今回は、原子力規制事務所と東電廃炉推進カンパニーの質疑応答を紹介します。
昨年12月9日に行われた面談資料が、原子力規制委員会のサイトに載っていました。元々はPDFですが、そのままでは、分かり難い所もあるので、エクセルで表にまとめました。
後手に回る杜撰な管理
詳しくはお読み頂くとして、私は一読して、管理の杜撰さに呆れました。「消火系配管の通水試験等を行っていない」「フランジ部(接合部)の上から保湿材を巻いている」「フェーシング部に埋もれた管がある」という現状には、怯えすら覚えます。これでは何かが起こらない方が不思議ですし、万一、注水機能が喪失すれば、燃料プールもデブリも冷却が止まってしまうのではないでしょうか。
規制庁の指摘は至極真っ当な事であるにも関わらず、東電はどんな問題でも「これから計画を作る」と説明しています。「計画は出来ていて、点検を行っている」という回答は有りません。
計画を作るとしても、時間がかかるでしょうし、その計画を関係者全員に周知しなければいけません。計画通りに遂行しているかどうか確認する管理体制も構築しなければなりません。計画を作るのが目的ではなく、設備を管理するのが目的でしょう。東電はゴールに辿り着くことはおろか、入口部分でいつまでもウロウロしているようです。
発災から5年半も経ってこの状態では、とても「落ち着いている」とは言えません。グループごとに管理手法が違うとか、重要度分類が作成できていないとか、当たり前のマネジメントすら出来ていません。こんな会社が、史上最大の核災害の現場を回し、更には世界最大の原発(柏崎刈羽原発)を動かそうとしているのです。原発への賛否とは関係なく、東電には危なくて任せられません。
トリチウム水の海洋排水に向かう規制庁と、否定しない東電
又、主題6番目で議論されているALPS処理済み水(トリチウム水)の扱いも極めて重要です。規制庁・規制委員会は、特に昨年後半から、トリチウム水の海洋排水に向けてかなり圧力をかけていますが、今回も、その文脈で話が語られています。東電も、海洋排水を否定していません。規制庁は海洋排水の準備とその期間にまで言及しています。こんな重要な事が内輪で議論され、事後的に公表される議事録でしか分からないということにも、怖ろしさを感じます。
但し、規制庁が指摘するように「水の問題はどこかで結着をつけなければいけない」のは確かです。永久にタンクを作り続ける事は出来ませんし、例え溶接タンクであっても、劣化からは逃れられません。
であるからこそ、内輪ではなく、衆人環視の下で議論し、主権者国民も加わらなければいけません。規制委員会の検討会で更田豊志委員が指摘しているように、東電がトリチウム水の最終的扱いを表明しないのも問題です。そういう意味では、規制庁・規制委員会の方が、立場がハッキリしているだけ、まだ分かり易いと言えます。
私自身は、今後の水の増加量・タンクの増設ペースなども見る必要があると思っており、長期保管のリスクや環境への影響など、様々な要素を見る必要があるので、最終的な結論は出せていませんが、現状のままの海洋排水には絶対に反対です。敷地外へのタンク増設等、長期保管の可能性も含めて幅広く検討すべきだと思っています。
解説が長くなっても、意味がありません。東電と規制庁の遣り取りを読んで頂くのが一番でしょう。
元の資料はこちら→ 事業者面談記録 https://www.nsr.go.jp/data/000172414.pdf
表の中の「注」「下線」は、私の手になるものです。
読み易さの為、一部を平仮名表記から漢字表記に改め、適宜段落を挿入しましたが、文言の削除や書き換えは行っていません。
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春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)