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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ事故は継続中)

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2020.11.16
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フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)の汚染水の数字です。

 原子炉注水用のRO水(淡水)の量が減少した為、直近の一週間で見ると、タンク内貯留量は減少しました。

 溶接タンクの増設・運用開始が進んでいて、タンクの運用容量も136万2000tを超えました。

 グラフも含めて掲載します。
 先月以来、貯留水の増加量にブレーキがかかっているので、次回、当ブログに汚染水の貯留量・滞留量の数字を掲載するのは、11月30日以降とします(11月分の数字がまとまってから)。

 当ブログのポンチ絵やグラフはクリックすると拡大します。無断転載・引用はご遠慮下さい。​​​
 グラフ・表・ポンチ絵はB5サイズ以上のタブレット・PCでご覧頂くことを前提に作成していることをお断りしておきます。
 見難い場合には、ワード・ペイントに張り付けてご覧下さい(Windowsの場合)。


福島第一原発の汚染水の貯留量・滞留量​​​​​​​(2020年11月12日)

​​
(リンク)​元データ→ ​​​​​​​​​​​福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第477報)​​​​​​​​​​​​​​​​/PDFファイル3頁右上、「RO処理水(淡水)」「処理水」「サンプル水」「処理水(再利用分)」「Sr処理水等」「濃縮塩水」の貯蔵量・貯蔵容量から計算。

タンク内貯留総量:約124万t​​​​​​(移送中の水・タンク底部の水は、計測不可の為、含めず/RO濃縮水は過去の処理量に基づく計算値)

​​タンク運用上限値:約136万3千t容量​​撤去・解体予定のフランジ[ボルト締め]タンクは、当ブログでは運用数値に含めず)​
​​​​
建屋滞留水:​​​約1万4千t​​(主として1~3号原子炉建屋+プロセス建屋+高温焼却炉建屋/水位計の計測等に基づく計算値)




グラフ



(リンク)数字・注記の出典

●​​エリア別タンク一覧(20年10月22日時点)

●​​​​タンク建設進捗状況(20年10月29日公表)

●​建屋周辺の地下水位、汚染水発生の状況​(同上)

●​処理水ポータルサイト

●​​タンク貯留水のトリチウムの推定インベントリ​(20年7月/PDF3頁)

●​​多核種除去設備等処理水の二次処理の性能確認試験の状況(20年10月29日公表)

●​​​建屋滞留水の処理状況​(20年10月29日)

●​5・6号機滞留水​(20年9月下旬)

●​5・6号滞留水の浄化散水

●​2018年度の「5・6号滞留水」「タンク外周堰内雨水」の散水量と放射能量​(平成30年度放射線業務従事者線量等報告書/PDFの13頁)

●​​​​ALPS処理水貯留タンク内のスラッジ堆積に関する追加調査状況​(20年3月27日)

●​HIC内スラリーの2018年5月の推定インベントリと、HICの保管場所​(2頁)

​​​​廃棄物処理建屋最地下階のゼオライト・活性炭の土嚢に関して​(20年3月27日/2~6頁)

●​ALPSで除去する62核種の選定理由・過程と、元素記号

●​告示濃度​(核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示/2015年8月31日・原子力規制委員会/PDFの29頁から始まる別表第一。水中の濃度は第六欄、気中の濃度は第五欄。水の1Lは1000立方センチなので、第六欄の数字を1000倍すれば1L当たりの濃度になる)。


タンク外周堰



春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​​​​​​​​






Last updated  2020.11.16 19:48:33
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2020.11.09
カテゴリ:カテゴリ未分類
 月刊誌「政経東北(東邦出版)の11月号が、11月5日・木曜日に発売されました。

(リンク)​政経東北

(リンク)​定期購読のご案内 - 月刊 政経東北

 11月号では、「着実に進んでいるリスク低減・除去」と題して、フクイチの、汚染水以外のリスク対応状況をまとめました。
 フクイチというと、悲観的な事ばかりが思い浮かびがちですが、「出来ていることは出来ている」「進んでいるところは進んで」います。








 以下の過去記事は無料で読めます。可能なら、購読をお願いします(笑)

(リンク)
第1回(20年4月号):​「処理水」はタンク貯留を継続すべき

第2回(5月号):​汚染水「タンク用地確保」の具体策

第3回(6月号):​増え続ける放射性固体廃棄物

第4回(7月号):​入域人数と死傷者数から見るフクイチ

第5回(8月号):​見過ごされがちな水処理二次廃棄物

第6回(9月号):​ALPS小委の報告書は 「提言もどき」

第7回(10月号):​国富を無駄遣いする原子力複合体


 今後とも、宜しくお願いします。


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​ 








Last updated  2020.11.17 12:36:01
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2020.11.06
カテゴリ:原発再稼動
20年11月上旬時点の稼働原発は、1サイト1基

 全国の原発の再稼働等のまとめです。​​​


 現在、特重施設(特定重大事故等対処施設)の設置が期限に間に合わなかった為(工事計画認可から5年以内)、川内原発1・2号(九州電力)と高浜3・4号(関西電力)が長期停止となっています(「施設定期検査」の扱い)
​ 更に、広島高裁が稼働差し止めの仮処分を下した伊方3号(四国電力)も、来年3月までの特重施設の設置期限までに、仮処分を解除できる見通しが立たなくなった為、少なくとも、来年10月まで停止することが確実になりました。

(リンク):​四国電力のまとめ

 大飯4号(関西電力)・玄海3号(九州電力)も定期検査で停止しており、大飯3号も配管の亀裂の確認で定期検査終了の見通しが立っていません。

(リンク)
:​大飯発電所3号機 加圧器スプレイライン配管溶接部における有意な指示について​(2020年9月9日、原子力規制委員会)


 現時点(11月上旬)で営業運転中の原発は1サイト・1基のみです。「原発ゼロ」ではありませんが、限りなく、それに近付いている状態です。原発を営業運転させているのは、九州電力のみです。

●玄海4号(九州電力)

 1年前(2019年秋)には、稼働可能な炉は5サイト・9基でした。それが今では、1サイト・1基です。

 

今後の見通しは「原子力複合体」に逆風

 関西電力は、延長運転工事が完了した美浜3・高浜1を稼働させたいようですが、福井県を含む地元は「金品受領問題の解明とガバナンスの立て直しが先」との姿勢です。
 又、関西電力が年末までに福井県に示すとしている「中間貯蔵施設の立地候補地(県外)」も、選定できるかどうか分からず、この成り行きによっては、福井県が、関電の原発事業に更に冷淡になる可能性もあります。


(リンク)
美浜発電所3号機ならびに高浜発電所1、2号機の安全性向上対策工事の実施状況について


 美浜3・高浜1が仮に再起動できたとしても、何れも来年に特重施設の設置期限を迎えるので、年単位の運転は出来ないでしょうし、これらの原発は稼働停止期間が10年前後に及んでいます。私は、原発のような複雑なプラントが、10年以上の停止期間を経て、まともに運転できるとは思っていません。小さな事故・故障が多発して、稼働率は上がらないと見ています。

