元SF小説家・春橋哲史のブログ（フクイチ核災害は継続中）

ファファ、来園

　今月初めに、夢見ヶ崎動物公園のメスのレッサーパンダ「アン」をご紹介しましたが、同園に、新しく、オスのファファが来ました。カツオとミンミンがいなくなって以来、2頭揃うのは久し振りです。　早速、見に行ってきたのですが、まだ慣れないのか、発情期だからなのか、ファファはよく走り回っていました。できれば、動画でご紹介したいくらいです。　1頭だけの写真がファファです。ツーショットの写真では仲が良さそうに見えますが、アンはファファが正面から近付くと、突然立ち上がって、前足を万歳の姿勢に上げて威嚇していました(その場面は撮れなかったのですが)。　ガラス越しに撮った関係で、若干鮮明でないものもありますが、ご容赦下さい。立ち上がっているのは何れもファファです。 

チェルノブイリ核災害の際の、避難決定の経緯

「こうして原発被害は広がった~先行のチェルノブイリ」を読了しました。（リンク）●​先行のチェルノブイリ こうして原発被害は広がった​(ピアズ・ポール・リード著、文藝春秋、405頁、2011年６月)　元々は「検証　チェルノブイリ刻一刻」（1994年）と題して出版された本で、福島第一原発事故を受けて、吉井英勝・日本共産党衆議院議員の解説と、訳者あとがきを付して改題・復刊されました(私は無党派です。このブログを通じて特定の政党・政治家への投票を呼び掛けるものではありません)。訳者あとがきにはフクシマについての著者のコメントも載っています。　ボストングローブ紙が「チェルノブイリについて書かれた本の最高峰」と評しただけあり、凄い情報量でした。取材に相当の時日と労力を要したであろうことは想像に難くありません。　旧ソ連の核開発の歴史から始まり、チェルノブイリ原発の建設決定とその経緯を描いた後に、主題である1986年4月26日の事故の項目に続くので、事故に至る背景も理解できます。「フクシマ」が起きた今、読むべき本と言えるでしょう。　科学者・政治家・軍人・記者・現場の技術者等、それぞれの動きを踏まえた上で「全体」を描出した著者の能力には脱帽です。冒頭の「登場人物リスト」から100人を超えていて、取材の奥深さと丁寧さ、内容の濃密さはそれだけでも想像が付きます。　 特に私が何度か繰り返し読んだのは、事故後の避難に関する箇所でした。「直ちに健康に影響しない」を反復した(私は「流行語大賞は決まりかな」とも思いました)、何処かの国と比較せずにはいられませんでした。　チェルノブイリ原発事故の際の避難に関する部分のみ、内容を紹介致します。====================================　当時のソビエト連邦首相ニコライ・ルイシコフへの事故の第一報は、アナトーリー・マイオーレツ電力電化相から入りました。ルイシコフは、ボリス・エフドキモヴィッチ・シチェルビナ副首相を事故調査委員会の委員長に任命します。　シチェルビナ副首相は、クルチャートフ研究所副所長で、ソビエト科学アカデミーの会員でもあったワレリー・レガソフを初めとする科学者の一団と共にキエフのジウリャヌイ空港に飛び、26日の20時過ぎにプリピャチの共産党本部に入りました。　この時、マイオーレツ電力電化相は、チェルノブイリ原発の１・２号機の運転停止を否定し、所長のヴィクトル・ブリュハーノフに対して、爆発事故が起きた４号機の運転を年内にも再開せよと命じていましたが、シチェルビナ副首相は、様々な報告を聞き終えると、１～３号機の運転停止を命じます(チェルノブイリ原発では、５・６号機の建設計画も有り、完成すれば、世界最大の発電所となる筈でした)。　原発の建設作業員の住まいとして作られ、発展してきたプリピャチの町の人口は凡そ５万人でした。　26日の午前５時からチェルノブイリに来ていた(４号機が爆発したのは午前１時23分)、ウクライナ内務次官兼民警司令官のベルドフ将軍は、避難用としてバス600台を徴用しており、別にバス250台・車300台・列車２編成が利用可能であることをシチェルビナに報告します。　更に、ソビエト民間防衛軍副司令官のイワノフ上級大将が、市内の放射線量を報告しました(毎時１～50ミリレントゲン)。