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事前にプログラムを調べたりせず、タイミングの合うものに参加しようと思っていましたが、413号室で11:50開始の「誰でも好きな電力を選べるスウェーデン」に入場。講師は、スウェーデンのヨーテボリ大学で研究員を務める佐藤吉宗(さとうよしひろ)氏でした。 「45秒の間は前後左右の人と参加者同士で挨拶して下さい」と変わった始まり方でしたが、これも新鮮。前列の人と言葉を交わしましたが、モンゴルからの留学生でした。国際的にも、最終処分場を作ろう(作らせよう?)としている国ですね。「止めさせましょう。押し付けてはいけません」と挨拶して終了。いよいよ、講演が始まります。 講演と言っても、佐藤氏が一方的に話すのではなく、司会者との質疑応答で進んでいくので、飽きずに、眠くならずに、聞けました。 元々、スウェーデンも国営のヴァッテンファルが一社で電力を賄っていたのですが、80年代半ばに隣国のノルウェーから、「春先に余る電力を売電したい」と持ちかけられたのを拒否し、国際問題となったのが、電力自由化の議論の端緒になったとの事。10年近くをかけて議論し、90年代前半に、発送電分離・電力自由化に舵を切ったそうです。 現在では、「電力の価格コム」のようなサイトが存在し、住所と、購入希望の発電内容(風力・水力・バイオマス・原子力・お任せ・ミックス等)を入力すれば、電気の価格が小売会社別に表示され、好きな所と契約できるシステム。地域の送電網は自治体の運営する公社が所有し、そこに、小売会社が電気を流して各家庭や事業所まで届けられます。利用者は、送電網を維持している地域会社への支払いと小売会社への支払いの二本立てとなり、細かな内訳もきっちり出てきます。エネルギー税や消費税を含めて、佐藤氏の電気代は月額3000円強でした。実際にヨーテボリに住んでいる方の話ですから、説得力が有ります。尚、スウェーデンの消費税の税率は25%で、月額料金の中にはこの分も含まれています。 地域の送電網には、国の公社が管理する高圧送電線が接続されて、各地の発電所から送電されます。物理的なものではありませんが、「電力市場」が有り、1時間毎に、発電所別の電力の卸価格がそこで決まります。その卸価格はネット上で公開されているので、小売会社の「仕入れ価格」は国民(=消費者)にも把握されていて、小売会社が不正をしようとしても出来ない仕組みになっているとのこと。 肝心の、「送られてくる電気の中身」ですが、利用者に「1ヵ月間、風力発電1000kw」を提供した小売会社は、発電所から「要求された期間、1000kw発電しました」という証明書を発行して貰うそうで、言わば「発電量と利用電力の辻褄合わせ」が行われているとの事。実際に、利用者の自宅へ風力発電所からの送電線が繋がっている訳ではありません。発電所を保有している「卸元」も、発電が止まれば、売り上げが立たなくなりますから、発電所も複数保有しているでしょう。 新聞・雑誌には、「化石燃料、好い加減にしてくれ」だとか「今、1年間の契約を結んで頂ければ、最初の2ヶ月は無料にします」という広告が掲示されるのが日常茶飯事だそうで、私は話を聞いていて、「インターネットの無料期間みたいだな」と思いました(笑)。 日本では、経団連の米倉会長を初め、「発送電分離反対派」は懸命に、「安定供給が損なわれる」と主張していますが、スウェーデンでは自由化以来、発電量と使用量のバランスが崩れたり、一斉停電が起きたことはないそうです(災害等で、送電線が損傷した事例は除く)。又、万が一に、需要が発電量を超過する事態が起きた場合に備えて、高圧送電線を管理している公社が緊急用の発電所を保有しており、30秒で立ち上げられる態勢が整えられているとの事。因みに、その緊急用発電所の発電可能量は、ピーク時の5%だそうです。 とても分かり易い話で、大いに参考になりました。 会場には、他にも多くの催しや展示が有りましたが、整理券が必要であったり、開始まで30分以上待たなければいけないようなものばかりで、「再処理とめたい!-島田恵「六ヶ所写真展」と首都圏市民の取り組み」や「世界のヒバクシャ」等の写真展を見て、会場を後にしました。脱原発会議のサイトによると、2日間合わせて約11500人が来場したようです。 横浜まで行ったついでに、少し寒かったのですが、赤レンガ倉庫や、山下公園をぶらつきましたが、山下公園に行ったのは数年振りで、赤レンガ倉庫に至っては初めてでした。折角、横浜まで電車一本の地域に住んでいるのですから、もっと利用しないと勿体無いですね。 日本の電力自由化の件ですが、そもそも私は、電力会社が地域独占になっている現状が歪んでいると考えています。 戦前の日本では、電力会社を自由に選ぶことが出来ましたが、第一次近衛文麿内閣時に成立した国家総動員法によって、国力統合の名目で一社に統合されてしまったという経緯が有ります。戦後、元に戻そうという動きが有りましたが、結局は地域分割に落ち着きました(この件の詳細に関しては、ダイヤモンドオンラインの連載が詳しいです ⇒ http://diamond.jp/articles/-/12651)。 終戦直後ならともかく、現代になっても、地域独占とはどういうことでしょう。生活必需品を、売る側の言いなりで購入しなければならないとは、とても信じられません。日本は、自由資本主義国家ではなかったのでしょうか。いつから社会主義国家になったのか。資本主義を名乗るなら、消費者に選択の権利・自由が有って当たり前でしょう。 不自由であった筈の帝国憲法の時代に出来ていた事が、自由である筈の日本国憲法の元で出来ないとは、理解に苦しみます。 私は、「東電から電力は買いたくない」のです(選択の自由が確保されているなら、「東電から買う・原発の電力を買う」のは個々人の判断でしょう)。 原発事故に「想定外」を繰り返し、被災者・避難者に山のような書類を送りつけて「賠償金が欲しければ、全部書け」と言わんばかりの上から目線の会社に、どうしてお金を出さなければいけないのか。「人の道」というものが有るでしょう。 残念ながら、私個人の力では、原発を止めたり、廃炉にしたりもできません。せめて、自分でできることを探そうとしても、現状では、選挙で一票を投ずるしか方法がないのです。 消費者としては、「不買」をしたくても、出来ないのというのは、どう考えてもおかしいと思います。電力に限りません。パソコン等のデジタル機器や、耐久消費財など、全てに於いてあてはまる事でしょう。多くの人は、「利用したくない店は利用していない」でしょうし、「利用したくない会社からは購入(契約)していない」筈です。 「発送電分離反対」の人達は、「消費者の権利の確立」には不熱心なのでしょうか? それに、電力が自由化されていた戦前の日本で、日常生活や産業が止まるほどの停電が有ったのでしょうか? 反対を言うなら、調べてから言って欲しいですね。事実に基づかない議論は、「政治的目的」を糊塗する為の議論としか思えません。 いささか長くなりましたが、私は「発送電分離・電力自由化」に賛成です。どんどんやりましょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.02.09 23:59:10
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