「稼働停止期間10年超」の原発は、今月から増えていきます。
 11月6日には、女川2号(東北電力)が「稼働停止期間10年超」になりました。今月29日には、浜岡3号が後に続く見込みです。
 年度が変わる頃には、「稼働停止期間10年超の原発」の出力総量は1000万キロワットを超えているでしょう。
 下記の資料3のグラフの中にある赤い棒グラフは、今後「劇的に」伸びていく筈です。

 原発事業が相対的に順調で、自らの計画が達成できているのは、九州電力くらいです。原発の設備利用率は今後も上がらず、「原子力複合体」(所謂「原子力ムラ」)には逆風が続くでしょう。

 2005~19年度の日本の電力需要と電源別発電量は、別記事にまとめています。

(リンク)
●​2005~19年度の、日本の電力需要と電源別発電量

 資料はクリックすると拡大します。​
 出典含め、関連リンクは末尾に付けますが、全てを網羅するのは困難であることをご了解下さい。
 資料1~4は一体となっているので、総合的に見て頂くようにお願いします。
 
 ポンチ絵・表・地図の無断転載・引用は御遠慮下さい。

 又、当ブログの表やポンチ絵はB5サイズ以上のタブレットやPCで閲覧する事を前提に作っていることをご了承下さい。見難い場合はペイント等にコピペしてご覧下さい(Windowsの場合)。
 状況の変化によって、適宜、更新していきます。
​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​
 今後の原発関係で確実に見込める「予定」は年表形式で、当記事の末尾にまとめています​。


資料1
全国の実用発電用原子炉の審査・運転・廃炉等の状況、地図版


資料2
全国の実用発電用原子炉の審査・運転・廃炉等の状況一覧(2020年11月上旬)





資料2の関連地図


資料2の脚注


BWRやPWRの構造イラスト等→ ​(リンク)原子力文化財団のサイト

​​​​資料3
(日本原子力産業協会・電力各社・原子力規制委員会のサイトを元に春橋作成)


作成の際に根拠・参考としたサイトやPDFファイル(一部)

(リンク)
​​●玄海原子力発電所の運転状況及び周辺環境調査結果[季報](平成30年4月~6月)

●​​原子力広報「薩摩川内」(2020.10)

●柏崎刈羽原子力発電所のデータ集

●福島第二原子力発電所からのお知らせ・Vol67​(2019年10月1日)

●新規制基準と審査について

●発電用原子炉に係る審査状況 設置許可

●原子力防災会議​

●日本原子力産業協会・日本国内の施設の運転実績


資料4 原子力施設の新検査制度


(リンク)​原子力規制検査の概要


原発の再稼働・廃止措置関係の今後の「スケジュール」​

 今後の原発のオンサイト関係の「予定」(見込みや、事業者が公表しているものも含む)です。
 赤文字はフクイチ関係、青文字はフクイチ以外、黒文字は選挙と五輪関係です。

​​​​​​​​====今後、見込まれる予定。ここから====​
​​​​​​​​​​​​​​​​​​​
 ​​11月21日:玄海3号(九州電力)が再起動
    29日:浜岡3号(中部電力)の​​​稼働停止期間が10年を超える

 
​​12月4日:大阪地裁で、大飯原発3・4号稼働差止訴訟の判決
    5日:臨時国会、会期末
         24日:広島高裁で伊方3号(四国電力)の稼働差し止め仮処分に対する異議審の第1回審尋
​​

 12月:関西電力が、福井県に使用済み核燃料の中間貯蔵施設の設置場所を提示(?)
    
:川内1号が営業運転を再開          
    :川内2号(九州電力)が再起動
​​​    :玄海3号が営業運転再開
    :玄海4号が定期検査の為に停止
    :原子力規制委員会がMOX燃料加工施設の事業変更を許可する審査書を正式決定
    
:原子力規制委員会がフクイチ事故の分析に関する第2回報告書の素案をまとめる(?)
    ​:ALPS処理水の二次処理試験の詳細結果公表
    ​​​
:溶接タンクの設置が完了
    :​1~4号タービン建屋・同廃棄物処理建屋・4号原子炉建屋最下階に、ポンプB系を設置(建屋滞留水処理完了)​​​​​​​
​​​​​​
21年1月10日:高浜1号(関西電力)の稼働停止期間が10年を超える

   1月:
「もんじゅ」(原研機構)で原子炉から炉外燃料貯蔵槽への燃料移送を開始
             :高浜3号(関西電力)、再起動(?)
             :美浜3号(関西電力)、再起動(?)
         
  2月6日:東通(東北電力)の稼働停止期間が10年を超える

  2月:
高浜4号(関西電力)、再起動(?)

      3月1日:志賀1号(北陸電力)の稼働停止期間が10年を超える
      11日:
志賀2号(北陸電力)の稼働停止期間が10年を超える
       :女川3号(東北電力)の稼働停止期間が10年を超える
    15日:東海第二(日本原電)の稼働停止期間が10年を超える
            18日:
水戸地裁で東海第二原発運転差止訴訟の判決
    22日:伊方3号、特重施設の設置期限

  3月:「もんじゅ」で原子炉から炉外燃料貯蔵槽への燃料移送が終了
    :「もんじゅ」で炉外燃料貯蔵槽から燃料池への燃料移送を開始
    :高浜1号(関西電力)、再起動(?)
    :増設雑固体廃棄物焼却設備が運用開始
            ​:原子力規制委員会がフクイチ事故の分析に関する第2回報告書を正式決定​

20年度・第4四半期:
3号SFPから共用プールへの燃料移送が完了
          :島根2号(中国電力)、工事完了(?)
      ​​
 4月:高浜2号(関西電力)、20年延長運転工事が完了(?)
   :柏崎刈羽7号(東京電力)、工事完了(?)

 5月末:東海再処理施設(原研機構)で溶融炉の結合装置の交換が完了。高放射性廃液のガラス固化を再開(?)

 6月9日:高浜1・2号(​関西電力)、特重施設の設置期限

21年度・第1四半期:大熊分析研究センターの第二棟が着工
          :減容処理設備を着工
          :大熊分析研究センター・第一棟が運用開始

 7月:東京都議会議員、任期切れ
   :東京五輪が開催(?)

   8月:東京パラリンピックが開催(?)
   :茨城県知事選(?)

 9月25日:茨城県知事(大井川和彦)、任期切れ

 9月:菅自民党総裁、任期切れ
   :「もんじゅ」で炉外燃料貯蔵槽から燃料池への燃料移送が終了

21年度上期:島根3号(中国電力)、工事完了(?)

 10月25日:
美浜3号(関西電力)、特重施設の設置期限
​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​
 10月:衆議院議員、任期切れ
    :宮城県知事選(?)

 11月20日:宮城県知事(村井嘉浩)、任期切れ
​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​
21年度下期:大型廃棄物保管庫・第一棟の運用を開始
​​​​​​
21年度末:建屋開口部127箇所の閉塞が完了
     ​​​​:メガフロートの護岸工事が完了。物揚げ場・作業ヤードとして活用開始

22年5月:新潟県知事選(?)

 6月9日:新潟県知事(花角英世)、任期切れ

​​​​​ 7月(?):第26回・参議院議員選挙

 ​​8月:大飯3・4号(関西電力)、特重施設の設置期限​​

22年夏:タンク容量が物理的に限界を迎える可能性

 ​​​9月:原子力規制委員会の更田豊志委員長が任期切れ​​​​​

22年度上期:6号SFPの燃料取り出しを開始
      ​:六ヶ所再処理施設(日本原燃)が竣工(?)​​​​
​​​
​​ 12月:東海第二(日本原電)、延長運転工事が完了(?)
    :茨城県議選(?)