保健省の担当者は、被爆許容量は25レムであり、ヨード剤を配給して甲状腺を中和すれば、避難の必要は無いとの見解を示します。保健省の見解には科学者達が反対し、高濃度の放射性物質が放出された場合には、その中を避難する方が危険であり、安全第一で速やかに避難させるべきと主張しました。　更に情報を集める必要が有ると判断したシチェルビナ副首相は27日朝に再検討することとし、レガソフ博士とゲンナジ・シャシャーリン電力電化次官と共に、燃え盛る４号機をヘリコプターで視察しました。　地上からは各種の数値が測定され、改めて、原子炉の火災を止める方法が検討された結果、ホウ素・ドラマイト・鉛を添加した砂で原子炉を密閉するのが最善との結論に達します(推定必要量は3000～4000ｔ)。投下作戦はキエフ地区空軍司令官のアントシキン少将に命じられ、少将は、党本部の隣にあるホテル・ポレシエを管制塔に、その目の前の広場をヘリコプターの発着場に選定します。　27日７時に再開された会議でも、住民の避難を巡る意見は対立していましたが、シチェルビナ副首相は、10時に、ベルドフ将軍へ避難開始を命令します(これとは別に、子ども達へのヨード剤の配布が午前中から行われました)。　ベルドフ将軍は、住民が屋外で待機する必要が無いように、バスが住宅を回ることとし、町中に「3日間は留守にしても良いように」との告知がなされました。自家用車での脱出は禁止されます。　避難は２時間で完了し、混乱も死傷者も有りませんでしたが、実際の避難者が２万１千人だったことに助けられた側面もあるでしょう。人口の半分以上が既に町を脱出していました(但し、メーデーの休みが近付いており、その関係で遠出や旅行に出ている人もいました。原発事故を受けて自主的に脱出した住民の人数は不明です)。　プリピャチから避難した住民の身分証は「保管」と称して取り上げられました。避難先からの更なる移動を防ぐ為の処置で、原発事故の情報を「統制」するのが目的だったと思われます。　　4月28日に、スウェーデンが、ソ連邦領内からの放射線粒子の異常な増加に気付きます。しかし、スウェーデン政府からの照会に、当初、ソ連政府は事故発生を否定します。21時にタス通信によって声明が伝えられますが、それは、チェルノブイリ原発で事故が発生したことのみを伝えるもので、爆発や、火災、住民の避難といった肝心の部分には触れていませんでした。　4月29日には、キエフ軍管区化学部隊司令官のピカロフ将軍がヘリコプター３機をチェルノブイリ原発周辺に送り込み、高度50～2000mの範囲に配置しました。各ヘリは２分おきに大気のサンプルを採集し、このお蔭で、汚染度を示す図面が正確に描かれます。　５月１日の13時、モスクワの赤の広場でメーデーのパレードが終わった後、ニコライ・ルイシコフ首相はソビエト共産党中央委員会政治局のチェルノブイリ委員会を開きました。この頃、ベラルーシの保健省からは放射線検出装置とヨウ化カリウム錠剤が必要との緊急要請が出されており、ウクライナの保健省や民間防衛隊では、惨事の規模が大き過ぎて対処し切れていないことが判明しつつありました。　　ルイシコフ首相は陸軍部隊の動員命令に署名し、更に、ソ連邦保健省の管轄下に医事委員会を設置することが決定されます。又、不眠不休で事態の対処に当たっていたシチェルビナ委員長の後任として、同じく副首相のイワン・シラーエフを指名します。一方、原発から半径10ｋｍ以遠に避難命令を出すべきか否か、専門家の間で見解の相違があり、容易に結論が得られそうに無かった為、ルイシコフは自分が現地で対処することにし、その日の夜、ソビエト共産党書記長のミハイル・ゴルバチョフに報告しました。　５月２日、ルイシコフ首相は、ソビエト共産党中央委員会政策部長のエゴール・リガチョフや、その他多くの科学者・専門家と共にウクライナに向かい、チェルノブイリ市の党本部に入ります。　党本部ではソ連邦やウクライナの各省大臣・次官等約250人が集まる会議が開かれ、席上、レガソフ博士が「これまでに5000ｔ以上の砂・ホウ素・鉛を投下している」と報告し、マイオーレツ電力電化相が「４号機の運転再開の予定表を作成している・（建設中の）５号機は予定通り運転が開始できる」と確約します。