【追加情報あり】緊急アップ! フクイチの作業員が死亡~20人目の死者~
※1/24の東電の記者会見で判明した情報に基づいて、1/25午後に追記(赤文字部分)。1月21日に、20人目の死者このような記事は、書く度に、調べる度に気が滅入ります。 残念なことに、2019年1月21日に、東京電力・福島第一原子力発電所(以下、「フクイチ」と略)で働いていた協力作業員が亡くなったことが東電から公表されました。 先ず、1月22日の東電の日報から、関連部分を引用します。(リンク):1月22日公表の日報(末尾の【1~6号機の状況】の後に記載)====引用ここから==== 1月21日午後、発電所構内で作業していた協力企業の作業員の方が、意識不明の状態となり、ただちに緊急搬送したものの、同日、お亡くなりになられました。ご冥福をお祈り申し上げるとともに、亡くなられた方のご家族へ、お悔やみ申し上げます。====引用ここまで==== 東電にしては珍しく、ご家族への哀悼の言葉が含まれています。これでも、東電のリリースとしてはましな方です。 作業員が意識不明で緊急搬送されたことは、21日の定例記者会見で東電が口頭で説明していました。 フリージャーナリストの木野龍逸(きの りゅういち)さんが「その後の容体は」「救急車がフクイチを出発した時間は」「緊急メールで知らせないのは何故か」と粘って質問していましたが、東電は「情報がありません」「作業との明確な因果関係が認められない」などと、いつものパターンで逃げ回っていました。 翌日になったら、日報の末尾で「亡くなりました」と知らせるだけ。故人やご家族に哀悼の言葉を述べてはいますが、作業内容・年齢・フクイチでの勤務歴は記載せず、如何にも事務的です。 産経新聞がネットに流した速報と、21日・25日の東電の記者会見の質疑に基づいて、情報をまとめます。====まとめ、ここから====「(故人は)40代の男性で、フクイチでの勤務歴は約6ヶ月」「21日・月曜9時頃からフクイチ西門付近のスクリーニング場で車両の線量測定に当たっていた」「協力企業の元請けは東京パワーテクノロジー」「昼休み1時間と、午前・午後の小休憩を挟んで業務に当たっていた」「作業班長が都度、班員の体調を確認していた」 以下、時系列 1月21日・月曜・午前9時に始業。 15:25、突然倒れ、一緒に働いていた人が入退域管理棟のER(救急医療室)に連絡。 15:39、ERの医師が現場に到着し、心肺停止を確認。蘇生措置を開始。 15:47、医師の判断によって救急車が呼ばれる。 16:01、救急車がフクイチに到着。蘇生措置は継続していた。 16:29、救急車がフクイチを出発。 16:43、県立ふたば医療センター(富岡町)に到着。 その後、死亡確認。====まとめ、ここまで==== あくまでも、産経新聞の記事と、記者会見での質疑応答に基づいたものです。 21・24日の東電の定例会見とも、「作業員が搬送されたこと・亡くなったこと」について、質問していたのは、フリージャーナリストの木野さんだけでした。上記の時系列も、木野氏の質問によって判明しました。 脱原発を掲げている新聞・雑誌の記者・編集者は来ていなかったようで(来ていたとしても発言が無い)、他の大手メディアの記者も、2号機格納容器の調査の件ばかり質問していました。 人命に関心がないのは、東電だけではないようです。 24日の会見で、木野さんが、「当初は『意識不明』と発表していたが、実は『心肺停止』だった。どうして間違った情報を流したのか。正確に公表すべきではないか。意識不明と心肺停止は違いすぎる」と指摘していましたが、東電は「最初の情報では『意識不明』だった。結果的に『心肺停止』と分かった」と回答していました。 更に木野さんが、「医師が現場で心肺停止を確認している。にもかかわらず、その情報は翌日の日報にも掲載されていない。人の命にかかわる情報を、軽く扱っているのか」という主旨で畳みかけていましたが、東電は「現場の情報がリアルタイムで把握できる訳ではない」と、ノラリクラリの対応で、最後まで「申し訳ございませんでした」とは言いませんでした(発言内容は全て「要旨」。一言一句正確なものではないので、ご注意下さい)。 木野氏と同じ立場で質問する他の記者もおらず、私は、24日の会見動画を観ていて、目の前で行われている「命」に関する質疑をスルーする他のメディアの記者が、東電と同じくらい、怖く思えました。 だから私は新聞は購読せず、大手メディアを「マスゴミ」と呼ぶのです。 残念ですが、これで、東電が公表・認めているだけで、発災以来の作業員の死者は20人になりました。年間平均・約2.5人の計算です。 これほどのペースで人が亡くなる職場って、あるのでしょうか?(尚、「20人」という数字も、東電の発表によるものではなく、発災以来の東電の日報を、私が1日ずつ確認して、数えたものです)。 3.11事故が起きなければ、この収束・廃炉作業も必要なかった筈です。 私個人として、3.11を止められなかった主権者として、フクイチの電気を消費していた者として、亡くなられた方達とご家族に哀悼の意を表し、お詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。 合わせて、24日の記者会見で、唯一、亡くなった作業員のことを質問した木野龍逸氏に感謝と敬意を表します。「東電が公表・認めているだけで」20人 東電は、作業との直接の因果関係がなければ「労働災害」には分類せず、雇用主が元請け・下請けの場合は、「直接の責任は無い」という立場を貫いています。 そもそも、東電が公表・認めているだけで、発災以来の作業員の死者が20人に達したことを、一体どれだけの主権者が把握しているでしょうか? しかも、この人数は、あくまでも東電が公表・認めているものだけです。協力企業の寮で就寝中に心不全で亡くなっていたような事例は、東電が把握する義務も仕組みもありません。 このような言い訳を許す法律も問題ですが、フクイチに特化した法律を作ろうという動きは、国会議員にも、主権者・国民にも見られません。 あらゆる意味で東電の「逃げ得」を許す仕組みなのが現状です。 亡くなった方達は、皆、誰かの息子、誰かの孫、誰かの友達であり、多くの場合、誰かの兄弟で、誰かの父親で、誰かの夫です。ひと一人の命や人生が余りにも軽んじられる現実に押し潰されそうですが、せめて、私に今できることとして、記録にとどめ、他の人達に伝えていかなければいけません。 改めて、故人のご冥福をお祈り致します。春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)