23年1月7日:茨城県議会議員、任期切れ

​​
22年度下期 :HIC内のスラリーの脱水・抜き取りを開始
       :固体廃棄物貯蔵庫・第10棟の運用を開始
       :減容処理設備が竣工
​​       :女川2号(東北電力)、工事完了(?)
       :東海再処理施設で2号溶融炉の取り外しを開始
(?)

23年4月29日:鹿児島県議会議員、任期切れ

   7月5日:川内1号(九州電力)の延長運転申請期限

23年度上期:東海再処理施設で3号溶融炉の据え付けを開始
(?)

23年9月:東海第二(日本原電)、特重施設の設置期限

23年度:AREVAスラッジを高台へ移送(?)

24年度上期:東海再処理施設で3号溶融炉の稼働を開始。
高放射性廃液のガラス固化作業を再開(?)

24年1月18日:高浜3号(関西電力)の延長運転申請期限

   6月6日:高浜4号(関西電力)の延長運転申請期限

   9月19日:柏崎刈羽1号(東京電力)の延長運転申請期限

   9月:原子力規制委員会の田中知委員(委員長代理)・石渡明委員が任期切れ

   11月29日:川内2号
(九州電力)の延長運転申請期限

​​24年度:大熊分析研究センター・第二棟が運用開始​(?)
    :5号SFPの燃料取り出しを開始
    :玄海3・4号(九州電力)SFPのリラッキング工事が完了(?)
    :伊方3号(四国電力)の乾式貯蔵施設が運用開始(?)

​​​​​
====見込まれる予定、ここまで====​​​


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)






Last updated  2020.11.19 13:39:52
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2020.11.05
​ ​10月7日の「第31回・原子力規制委員会」で、「MOX燃料加工施設(日本原燃)は、新規制基準に適合している」旨を結論とした審査書案への意見公募開始が決定されました。

 MOX燃料加工施設とは、同燃料の製造工場のことです。
 施設やMOX燃料の詳細・パブリックコメント制度・意見提出フォームに関しては、下記のリンクをご確認下さい。


(リンク)
●​MOX燃料加工事業の概要(日本原燃)

●​パブリックコメント制度(意見公募手続制度)について

●​第31回・原子力規制委員会​(10月7日)

(意見提出フォームと審査書案等)
●​日本原燃株式会社における核燃料物質の加工の事業の変更許可申請書(MOX燃料加工施設)に関する審査書(案)に対する科学的・技術的意見の募集について

 意見公募期間は10月8日(木)~11月9日(月)です。
「科学的・技術的な意見の募集」とされていますが、「社会科学」も科学です。
「意見を提出しなかった」とすれば、「MOX燃料の国内での製造に反対しなかった」(=容認・黙認)と解釈されても、文句は言えないでしょう。

 3.11を止められなかった主権者の責任として、公的チャネルを使って意思を表明するのは当然です。

 11月5日午前に、以下の意見を提出しました。

====私の意見、ここから====

 本審査書案の「適合」との結論に反対の立場から意見を送ります。​
1.新たな核燃料の製造・使用は、所謂「核のゴミ」を増やす要因となる。将来世代へリスクとコストをつけ回す行為である。
2.MOX燃料を使用できるプラントが少ない為、使い道の無い核燃料を保有することになりかねない。
3.MOX燃料は冷却に時間がかかる為、冷却機能の維持に一層の注意と努力が必要となる。電力事業者と現場の負担を増やすことになり、電気料金の形で消費者へのコスト転嫁に繋がる。
4.新たに核施設を竣工・稼働させること自体が、リスクを高める行為である。
 以上により、MOX燃料加工施設(製造工場)の稼働を認める事は、社会にとって便益が無く(又は、便益が極端に低い)、核のリスクを高めるだけの行為です。
「人と環境を守る確かな規制」に反するものと考えます。
 従って、本審査書案の結論には反対です。MOX燃料加工施設の基準適合性を認めるべきではありません。

 尚、この意見は私個人のものであり、他の如何なる組織・個人とも関係の無いことをお断りしておきます。


(提出時に表示された番号の下4桁:**************7499)

​====意見、ここまで====​

 この記事を読んで下さっている皆さんにも、広く提出を呼び掛けるものです。
 難しいことを書く必要はありません。規制委員会の定めた厳密な基準にはこだわらず、「MOX燃料製造施設の竣工には反対です」の一行だけでも、主権者としての立派な意見です。


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)






Last updated  2020.11.05 21:57:50
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2020.11.03
​​​​​​​​​​​​​​​​​​フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)の汚染水の数字です。

 今回は、良いニュースと悪いニュースが有ります。

タンク貯留水の増加量は過去最少量に抑制

 先ず、良いニュースです。

 タンク貯留水の、10月の月間増加量は2463tでした。10月は第5木曜までありましたから、増加量は週平均で約493t、1日平均で約70tです。

 降雨量が少なかったという偶然に助けられた側面もあるとは思いますが、サブドレンの水位低下・建屋開口部の閉塞・フェーシングの進展など、複合的な要因が積み重なった結果だと思います。

 被曝労働で、これらの成果を積ねられた現場の皆様に感謝いたします。

 10月の増加量が抑制できた事で、タンク貯留水の増加量は「1年間の増加量」としては過去最少量となりました。
 この結果に基づいて、貯留容量上限・137.2万t容量に達すると思われる時期を計算し直しました。

過去1年間の増加量(2019年10月末~20年10月末/117万4052t→123万9469t
 :約6万5000t(5400t/月)

10月29日時点の理論上のタンク空き容量:約13万3000t


 今後のタンク貯留水の増加量を「5000t/月」「6000t/月」の二通りで想定

13万3000t容量÷5000t/月≒​27ヶ月(23年1月末)​

13万3000t容量÷6000t/月≒​22ヶ月(22年8月末)​


「物理的限界」を先延ばしできる可能性~とにかく、タンク増設を!~

 現実的には、タンク容量一杯に貯留することは有り得ませんから(設備の破損や流入量急増等に備える必要が有る)、「4ヶ月程度、前倒しした時期」が実質的な期限でしょう。
 現在は、「現行の計画以上にタンクを増設しない」という前提で物事が動いています。私も、このブログで「リスク対応を考慮すると、22年春頃が限界ではないか」と繰り返し書いてきました。
 それが、今後の増加量が「5000t/月」になる可能性が見えてきました。「実質的に限界となる時期」が「22年秋頃」まで延ばせるかも知れないのです。

 更に、別記事に書いたように(※ 下記リンク参照)、フランジタンクを解体済・解体予定のタンクエリアに空きが有りますから、現行計画以上にタンク容量を増やすことは可能な筈です。

(※ リンク):​フクイチでのタンク増設の余地を探る ​(10月18日記事)