この確約が拍手で迎えられる一方、原発の周辺15km圏内の汚染が深刻となっている―、放射性物質がキエフ貯水湖に流れ込む可能性があるー、放射性物質の堆積が原発の30km圏外まで広がり、一部がベラルーシ共和国のゴメリ北方に達している―、周辺の９つの村は家畜の牛を残せば２時間以内に避難が完了できる―等の情報も伝えられます。　ルイシコフ首相は、シチェルビナ副首相・リガチョフ政策部長・レベンコ書記(ウクライナ共産党キエフ地区第一書記のグリゴーリー・レベンコ)と、必要な予算や残留した場合の放射線障害を発症する確率等を比較検討し、原発の半径30km圏内を立ち入り禁止とするよう、決定します。　この頃、ウクライナのアナートーリー・ロマネンコ保健大臣は、アメリカ合衆国のアトランタで開かれた会議に参加していました。情報不足のまま５月２日に帰国し(ウクライナでの５月１日のメーデーの祭典は予定通りに開催されました)、翌日にチェルノブイリを視察しますが、権限や情報は、ソ連邦保健次官管轄下の医事委員会が掌握していました。　５月７日、ウクライナ共産党中央委員会政治局の会議に、ユーリー・イズラーエリ水文気象・環境監視国家委員会議長と、レオニード・イリイン生物物理学研究所所長の２人が招かれます(放射線に対する医療方針の基準はこの委員会と研究所が策定していました)。会議の席上、ウクライナ共産党のウラジーミル・シチェルビツキー書記長は、国民を放射性物質から防護する注意事項を明示するように求めました。　イズラーエリ議長とイリイン所長は、「現時点では、キエフ市・キエフ州の汚染、及び食品に含まれる放射性物質の価は子どもを含めた住民の健康に危険をもたらすものではない。子どもを含めて住民を避難させる必要は無い」旨を回答します。両名は文書にしたものに署名し、シチェルビツキー書記長に提出しますが、この時、ワレンチーナ・シェフチェンコ副首相がイズラーエリ議長に「貴方の孫がキエフにいたらどうしますか?」と質問しました。　副首相自身の回想によれば、彼女の質問にイズラーエリ議長は黙っていたそうですが、イリイン所長によれば、議長は「大丈夫だ」と答えたそうです。真相は藪の中ですが、イズラーエリ議長同意の元に、ウクライナ閣僚会議は、その年度に限り５月15日で学期を終了させ、７年生までの児童を、放射性物質の影響を受けていない地域に避難させる議案を通過させました。この決定は、ロマネンコ保健大臣が５月８日の夜にテレビで公表します。======================================　同書の内容の一端ではありますが、避難に関する部分のみをご紹介しました。尚、「引用」でないことにご留意下さい。　とてもお勧めする本・読んで欲しい本ですが、敢えて欠点を上げると、事故後から旧ソ連崩壊までの描写が急ぎ過ぎのきらいが有ります。事故後の政治的変化はそれだけで一冊の本になるでしょうから、余りに多くの変化・余りに多くの情報を詰め込み過ぎて、１回読んだだけでは理解できないかも知れません。私は何ヵ所か、２度読みました。 　とは言え、その欠点は、本書の価値を些かも損なうものではありません。チェルノブイリ原発事故を俯瞰するのに最適の書であるのは間違いないでしょう。巻頭の地図や、事故の推移を追ったイラストだけでも一見の価値有りです。　翻って、日本の「フクシマ」を考える時、全体を俯瞰できるのはいつ頃になるのでしょうか?　そして、「命を守る」という当たり前の事にどれ程の比重が置かれたのか、いつ検証できるのでしょう?　日本では今、政府事故調・国会事故調、そして所謂「民間事故調」の３つの調査が並行して進められています。福島で原発事故が進行していく中、どのようにしてどのような情報が収集され、最高意思決定の場に於いてどのような基準や理由で判断が下されたのでしょう？ 　解明された事より、未解明の部分の方が多いのではないかとすら思えます。　政府や当時の関係者に言いたいことや糺したいことは多々ありますが、先ずは、各種の報告書の提出を我慢して待ちます。​春橋哲史（ツイッターアカウント：haruhasiSF) ​​​​​​

