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vol.1~バス停~

 

 
 unbelievable    vol.1~バス停~



   私は就職したての頃、寮に入っていました。
   同じ部屋の一年上のM先輩はとても優しい人で、
   いろいろと助けてもらい寮生活を送っていました。

   ある日 私はM先輩、他二人の先輩に誘われて居酒屋へ行きました。
   その頃はまだ真面目??だった私、
   アルコールなんてめったに口にすることがなく
   まして、酔った経験がない私は先輩に進められて

        生ビール1杯
   いがいとケロッとしている私を見て先輩は
        「芽ネギぃ、いけるじゃない!」
          「じゃあ次は 酎ハイねっ!」
   と注文され、酎ハイ一杯・・・・・

        あれぇ~~っ?なんだかフワフワして気持ちいい・・・
        これが酔っているってこと?
        すっ・・・すごい!お酒ってこんなに気持ちのいい飲み物なんだ!

        「芽ネギはなかなか飲みっぷりがいいねぇ。今度また一緒に飲みに行こうねっ!」

   それ以来、一週間に1~2回のペースで『飲み』に誘われ、
   私の肝臓は少しずつ、少しずつ鍛えられていきました。

   そんな生活が2ヶ月くらい続き、お酒を飲むペースがわかってきたある日、
   高校時代の友達と食事をすることになったのです。

   食事のあと、  「軽く・・・飲む?」
   友達とお喋りしながら飲むお酒はとても楽しくてどれぐらい飲んだのか???

   先輩に鍛えてもらって自分のペースを知っているはずが、
   何も覚えていない・・・・
   途中でおトイレに行ったのは覚えているけど、
   その先いつお店を出たのか・・???

   気が付いたら寮の部屋の中、ちゃんと布団を敷いて寝ていました。

        「私、酔っててもちゃんと帰れるじゃん!しかし・・・頭いたい・・・」
   そのままゴロゴロしていたら・・・・

        「芽ネギっ!なにゴロゴロしてんのよっ!外に出てごらんっ!
                       早く元の位置に戻してきなさいっ!!」
   M先輩が怒鳴りつけてきたのです。

   なぜ私がM先輩に怒られないといけないの?
        えっ?何があったの??私、何かしたの?

   痛む頭を抱えながら外に出てみると・・・
   50~60メートル先にあるはずのバス停が 寮の玄関先に置いてある。

        はて?誰が何のためにこんないたずらを?
         これ、私と、どう関係があるの?
        んんんんーーーーっ???
        M先輩は私に何をしろと言うのぉぉぉぉっ??

   痛い頭をますます痛ませて考えていたら、

        「覚えてないの?ゆうべ上機嫌で帰ってきて私に言ったこと。

           バス停がすぐ近くに
          あったらいいですよねーーーっ
          えへへ♪私、バス停つくっちゃいました!
          キャハハァーーーーッ♪


       と、言うだけ言って、
       私が敷いてあげた布団にゴロンと寝てしまったことを!
       冗談かと思っていたら、まさか本当にここにバス停を持ってきているとは・・・
       あんたって人は・・・」

   私は二日酔いに苦しめられ、
   通りすがり車の運転手や通行人に笑われながらM先輩の監督のもと、
   あのもっのすごく重たいバス停を
   一人で抱えて元に戻しに行きました。

   そうです、
   バス停を寮まで運んでみんなに迷惑かけたのは
   ・・・・・・実は私です。








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