 タンク貯留水の増加量の抑制傾向がこれからも続くかどうか、推移を見守る必要が有りますから、断言できませんが、物理的な限界は「22年夏頃」ではなく、1年以上、先にできるかもしれません。
 少なくとも、その可能性が見えてきました。
 現時点では「溶接タンクの増設」を求めることに、各種のリソースを集中すべき局面でしょう。

 言葉は悪いのですが、今はタンク容量の増設で「時間を稼ぐ」ことです。「モルタル固化への評価」「トリチウムの安全性」「含有核種の種類・量」といった議論は、その後で腰を据えてすれば良いでしょう。


悪いニュース~再利用タンクの一部は、当面、利用不可~

 次に、悪いニュースです。

 現行の「タンク容量137.2万t容量」とは、過去に濃度の高い汚染水を入れていた溶接タンクを再利用することを前提としたものです。
 東電が公表した情報によると、再利用予定タンク・9万7400t容量の内、5万2900t容量は、水抜き後の内部の線量の関係で、効果的な除染・被曝対策を検討する必要が有り、現状では「内部の除染→再利用」の目途が立っていないとのことです。

(リンク/詳細資料)​タンク建設進捗状況​(PDFの8~14頁)
 
 つまり、今年末に137.2万t容量のタンクが物理的に用意できたとしても、その内、約5.3万tは、当面は使えないのです。
 被曝線量を度外視して、内部の除染を行うのは論外です。来年度に向けて、東電がどのような方法を考案するのか、要注目でしょう。

 再利用する溶接タンクの内訳は、下記(上記リンクの資料。PDFの10/14より)。

貯留タンクの再利用(ストロンチウム処理水用[ALPS処理待ち水用]→ALPS処理水用)
総容量:9万7400t容量(93基)
 内、再利用済み:2万6000t容量(25基)
 内、内部除染方法決定済み(21年度上期に再利用見込み):1万8500t容量(17基)
 内、内部除染方法検討中(再利用開始時期未定):5万2900t容量(51基)

 フクイチの作業・リスク低減策は、被曝との戦いです。
 東電には、可能な限り被曝を低減する方法を探して欲しいですし、規制委員会・規制庁には、厳格な監視を望みます。
 又、東電の記者会見で、働く人の被曝線量や作業内容を訊いている記者がおしどりマコさんだけなのは、好ましいことではありません。働く人の線量や安全に関しては、全国民が監視し、注視しておくべきことです。

 前置きが長くなりました。
 以下、10月末の汚染水の数字関連資料と共に紹介します。

 当ブログのポンチ絵やグラフはクリックすると拡大します。無断転載・引用はご遠慮下さい。​​​
 グラフ・表・ポンチ絵はB5サイズ以上のタブレット・PCでご覧頂くことを前提に作成していることをお断りしておきます。
 見難い場合には、ワード・ペイントに張り付けてご覧下さい(Windowsの場合)。

フクイチ敷地全体図
(タンクエリアは右側[南側]の青色部分)



福島第一原発の汚染水の貯留量・滞留量​​​​​​​(2020年10月29日)

​​
(リンク)​元データ→ ​​​​​​​​​​​福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第475報)​​​​​​​​​​​​​​​​​/PDFファイル3頁右上、「RO処理水(淡水)」「処理水」「サンプル水」「処理水(再利用分)」「Sr処理水等」「濃縮塩水」の貯蔵量・貯蔵容量から計算。

タンク内貯留総量:約123万9千t​​​​​​(移送中の水・タンク底部の水は含まず/RO濃縮水は過去の処理量に基づく計算値)

​​タンク運用上限値:約135万6千t容量​​撤去・解体予定のフランジ[ボルト締め]タンクは、当ブログでは運用数値に含めず)​
​​​​
建屋滞留水:​​​約1万3千t​​(主として1~3号原子炉建屋+プロセス建屋+高温焼却炉建屋/水位計の計測等に基づく計算値)


(リンク)数字・注記の出典


●​​エリア別タンク一覧(20年10月22日時点)

●​​​​タンク建設進捗状況(20年10月29日公表)

●​建屋周辺の地下水位、汚染水発生の状況​(同上)

●​処理水ポータルサイト

●​​タンク貯留水のトリチウムの推定インベントリ​(20年7月/PDF3頁)

●​​多核種除去設備等処理水の二次処理の性能確認試験の状況(20年10月29日公表)

●​​​建屋滞留水の処理状況​(20年10月29日)

●​5・6号機滞留水​(20年9月下旬)

●​5・6号滞留水の浄化散水

●​2018年度の「5・6号滞留水」「タンク外周堰内雨水」の散水量と放射能量​(平成30年度放射線業務従事者線量等報告書/PDFの13頁)

●​​​​ALPS処理水貯留タンク内のスラッジ堆積に関する追加調査状況​(20年3月27日)

●​​2018年度末の建屋滞留水の推定インベントリ​​(2頁)

●​HIC内スラリーの2018年5月の推定インベントリと、HICの保管場所​(2頁)

​​​​廃棄物処理建屋最地下階のゼオライト・活性炭の土嚢に関して​(20年3月27日/2~6頁)

●​ALPSで除去する62核種の選定理由・過程と、元素記号

●​告示濃度​(核原料物質又は核燃料物質の製錬の事業に関する規則等の規定に基づく線量限度等を定める告示/2015年8月31日・原子力規制委員会/PDFの29頁から始まる別表第一。水中の濃度は第六欄、気中の濃度は第五欄。水の1Lは1000立方センチなので、第六欄の数字を1000倍すれば1L当たりの濃度になる)。


タンク外周堰



ALPS補足資料1:除去可能な62核種と告示濃度



ALPS補足資料2:構成概念図





参考資料1-1 汚染水対策・3つの基本方針と具体策


参考資料1-2



参考資料2 排水基準と敷地境界での線量限度規準



参考資料3 敷地内への散水量・インベントリ



参考資料4 汚染水対策の目標と最悪ケース



春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​






Last updated  2020.11.16 19:55:05
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2020.11.02
 フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)の概要と、タンク貯留水以外のリスクに関するまとめです。


3号SFPからの燃料取り出しは再開

 今回は、朗報が大きく二つ有ります。

 1つは、3号SFP(使用済み燃料プール)から共用プールへの燃料移送です。
 10月8日に再開されました。

 10月31日時点で56回目の燃料移送を終えています(下記、資料2を参照)。

 建屋内に有る燃料ですから、変化は目に見えませんが、破損した建屋の上階部分に置きっ放しにはしておけません。
 移送が再開できたのは良いことです。7割近くを移送しており、今後も、着実に進めて欲しいものです。

(リリース)
●​福島第一原子力発電所 3号機燃料取扱機 マストのケーブル損傷について(9月3日)

​​​●​3号機燃料取扱機マストの復旧について(10月7日)


建屋滞留水の除去とポンプ設置~地下水流入箇所は依然として不明~

 朗報の二つ目は、10月8日に、目標とする建屋全ての最下階床に、ポンプの設置が完了したことです。
 これで、1~4号タービン建屋・同廃棄物処理建屋・4号原子炉建屋の滞留水を除去し、最下階の床面露出状態が維持できるようになりました(下記、資料1を参照)。