レッサーパンダ、餌の時間

　12日に、横浜市の野毛山動物公園に行って来ました。日曜日だけあって、かなりの人出でした。　珍しい事に、レッサーパンダ（ウミとキンタ）は２頭揃ってお昼寝中でした。周りで人が騒がしいのに、まるで気にならない風でした。時々、キンタが頭を起こして、周りを見回していましたが、すぐにコテッと丸くなります。丸まってても、可愛いですね。　ですが、餌の時間はすぐに分かるようで、飼育係の気配がすると、2頭揃って飛び跳ねるように身体を起こし、そわそわし始めました。餌は、リンゴと、濡らした笹の葉ですが、メスのキンタの方が食欲旺盛で、リンゴを食べ終わった後、いつまでも笹の葉を食べていました。オスのウミは、殆どリンゴしか食べず、食事を済ませると木に上って丸くなり、また寝ていました。  掲載の写真は、大半がキンタのもので、上から３枚目だけがウミです。 

さようなら原発１０００万人アクション全国一斉行動ｉｎ東京

　２／１１に代々木公園イベント広場で開催された「さようなら原発１０００万人アクション全国一斉行動ｉｎ東京」に行ってきました。歩道橋から見ていたので、当日の模様は、遠目ながらも写真に収められました。　大江健三郎氏（写真上段）や澤地久枝氏（同下段）の話も聞けましたが、私には、分かり切っている話の繰り返しで、新味はありませんでした（決して、両氏の評価を下げようとしているのではありません）。　ですが、このような脱原発・反原発の集会が、同じような発言の繰り返しになるのは、止むを得ないでしょう。例えるなら、軍産複合体に向かって「戦車を作るな」「武器を輸出するな」と言っているのと同じですから、言われた側がすぐに止める訳が有りません。　結局、「金儲けよりも道徳を大事にしよう」「人として当たり前の生き方を」「孫子の代に押し付けてはいけない」と同じ訴えを何年も、何十年も、繰り返すことになります。飽きたり、絶望したりしたら、「複合体推進側」の思う壺ですから、気楽に、粘り強く、飽きずに、続けていくしかありませんね。　それにしても気になったのは、一部参加者のマナーの悪さです。主催者から、「後方から、ステージが見えなくなる」「録音の関係で、差しさわりが有るから」との理由で旗や幟を掲げないように求められているにも関わらず、大半の旗や幟が掲げられたまま。開始前に主催者から、注意事項やトイレの案内などが放送されている時に、メガホンを使ってシュプレヒコールを上げ続ける団体が有って、声が交錯していました。私は両方とも聞き取れましたが、耳の遠い人はどうなるのか？　熱心なのは分かりますが、主催者以外がメガホンを使うのは感心しませんでした。　一部のシュプレヒコールや幟旗に書かれたスローガンにも疑問を感じました。この集会は、あくまでも「脱原発・反原発」を掲げるものですから、当面の目標は、原発の再稼働を認めないという意思表示になる筈です。その中で、「消費税増税反対」「社会保障改悪阻止」「普天間基地撤去」「米海兵隊居座り阻止」「日米安保強化反対」「野田内閣打倒」といったスローガンを掲げるのは如何かと思います。私も、消費税増税には反対ですし、日米安保体制にも言いたいことは有りますが、どういう主旨の集会に参加しているのかを考えて欲しいです。主旨の違うことを訴えたいなら、自分達で集会を主催して、そこで言えば良いでしょう。寧ろ、主旨の違うことを叫び続ける人達がいるからこそ、集会への参加を躊躇う人も出て、逆効果だろうと思います。　発言だけを聞いて、デモには参加せずに引き上げましたが（デモの出発はダラダラとなり、予定より遅れると相場が決まっています）、やはり私は、「集会参加型」の人間ではないようです。分かり切った話を聞いていても飽きるんですね。ところが、本を読んだりドキュメンタリーを観ていると飽きません。自分の中の知識の在庫が積み重ねられていくのは、楽しいですね。

野毛山動物公園のレッサーパンダ

　前回は川崎市のレッサーパンダをご紹介しましたが、今回は横浜市に有る野毛山動物公園のレッサーパンダを紹介します。「キンタ」と「ウミ」です。http://www2.nogeyama-zoo.org/　この動物公園は入場無料の上、「仲良し広場」でモルモットやヒヨコを手に載せられるので、動物好きの人には、お得度が高いと思います（モルモットやヒヨコのご紹介は回を改めます）。　野毛山公園と一体となっていて、緑豊かな高台です。吊り橋を渡ると、展望台も有り、晴れ渡った日には、丹沢や富士山が望めます。展望台も、去年の夏に作り替えられた綺麗なものです。　私は、３ヶ月に2回くらいは野毛山動物公園に足が向いてしまいます。ガラスや檻に隔てられている夢見ヶ崎と違って、ここなら、レッサーパンダが仕切りなしで見られるのが良いところです。レッサーパンダの啼き声も、ここで初めて聞きました。

