『葉桜と魔笛』　太宰治

2007.04.07

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カテゴリ：本

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　葉桜のこの季節になると思い出す小説があります。

　太宰治の葉桜と魔笛という短編です。(←全文読めます。)

　これは高校の教科書に載っていた作品で、国語の授業中に、

　授業とは関係ないときも繰り返し読んだ記憶があります。

　こんなストーリーでした。

　葉桜のころになれば、私は、きっと思い出します――

　余命わずかな妹が、Ｍ・Ｔという男と交際し、

　　文通し、そして病気のために捨てられていたことを

　妹宛の手紙の束から知った姉は、男の筆跡を真似て、

　お詫びをしたためた手紙を妹へ書く。
　
　『…僕は、あなたを愛しています。毎日、あなたのお庭の塀のそとで、

　口笛吹いて、お聞かせしましょう。

　あしたの晩の六時には、さっそく口笛、軍艦マアチ吹いてあげます』
　

　妹は、手紙の束はウソで自分が書いたものだと告白する。

　そして、儚い自分の運命を哀しみ、心情を吐露する。

　妹を抱きしめる姉。そしてそのとき、奇跡のような

　口笛の音が…。

　
　
　今ではすっかり楽観主義者なわたくしですが、当時うら若き頃は

　悲観主義者で、厭世的で、後ろ向きな怠惰な少女でございました。

　青春らしき青春もなかった自分と、悲劇の妹を重ね合わせて

　『青春というものは、ずいぶん大事なものなのよ。

　あたし、病気になってから、それが、はっきりわかって来たの。

　ひとりで、自分あての手紙なんか書いてるなんて、

　汚い。あさましい。
　
　姉さん、あたしは今までいちども、恋人どころか、

　よその男のかたと話してみたこともなかった。

　姉さんだって、そうなのね。

　…ああ、死ぬなんて、いやだ。あたしの手が、指先が、

　髪が、可哀そう。死ぬなんて、いやだ。』

　　などとというセリフを読みながら

　うっとりと退廃的に酔いしれていたのでありました。

　あぁ～恥ずかしい子だったのね、私ったら。。。
　
　ばかっばかっ

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最終更新日 2007.04.07 23:22:17
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