(リンク):​建屋滞留水処理等の進捗状況について


資料1 建屋ドライアップの達成時期


 但し、良いことばかりではありません。
 現時点で、滞留水を除去できた建屋で、地下水が流入している箇所は確認できていません(※1)。
 今後、東電は、建屋毎に滞留水の増加量・増加ペースを調べて、増加量の多い建屋を絞り込み、建屋毎に調べていくとのことです(※2)。

※1 第81回 特定原子力施設監視・評価検討会での説明より(原子力規制委員会/20年6月15日)
リンク:​議事録5859

※2 第84回 同検討会での説明より(201019日/議事録は作成中で未公表)

 必要な手順なのは分かりますが、高線量下での作業でしょうから、くれぐれも無理しないで欲しいです。流入箇所が特定できなくても、止むを得ないと思います。

 ここから先は私の推測ですが、タービン建屋や廃棄物処理建屋で、地下水の流入箇所が見付かっていないという事は、流入源はデブリ(溶融核燃料)が落下している1~3号原子炉建屋の壁・床なのではないでしょうか? だとすると、流入源を突き止めることはおろか、流入抑制も、高線量に阻まれる可能性が高いと思います。

 解決困難な新たな課題が浮上したと思われますが、「1~3号のタービン建屋・同廃棄物処理建屋・4号タービン建屋で、地下水の流入が確認出来なかった」ことが分かっただけでも進歩でしょう。現状を把握することが、リスク低減・除去の大前提です。
 現状の把握すら、高線量で困難を極め、数年単位を要していますが、被曝線量の低減・安全第一で、ゆっくりでも着実に進めていくしか有りません。

 フクイチのリスク低減・除去は、現場の被曝労働によって進められています。決して、東電の本店や、安全なオフィスビルで会議をしている原子力規制委員会等の役所が偉いのではありません。
 改めて、コロナ対策も打ちつつ働いて下さっている現場の皆様に、国民の一人として感謝いたします。
 以下、最新の情報を反映して、ポンチ絵を更新しました。
 個別対策の詳細や、汚染水対策全般に関しては、記事下部のリンクをクリックしてPDFファイル等をご覧下さい。但し、全てを網羅するのは困難であることをお断りしておきます。

 資料3の構内全体図には、「増設焼却炉」と「大型廃棄物保管庫」の場所を追記しました。
 資料4-1と4-2はセットでご覧下さい。
 当ブログのポンチ絵はクリックすると拡大します。無断転載・引用はご遠慮下さい。​​​
 表・ポンチ絵はB5サイズ以上のタブレット・PCでご覧頂くことを前提に作成していることをお断りしておきます。
​​​​ 見難い場合には、ワード・ペイントに張り付けてご覧下さい(Windowsの場合)。


福島第一原発・20年10月末の状況(概要)

資料2 



資料3 構内全体図



資料4-1 リスク対応状況・イラスト版


資料4-2 リスク対応状況・概略版



参考:廃炉汚染水対策の実施体制



(リンク)出典・詳細

●​中長期ロードマップ​(2019年12月改訂)

●​​フクイチのモニタリングポストの計測値​(20年10月31日)

●​福島第一原子力発電所 中期的リスクの低減目標マップ(2020年3月版)を踏まえた検討指示事項に対する工程表
(10月19日)

●​​​2号機使用済燃料プール内調査結果について​(7月2日)

●​​​​使用済み燃料等の保管状況(10月29日)

●​AREVAスラッジ

●​ALPSスラリーの安定化

​●​​​​プロセス建屋・高温焼却炉建屋地下階の土嚢について​(3月27日/PDF2~6頁)


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)






Last updated  2020.11.03 16:49:24
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2020.10.31
 フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)原子炉建屋からの放射性セシウム134+137の、放出量・降下量の数字です。
 東電・原子力規制委員会・経済産業省の資料に基づいて、まとめを更新しました。
​​ フクイチからの放射性物質の放出も、東日本各地への降下も続いています。「細胞を傷つけるもの」が3.11前に比べて増加した状態です。
 拙ブログでは公開資料を整理した結果を載せているだけですので、放出量と降下量の因果関係の解明等は行っていません。

 私自身は、これらの数字はトレンド(傾向)を追うことに主眼を置いて見るべきものだと思っています。

 新型コロナウィルス感染防止対策に熱心でありながら、フクイチ事故由来の放射性物質の存在に不熱心な世相は、極めて奇妙で歪(いびつ)です。
 この歪みの原因は、放射性物質を扱うことで「利得を得る人がいる」一方、新型コロナウィルスは「誰も利得を得ていない」からでしょうか。
 放射性物質は、人間が施設の維持・管理に失敗したのが原因で放出されています。新型コロナウィルスの出どころや対策の追及には熱心な一方で、放射性物質の放出原因の追究や被曝回避には不熱心なのも、おかしな話です。
 コロナウィルスへの対応と、放射性物質への対応の違いを比較すると、社会観察・人間観察として、良くも悪くも興味深いです。

​​ 以下、セシウムの放出量・降下量の詳細はまとめをご確認下さい。

 建屋からの放出量は評価値(計算値)であることにご留意下さい。
 フォールアウト(降下量)は、3.11前の数値と比較してご覧下さい。
 関東・東北の土壌中の放射性セシウムの濃度と、フクイチから海洋へのトリチウム放出量は、別記事にまとめています。
 
(リンク)

(関連記事1):​​関東1都5県の、土壌中の放射性セシウムの濃度・2011~19年度​ 

(関連記事2):​​福島県会津地方・中通りの、土壌中の放射性セシウムの濃度・2011~19年度

(関連記事3):​​福島県・浜通りの、土壌中の放射性セシウムの濃度・2011~19年度

(関連記事4):​宮城県・岩手県の土壌中の放射性セシウムの濃度・2011~19年度
 当ブログの表・グラフはクリックすると拡大します。B5サイズ以上のタブレット・PCでの閲覧を前提に作っていることをお断りしておきます。無断転載・利用は御遠慮下さい。​​​​​
 読み難い場合はワードかペイントにコピペしてご覧ください(windowsの場合)。

注:㏃(ベクレル)→ 原子核が崩壊して放射線を放つ能力(放射能)を表す単位。放射性物質中の原子核が崩壊するとき、通常、1本の放射線を放つ。1秒間で崩壊する原子核が1つなら1㏃。8秒間で400個の原子核が崩壊するなら50㏃。


資料1 
「福島第一原発・1~4号建屋からの放射性セシウム放出量・評価値(日量平均/~20年9月)」
(単位は、特記が無い限りは「万ベクレル」[ベクレル=㏃])



資料2
「東日本各地への放射性セシウムの月間平均降下量・半年ごと推移」
(平方キロ当たり/2011年3月~20年9月)



出典
(リンク):​定時降下物のモニタリング​(原子力規制委員会)

(リンク):​原子力発電所周辺環境放射能測定結果​(福島県)

(リンク):​総合モニタリング計画・2020年4月改訂

(リンク):​放射線モニタリングの実施状況​(20年4月)

(リンク):​モニタリング結果一覧​(原子力規制委員会のサイト/PDFをダウンロード)

(リンク)環境放射能水準調査の開始以降の経緯(北海道立衛生研究所における環境放射能調査 50年の変遷/PDF)


春橋哲史​
(ツイッターアカウント:haruhasiSF)






Last updated  2020.10.31 10:01:49
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2020.10.30
2020年9月までの固体廃棄物保管量と、火災事象の一覧

 フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)の、表題に関するグラフを更新しました。​
​ 固体廃棄物の保管量に関するグラフ・数字の紹介は、四半期毎(3ヶ月毎)としています。

 火災とその類似事象(参考1)は、私が調べた限り、2011~20年度で37件です。
 固体廃棄物が屋外保管されているフクイチで大火災が発生したら、どうなるでしょう。働いている人の安全は確保できるのか、敷地外へ放射性物質が拡散する影響はどのようなものになるのか。疑問と不安が尽きません。
 固体廃棄物の屋外保管は、できるだけ早期に解消して欲しいものです。
 そういう意味で、増設雑固体廃棄物焼却設備や新たな貯蔵庫等の完成が待たれます(資料4を参照)。


増設焼却炉と大熊分析研究センターは3ヶ月遅延・「溶融除染」の検討

​ 固体廃棄物の処理・貯蔵に関する大きなトピックスは、以下の1~5です。


1.増設焼却設備の竣工時期が3ヶ月後ろ倒し

 4月30日公表の資料より引用(リンク:​「​放射性廃棄物処理・処分 スケジュール​」​)。

​​「※電源供給設備改修に伴い竣工予定は、2020年12月→2021年3月に変更」​​

「電源供給設備改修」とは、20年3月25日に判明した「計算違い」を指していると思われます。当該の文章を丸々引用します(リンク:2019年度 パフォーマンス向上会議情報(2020年3月30日(月)分) 

====引用ここから====

【増設雑固体廃棄物焼却設備における電源供給設備の容量見直しについて】
 増設雑固体廃棄物焼却設備の設計・建設を進めていたが、詳細評価をしたところ想定最大使用電力が、当初の想定を上回ることが判明した。
 原因は、想定最大使用電力を計算する時に、使用する数値を誤ったと思われる。
 今回の問題点の更なる深掘り検討を行い、今後の電源設計にあたっては反省事項を踏まえ、電源供給設備の設計検討を行う仕組みを再構築する。

====引用、ここまで====

 電気屋さんである東京電力が、電力使用量の計算を間違えたのです。
 皮肉を込めるなら、「東電クオリティは健在である」というところでしょうか。

 計算値違いというようなチョンボをせずに、安全且つ着実に進めて欲しいものです。固体廃棄物の大半が屋外貯蔵という現状は、火災等のリスクを考えると好ましいものではありません。


2.固体廃棄物保管容量の大幅な拡充

 20年7月に改訂された「​
固体廃棄物の保管管理計画」で打ち出されました。
 変更点は以下の通りです。尚、固体廃棄物貯蔵庫第1~8棟は震災前から有ったもので、第9棟は2018年2月に運用を開始しています。

​●19年度までの計画
 :固体廃棄物貯蔵庫1~13棟合わせて約19万立米の保管容量を確保+汚染土一時保管施設を建設

●20年度改訂版の計画
 :固体廃棄物1~11棟合わせて約26万立米の保管容量を確保
(①貯蔵庫12・13棟と、汚染土一時保管施設を計画から削除)
(②貯蔵庫10・11棟の容量を大幅に拡充し、汚染土保管施設を第10棟に統合)

 保管容量を7万立米拡充したことになります。それだけ、今後の廃棄物発生量の予測が上振れしたということでしょう。


3.雑固体廃棄物焼却設備の長期停止

 9月25日に、焼却設備のB系から「蒸気状の気体」が発生し、その後の調査で内部の焼け焦げ等も確認された為、原因究明と再発防止策検討の為、A・B系とも、9月末から停止しています。
 10月下旬に至るも、原因究明等に関して続報は無く、運転再開の目途は立っていません。

(リンク)
●​
雑固体廃棄物焼却設備焼却炉(B)⼆次燃焼器バーナ取付座からの蒸気状の気体の確認について​(9月25日)
​​
 雑固体廃棄物焼却炉では、使用済み保護衣を焼却処分しています。9月まで、保護衣の保管量は減少していますが、10月からは増加に転じるでしょう。
 一時、7万立米を超えていた使用済み保護衣の保管量は、9月末で3万立米を割っており(グラフ参照)、保管容量には余裕が有ります。
 切迫したリスクではありませんが、「廃棄物の屋外保管」が続くのは好ましいことではありませんので、働く人の安全を最優先にしつつ、焼却設備の早期の運転再開が望まれます。


4.大熊分析研究センター・第一棟の運用開始時期が3ヶ月後ろ倒し

「フクイチで発生する固体廃棄物の性状・含有核種を調べる為に、フクイチの敷地西端に大熊分析研究センターを建設中」ということは、以前から当ブログでもお伝えしているところです。

 管理棟は2018年3月に運用を開始しており、現在は、第一棟の建設と、第二棟の設計が進められています。
 第一棟は、従前、「20年度末頃に運用開始予定」とされていましたが、10月29日公表の資料によると、原子力規制委員会・規制庁の使用前確認等を加味すると、運用開始は「21年6月頃になる」とのことです。

(リンク)●​放射性物質分析・研究施設第1棟の整備状況(20年10月29日)

 増設焼却炉に続いて、またもや、運開時期の後ろ倒しです。
 安全を度外視したり、拙速は避けるべきですが、こうも簡単に「数ヶ月単位」の後ろ倒しが続くのは、感心しません。
 何れにしても、安易に後ろ倒しすることなく、着実に進めて欲しいものです。


5.「溶融除染設備」を検討中

「第83回特定原子力施設監視・評価検討会」(原子力規制委員会/20年9月14日)に、東電が提出した資料によると、敷地内で再利用する金属について、「溶融スラグ除染」を検討しているとのことです。

(リンク)​●金属、コンクリートの再利用について​(PDFの11~14頁)

 現在は性能試験の最中とのことですが、他の方法よりもストロンチウムの除染係数が高いそうです(平均で800分の1)。

 今後、この「溶融除染設備」と、二次処理廃棄物として発生するスラグの保管方法・保管場所についても、詳細設計が始まるのではないかと思われます。
 
 前置きが長きくなりました。

 拙ブログのグラフ・ポンチ絵の無断転載・利用は御遠慮下さい。
 現状についてはグラフと資料1・2、将来や方針については資料3にまとめています。

 グラフ・ポンチ絵は、B5サイズ以上のタブレット・PCで閲覧する事を前提に作成していることをお断りしておきます。

 クリックすると拡大しますが、それでも見難い場合は、ワード・ペイントにコピペしてご覧ください(Windowsの場合)

2020年9月末の固体廃棄物の保管量
 ​瓦礫類(金属・コンクリート・土壌等):30万3200立方メートル
 伐採木(樹木・根等):13万4400立方メートル
  ​ 使用済み保護衣等​​:2万9700立方メートル
  使用済み保護衣累計焼却量:8823t
  焼却灰等を封入しているドラム缶:2186本

(リンク)
●元データ→ ​瓦礫類・伐採木・使用済保護衣等の管理状況(2020.9.30時点)

●​2020年度改訂保管管理計画・溶融除染詳細・焼却灰の核種別濃度

関連情報
(リンク)​フクイチ構内の車両整備工場概要​(PDFの7~10頁)


