身近にあった悲恋物語
正月恒例の親戚宅へのおよばれ。それはかなり憂鬱なお務めだ。一昨年は退院直後だったので帰省しなかったし、去年はお腹の調子が悪いから、とパスしたために3年ぶりとなった。憂鬱になるのは、いろんな理由があるのだが、今年もやっぱり、近所の人の話、昔の家族の話になった。キタキタ・・・これもその理由のひとつ。名前を言われてもピンとこない人の話を延々とされても、オモロイはずがない。(イナカでは苗字でなく、名前で言った方が誰だかわかるらしい)いつの間にか、秀才だったらしい「和子さん」の話になった。「和子さんって誰?」和子さんは父の姉、つまり私のおばさんにあたるそう。若いころに亡くなっているので、私は写真ですら見たことがない。名前も墓碑銘で見た記憶がある程度。「1枚、髪をきれいにして晴れ着で、写真館で撮った写真があるよ。あそこの○○さんが彼氏でね、帰ってきたら結婚するはずだったもんで」へええ。写真は婚約者の○○さんが出征する前に、2人で撮ったものだそうだ。和子さんは16歳。が、運命は和子さんに無情だった。和子さんは病気で死んでしまう。戦争が終わって○○さんは帰ってきて初めて亡くなったことを知る。「せめてお仏壇にお参りさせてほしい」と仏壇に長い間手を合わせていったそうだ。2人を引き裂いたのが戦争という時代、そして病気と死・・・セカチューも真っ青、純愛悲恋物語。ぐぐ、ドラマだ。ちなみに○○さんは、近所にご健在。あのおじいさんにも悲しい青春あり。悲恋とは無縁のような、うちの一家にもこんな話があったのだな。つまり、こういう話は戦争中、はいて捨てるほどあったのだと思うと、暗い気持ちになった。写真を見たいと思ったが、物置の奥深くにあるというので、また今度用意しておく、ということになった。そのときにでももっと詳しい話を聞いてみよう。イトコも「今度は録音できるやつ、もってこやあ」なんて言っていた。・・・あれ?初めて来年もこようか、という気になったぞ。