写真追加・「ヒトラー　権力掌握の２０ヶ月」

　久し振りの更新になりました。　脱・原発世界会議の項目に当日の写真を追加しましたので、ご興味のある方はご覧下さい。レッサーパンダでも何でも、写真を撮るだけ撮って、整理が追い付かず、後手後手に回ってしまいます。　 最近、「ヒトラー　権力掌握の20ヶ月」（グイド・クノップ著　中央公論新社　354頁）を読了しました。著者はＺＤＦ（公共放送ドイツ第２テレビ）の現代史局長を務める人物との事で、元々、テレビドキュメンタリーとして放映したものに、更に追加したのが本書との事ですが、まるで、上質のドキュメンタリーを観ているかのようにグイグイと引き込まれ、夢中で頁を捲っていました。　1933年の年明けから、1934年夏の「長いナイフの夜」までを取り上げ、その間に、周囲の人間がどのようにヒトラーを利用しようとしたか、そして、如何にヒトラーに利用され、同質化・無力化されていったかが克明に描かれています。登場人物の多さや、繰り広げられる陰謀・策謀の数々は、壮大な物語とも言え、「事実は小説よりも奇なり」の感を覚えずにはいられませんでした。　特に、全権委任法を採決する議会の様子は、現代史の重要な一場面とも言え、議事堂からオペラ堂に移動する間にも社民党の議員が逮捕されたり、中央党がペテンにかけられたりする様は、「民主主義」が崩壊していく過程であり、空恐ろしく思いました。　私は「ヒトラー　独裁への道～ワイマール共和国崩壊まで～」（ハインツ・ヘーネ著、朝日選書）も持っていますが、併読すると、ヒトラーが権力を掌握していくまでの過程が良くわかります。　大統領・国民（有権者）・社民党以外の政党・公務員・軍・大半の報道機関等、国のあらゆる層が「民主主義」を信頼せず、「民主主義」を守ろうとも育てようともしなかった結果、第三帝国という化け物が生まれたとも言えますが、「権力掌握の２０ヶ月」でも指摘されているように、ヒトラーを阻止する機会は何度も有った筈であり、どうして阻止し得なかったのかという点は、今後も更なる研究が必要だと思います。　ナチス党（国家社会主義ドイツ労働者党）は、ワイマール体制下で初めて現れた国民政党（と、思われていた）であり、アドルフ・ヒトラーの、権力闘争に勝つ為の執念と眼力はずば抜けていました。かと言って、「全国民が彼に騙された」とも言えないでしょう。間違いなく、彼やナチス党を利用しようとした勢力は存在しましたし、ナチス党も、国会で単独過半数を取ってはいないのです。　民主主義という制度を考える時、「ワイマール体制は自殺か他殺か」 という問いを発する事は極めて重要且つ必要な事だと思います。民主主義の中で第三帝国が生まれ、第二次世界大戦が引き起こされたのです。「民主主義は恐ろしい」という図式も成り立つと思います（或いは「民主主義も恐ろしい」と言うべきか）。　 過ちを繰り返さない為にも、先ず、知る事です。どんな悲惨な結果も、いきなり結果だけがポンと出てきた訳ではありません。必ず、そこに至る経過が有ります。その経過を知ることで、阻止し得る事も有ると思います。「過去が現在に関係が無ければ、歴史も戦史も、その醜いはらわたを暴く必要はないのである」（五味川純平著　文藝春秋　「ガタルカナル」305頁より）

木の上のアン　尻尾が目立つ・・・

アンの写真　続き

夢見ヶ崎動物公園のレッサーパンダ

　原発の話題が続いたので、趣を変えましょう。　自宅から電車で一駅のところに、夢見ヶ崎動物公園が有ります。丘陵地帯になっていて、見晴らしも良く、ブラリと出かけるのに丁度良い所です。ここの動物公園に、昨年11月、新しいレッサーパンダが来ました（以前にいた２頭は、一昨年の同じ日に揃って天国に旅立ちました）。「アン」という名前ですが、臆病なのか、慣れていないのか、飼育係が餌の笹を持って入ってくると、隅っこに逃げてしまい、出ていくと、食べ始めます。短い脚でちょこちょこと動き回る仕草が可愛く、この寒い季節に太い尻尾を見ると、思わず、マフラー代わりにしたくなります（笑）。見ていて飽きない可愛さですね。