グラフ
​​​​​​
​​​瓦礫=コンクリート・金属・撤去土壌​   伐採木=敷地造成等で伐採した樹木・灌木



​​資料1 雑固体廃棄物焼却設備の概要


東電が2016年2月24日に「廃炉に関する安全監視協議会」(福島県)に提出した資料よりキャプチャ
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/153165.pdf


資料2 敷地全体図

東電が規制庁へ提出した資料よりキャプチャ
https://www2.nsr.go.jp/data/000319020.pdf


資料3 保管・処理方針と検討事項



資料4 防火対策



参考1「福島第一原発敷地内での火災とその類似事象」







参考2「本来の(事故前の)廃棄物の保管・廃棄方法」
(リンク)​東電HDが2017年2月23日に原子力規制庁に提出した資料「瓦礫等一時保管エリアの新設・変更・廃止及びドラム缶等仮設保管設備の廃止について」​より引用(PDFの32頁)

※「東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉施設の保安及び特定核燃料物質の防護に関する規則」中の保管に関する記載は以下の通り。

●固体状の放射性廃棄物は、次に掲げるいずれかの方法により廃棄する
 - 障害防止の効果を持った焼却設備において焼却すること
 - 容器に封入し、又は容器と一体的に固型化して障害防止の効果を持った保管廃棄施設に保管廃棄すること

●容器には、放射性廃棄物を示す標識を付ける

●封入の都度、以下の項目について記録を作成する
 - 廃棄施設に廃棄した放射性廃棄物の種類
 - 当該放射性廃棄物に含まれる放射性物質の数量
 -当該放射性廃棄物を容器に封入した場合には当該容器の数量及び比重並びにその廃棄又は投棄の日、場所及び方法
 - 放射性廃棄物を容器に封入した場合には、その方法

●上記の記録と照合できるような整理番号を容器に表示


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​ ​​​​​ ​​






Last updated  2020.10.30 11:49:44
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2020.10.19
​​ フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)の汚染水の扱いに関する考察の「後編」(笑)です。
「前編」に相当する拙記事は下記。

(リンク)
●​フクイチでのタンク増設の余地を探る​(20年10月18日)

 最近、多くの報道機関が「政府は10月下旬にも、福島第一原発のALPS処理水について、海洋排水の方針を決定する見込み」である旨を報じています。
 これらの報道は、情報源が「関係者」とされていて、正式発表ではないので、私は、世論の反応を見る「アドバルーン」の可能性も有ると見ています。


3つの選択肢

 とは言え、フクイチのタンク容量が、現行のタンク計画では物理的限界に近付いているのは間違いありませんから、「環境中への放出」か「貯留継続」かはともかく、準備に要する期間を考慮すると、何らかの決定を下すギリギリの時期に差し掛かっているのは間違いないでしょう。

 そこで、タンク容量と実施時期を軸に、現時点で政府・東電が取り得るであろう選択肢を考察してみます。
 尚、現在のタンクエリアで、溶接タンクが数万t単位の容量で増設可能であることは、上記にリンクを貼った拙記事で書いています。


1.22年度上期から希釈排水(タンク増設せず)
:タンクは現行の計画(20年末時点で約137.2万t容量)を上限とし、希釈排水を22年度上期に開始。

2.決定を先送り(6万t容量前後のタンクを増設)
:現時点では決定を下さず(「更なる検討を加える必要が有る」とか、理由は何とでも付けられる)、フクイチの敷地内に5~6万t単位でタンクを増設する。現在のタンク内貯留水の増加量は月間5500t程度なので、6万t容量を増設すれば、物理的限界と思われる時期を23年秋~冬に先送りできる。

3.22年度下期以降に希釈排水(タンクを2~3万t容量程度、増設)
:1と2を足して割ったようなもの。希釈排水の準備とタンク増設を並行して進める。物理的限界の時期を半年程度延ばすことで、排水開始時期も先送りする。

 現時点では、上記3つの選択肢が現実的に取り得るものだと思います。

 4番目として「地上保管を継続する」決定も有り得ますが、それは、政府・東電が国内外の世論(パブリック・プレッシャー)に追い詰められた場合にのみ選ばれるものでしょう。現時点で、政府・東電がそこまで追い込まれているとは思えません。

 私から見ると、「最悪の決定」が1、「最悪の手前」が3、「現時点で相対的に最善に近いもの」が2、になります。

 政府の立場からすれば、「世論の鎮静化を図る」時間稼ぎをするなら、3でしょうか。
 2を選択すれば、「もっとタンクを作れるのではないか」との声が高まることも考えられますし、1年後に改めて希釈排水を決定しようとして、今以上に揉めることも考えられます(「揉める」とは、政府からの視点)。「逃げを打つ」ことだけを目的にするなら、最善の策かも知れません。

 最も強硬な策が1でしょう。国内外への説明や、予算的な措置も含めて、実質1年半以内には準備を整えなければならず、設備面でもハードルが高いでしょうフクイチの現場への負担も増えることが考えられます(尤も、政府や東電のお偉いさん達には、現場で働く人のことは眼中にないと思いますが)。


1・3を選べば、どうなるか~世界史としての福島第一原発事故~

 1・3は、実施時期の違いは有れども、「環境中への希釈排水」がゴールになります。
 恐らく、政府がこの方針案を示した途端に、フクイチの汚染水の扱いは「国内マター」から「国際マター」になるでしょう。

 政府や、その提灯持ちの政治家・有識者は、「国内の消費者への説明」「漁業関係者への風評対策」を打てば良いと思っているかも知れませんが、海洋放出については、韓国・ロシア・中国・チリが反対、又は懸念を表明しており、台湾(中華民国)の複数の環境保護団体も、連名で経産省にパブコメを提出しています。

 現在、表立って反対を表明しているのは韓国だけですが、私には、ロシア・中国といった大国が沈黙しているのが不気味です。特にロシアは、一度は外務省の報道官が明確に放出反対を表明しているにも関わらず、その後は沈黙したままです。

 アニメ映画「機動警察パトレイバー2」に「国家に真の友人はいない」というセリフが有りましたが、このセリフの通りでしょう。政府として海洋放出案を示した途端に、外交カードとして利用される可能性が大です。放射性廃棄物を数十年に渡って放出され続けるということは、周辺諸国にとって何の利点も無いことなのですから、日本の「弱み」になるのは確実です
 諸外国政府だけではなく、世界の団体・個人も懸念の声を上げるのは必至と思われます。

 政府やその関係者は、国内向けには、記者クラブという閉鎖された空間でレクを繰り返したり、「パンケーキをご馳走するような」懐柔策を講じるかも知れません。国内向けにはともかく、世界中の国の政府や国際世論には通用する筈がありません。

 国内では、市民運動も含めて「福島の声を」「漁業関係者の声を」と言った報道や発信が大半を占めていますが、最早、発災直後ではありません。色々と情報や事情も整理できています。
 今、問われているのは、「核災害で発生した放射性廃棄物を、意図的且つ大量に環境中に放出して良いのか」ということです。

 報道も、運動も、東電や政府も、「福島」という狭い地域に捉われるのではなく、それも包摂しつつ「世界史としての福島第一原発事故」という視点を持つべきでしょう。

「世界の視点」以外にも、私が環境中への放出に反対する理由は有りますが、それをクドクドと繰り返す煩は避けます。具体策も含めて、月刊「政経東北」に掲載した拙記事をご覧下さい。私は、あくまでも、「地上保管継続」を求めます。

