶をもとにして書いてある。「記憶は実化する装置」なので、ライブ感覚で書いたものとは当然、ニュアンスが違ってくる。作家だけに表現も洒落ていたりオーバーだったりして、読ませることを意識して書いているのは自然な流れだ。 子どもがいない夫婦の猫物語とあらば、猫擁護目線なのは当然。どんな状況の時も猫の気持ちが第一となる。 最期の死に際のときの描写には思わず目頭が熱くなった。あくまでも猫第一に愛情を注ぐ姿勢の主人に、アブサンもけなげに応えてみせる。21歳ともなれば人間でいう100歳を越えている。最期の最後、1m四方の段ボールの中に入れられたアブサン。 深夜、寝たきりのはずのアブサンが半身を起こそうとしている。 必死の思いで軀を立て直したアブサンが、両前肢をそろえてじっと私たちを見ていた。その目は、奇妙なことに両親に挨拶をする白無垢の花嫁みたいに見えた。私が、あわててアブサンの首のあたりを撫でると、アブサンは安心したように横になり、ゴロゴロと喉を鳴らし続けた。 アブサンの様子を見ていたカミさんが、「アブサンが動かない・・・」魂の抜けたようなカミサンに「子供が死んだんじゃなくて、俺たちは驚異的に永生きをした老人を看取ったんだからな」私は、カミさんに言いきかせるような強い語調で言った。「あと三十分、抱いていていいかしら」私にそう聞いた。私がうなずくと、カミさんは乾いた目でアブサンを抱きかかえ、「まだ、あたたかい・・」カミさんはそのままアブサンを抱いてベッドに横になった。・・・それから三十分くらい経ったころ、カミさんが鋭い声で私を呼んだ。起き上がってではなく、姿勢はさっきのままだった。「アブサンが・・・」カミさんの声が上ずっていた。「あぶさんがどうしたんだ」「アブサンがおしっこした」「・・・」「たったいま、すごいいきおいで」「この野郎、達人の死に方しやがって・・・」 私は、最後にアブサンに憎まれ口をきいたが、その死に方にはほとほと感服していた。ネコは自分の死を人間には見られぬよう、いずれかへ行って見えない場所で死ぬ・・それは何度も聞いた話だった。だが、アブサンはカミさんの腕に抱かれて息を引き取った。 名人、達人だ・・・私は、感嘆の声を上げずにはいられなかった。数時間前、まるで花嫁の挨拶みたいなポーズを必死でつくり、私たちに正座をして見せたあと、カミさんに抱かれて死んでやるなどという気遣いを、アブサンはしてくれたのだ。私は、見事すぎると悪態をつくしか他に術はなかった──。 猫も人間と同様、十匹十色で性格も身体もみんな違う。今までチャミー、アンリ、ギン、ピピ、そしてアランと飼って来たが、みんな違っていた。 そりゃあもう見事に違うので比較してもしょうがないという感じ。みんな保護猫で、我が家を選んでやって来たのを飼うことになったというのがほとんど。飼って来たというより、飼わせてもらった。向こうから同居の相手に選んでもらった、という方が正しいのかもしれない。 今同居しているアランは臆病で怖がりのくせに態度がでかい。そのくせ甘えん坊で自分勝手。 最近は、私がしてあげることがことごとくアランにとって嬉しいことらしく、私にべったりとなって困っている。まあ、だいたい同じ場所に居て何かをしていることが多く、カミさんのように立ったり座ったりが少ない。じっとしているわけでもないが、遊ばせてやる時間もあるし、何かと目が行き届くということはあるだろう。 習字の練習をしている時、練習用に置いてある新聞の上に寝そべったりする。新聞を取ろうとどかそうとしたら、フ-という唸り声を上げて本気で怒ってきた。そんな風に怒ることなど、今まで一度も無かったので吃驚した。虫の居所が悪かったのか、私に対するイライラが溜まっているのか。思い当たる節が無いでもない。 夕べ10時過ぎ、餌が欲しいらしく体をする寄せてきた。声を出さず脚に頭をすり寄せ、グイグイと押し付けてくる。こんな時はたいがいエサが欲しい時だ。それで、餌場の台所に行こうとすると一緒に来ない。何度か呼んでようやくやって来て、餌を食べている。このズレた態度の意味がよく分からない。 それからしばらくして、また同じようにすり寄って来た。ついさっき餌をやったばかりなのにまだ欲しいのか? ちょっと肥満気味なので「もう上げないよ」と、無視する態度をとる。その内諦めたのか、どこかへ行ってしまった。 それからしばらく経って二階へ行くと、ベッドの上で横になっていた。「寝ようよ~」と誘いにきたしいが、その仕草がえさが欲しい時と全く同じなので区別がつかない。その意思の疎通が上手くいかないことに腹を立てていたらしい。一緒に寝ようとしても喉を鳴らすことも無く、体を密着させようともしない。 その前の晩は、ベッドで本を読んでいるところへやって来て、喉を鳴らして密着し、嬉しそうにしていた。そのまま朝まで一緒に寝ていたくらなので、えらい違いだ。5日22:176日05:116日16:087日04:54 目覚めてもふてくされたままだ。 ハネムーンのような日が続いていた。しょっちゅう近づいてきては甘えた声をだす。足元でコロッと横になって何かを求めているので、腰のあたりを掌でさすったり指を立ててこすったりしてやる。すると前肢をグーパーグーパやってしきりに喜んでいる。 それが、何の加減かしらないが、その最中に怒ることがある。強すぎるのか、「同じことばかりやってるな」と言っているのか・・。それならばと、今度は体を駒のように回転させてやる。これが案外気に入って、回転の向きを変えたり、床を滑らせるように放ってやる。「こんなことやってもらってるのはお前だけだだぞ~!」とか言いながらやっていると、こっちが草臥れてくる。 今朝は足元で寝ていた。近寄ってスキンシップしても反応なし。まだ機嫌が直らないらしい。 ちょっと肌寒いのでPCやってる私の膝に乗りたいが、あんなところに乗っている。そばに居たいのは確からしい。 我慢できずに膝に乗って来たがすぐに下りてしまった。どこへ行ったかと思ったら、昨夜、先に来ていた場所にいる。今朝、目覚めた同じ場所だ。この時間、弧りでここにいるなんて初めてのこと。肌寒いのがよほど堪えているのだろう。しかし、何かいつもと違う感じ。 目を離したすきに居なくなった。やはり昼間はこのベッドは落ち着かないらしく、カミさんのベッドの方へ移っていた。 「意思の疎通がうまくいかない」と、怒っているアランは、私を何だと思っているのだろう。 こちらもツンデレに合わせているような形になっていることで、「面白くねえ奴だ、話にならねえ」とかなんとか思ってるのかも・・。 カミさんは、アランが私のベッドで寝るようになったことに不満がある。アランの心が理解できず、猫の心理を訝っている。とてもデリケートな猫であることは確かで、鷹揚としてデンと構えていた「ギンちゃん」とは大違い。 今朝、台所にトカゲの尻尾が落ちていた。