(リンク)
●​「処理水」はタンク貯留を継続すべき​(「政経東北・20年4月号」)

●​汚染水「タンク用地確保」の具体策​(同・5月号)

 今後とも、この国の主権者との一人として、これまで同様、フクイチを追いかけていきます。


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​ ​​​​​






Last updated  2020.10.19 11:42:36
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2020.10.18
​ 今回は、「考察」に重きを置いた記事です。
 ポンチ絵等の無断転載・引用はご遠慮下さい。

​​​​フランジタンク解体で生じる「空きエリア」

​ フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)内での汚染水(放射性液体廃棄物)貯留に関して、東電や政府(経済産業省)は、「タンク容量に余裕が無くなりつつある」「22年夏頃が限界」「水の処分方法を決めなければいけない」というメッセージを発し続け、10月になってから、報道もそのメッセージを繰り返すようになりました。

 一方で、東電は、記者会見での質疑などで「(フクイチの敷地内に)タンクが1基も増設できないのではない」とも説明し、タンク増設の余地を完全には否定していません。
 では、現在の敷地内で、タンク増設の余地はどのくらいあるのでしょうか?


https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning/committee/osensuitaisakuteam/2020/09/3-1-6.pdf より(20年9月24日公表資料)

(リンク)
●​汚染水対策スケジュール​(「2/2」の「処理水受タンク増設」欄を参照)

 画像は東電の資料からキャプチャしたものです。
 現在はG1・G4南エリアで溶接タンクの設置を継続しており、12月までに設置完了予定です。それ以外の5つのタンクエリアに関しては、フランジタンク(ボルト締めタンク)の解体・撤去が完了、又は実施中、又は開始予定です。
 問題は、この5エリアについて、溶接タンクの設置計画が公表されていないことです(最新の、20年9月24日公表のタンク設置工程表には未記載)。

 5エリアに設置されていたフランジタンクの容量・基数、解体完了時期等を一覧にします。

G4北エリア
:1000t容量×6基のフランジタンクの解体が20年7月末に完了。その後のタンク設置計画や敷地利用計画は未公表。

Cエリア
:40t容量×8基・1000t容量×13基のフランジタンクの解体が20年9月末に完了。その後のタンク設置計画や敷地利用計画は未公表。

G5エリア
:1000t容量×17基のランジタンクの解体が20年10月末に完了見込み。その後のタンク設置計画や敷地利用計画は未公表。

Eエリア
:1000t容量×49基のフランジタンクを解体中。その後のタンク設置計画や敷地利用計画は未公表。

H9・H9西エリア
:1000t容量×12基のフランジタンクを解体予定。その後のタンク設置計画や敷地利用計画は未公表。

(参考リンク)
●​2015年3月19日時点の「各エリア別タンク一覧」(3月26日公表)

 Cエリアの小容量のタンクは別として、元々設置されていたフランジタンクと同じように溶接タンクを配置すれば、単純に、
1000t容量×97基=9.7万t容量が確保できます。

今後の施設用地を探る

 一方で、空いた土地の全てをタンクエリアとして使えるのかというと、そうではないでしょう。

 現在、東電は、ALPSで発生しているスラリーと呼ばれる二次廃棄物を脱水処理する為の設備を設計中です(スラリーの脱水処理は何れは行わなければいけないもの)。この設備の設置用地を確保しなければなりません。
 因みに、この設備は、設置するとしても「ALPSの5分の1程度の大きさ」に収まるそうです(第73回 特定原子力施設監視・評価検討会[2019年7月22日]での東電の説明。詳細は議事録の41~42頁を参照)。

(リンク)
●​第73回 特定原子力施設監視・評価検討会(2019年7月22日)議事録

●​ALPSスラリーの安定化に向けた検討状況(同検討会の資料2-2)

 又、東電や経産省は「デブリ(溶融燃料)の分析・保管の為の施設が必要」とも説明していますが、私に言わせれば、誇張した説明です。
 固体廃棄物の分析施設なら、敷地西端に「大熊・分析研究センター」の用地が確保されています(管理棟は18年3月に運用開始済。低中濃度の廃棄物を扱う第一棟は20年度末運用開始予定で建設中。炉内堆積物を扱う第二棟は24年度運用開始予定で設計中)。

 デブリを大量に取り出す目途は立っていないので、専用の保管施設を設計・建設する切迫性は無いでしょう。28年度までに固体廃棄物の減容・減量を進める計画ですから、空きエリアは、その過程で生じていく筈です(廃棄物貯蔵エリアの廃止・縮小等)。

 以上を踏まえると、東電の「タンクが1基も設置できないのではない」という説明は控え目過ぎで、寧ろ「タンク増設の余地はまだまだ有る」のが実態ではないでしょうか。
 同時に、「今後の施設用地の確保の必要性」は誇張され過ぎた説明だと言えます。

(リンク)
​●大熊・分析研究センター(日本原子力研究開発機構)

フクイチ構内配置図



敷地内に、貯留タンクは万t容量で増設できる

 フランジタンク解体で生じた空きエリアの一部を、新たな施設の用地として転用しなければならないのは事実だと思いますが、先に紹介した5エリア全てを使うものでもないでしょう。
 仮に、Eエリアだけでも新たなタンク用地とすれば、約5万t容量が確保できます(タンク配置を合理化し、大容量のタンクを使用すれば、更に容量を確保できるかも知れません)。

 5~6万t容量が確保できれば、実質的なタイムリミットを「23年夏~秋」へと、ほぼ1年、後ろ倒し出来ます(現在のタンク内貯留水の増加量は、年間の月間平均で6000tから5000tへと下降中。今後の増加量を月間平均5500トンと想定)。
 敷地内に溶接タンクを増設して議論・検討の時間を確保する余地は十分にあるし、確保できるというのが、私の見立てです。


結論:煽られず、とにかく、タンク増設を求めて

 複数の報道機関が一斉に同じ方向を向くと煽られがちですが、そういう時こそ、「何かおかしい。本当にそうなの?」と疑い、一人称で公開資料に当たるべきです。

 報道を参考にしてはなりません。

「物理的な限界が近い」
→ 「現状のタンク増設計画では」という前提です。その前提が絶対に動かせないものなのか、確認しましょう。

「これから、新たな施設が必要」
→ 「これから」とは何年後なのか、スケジュールが見通せるものなのか。期限が切られているものなのか。「確からしさ」を確認しましょう。大熊分析研究センターのように、用地確保済み・建設中のものもあります。何を目的に、どのような施設が、いつまでに必要なのか、一つずつ確認しましょう。

 今はとにかく、「敷地内でのタンク増設」を求めるべき局面だと思います。タンクを増設し、議論・検討の時間を確保しましょう。

 放射性液体廃棄物は、一度、環境中に放出されれば、回収できません。
 まして、今問題になっているのは、核災害で発生した液体廃棄物なのです。発生者責任で長期貯留を求めるのが当然であり、その大前提を踏み外してはなりません。


​​​​​​春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​ 






Last updated  2020.11.16 01:20:29
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