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カテゴリ:反原発・脱原発
原子力規制委員会の田中俊一委員長は、年齢的なこともあり、今年9月の任期切れで退任します。
政府は、委員長の後任として、現在、委員長代理を務めている更田豊志(ふけた とよし)委員を、更田委員の後任には、大阪大学の副学長である山中伸介氏を充てる人事を提示しました。 1.事実関係と経過の紹介 原子力規制委員会設置法の関連条文を紹介しておきます。 ====引用、ここから==== 第七条 委員長及び委員は、人格が高潔であって、原子力利用における安全の確保に関して専門的知識及び経験並びに高い識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。 2 委員長の任免は、天皇が、これを認証する。
====引用、ここまで==== 更田氏と山中氏は、人事案が提示された際に、規制委員会のサイトでコメントを発表しています(4月18日付)。 ====更田委員のコメント==== 原子力の安全研究の世界から、規制行政の最前線に移って5年近くになります。その間、新規制基準の作成、原子力施設の基準適合性審査、新たな規制制度の構築などを進めつつ、他の委員との認識共有の下、原子力規制の信頼回復に貢献できるよう努めてきました。これまでに加えて重要な使命を担う委員長の候補となったことを重く受け止めています。委員長に任命されましたら、福島第一原子力発電所事故の教訓を決して忘れることなく、職務を一つ一つ解決するという責任を果たすことはもちろん、新たな規制課題にも向き合っていく覚悟です。 ====ここまで==== ====山中伸介氏のコメント==== 東京電力の重大事故の反省に立って設置され、確かな規制を通じて人と環境を守るという使命を担う原子力規制委員会の委員候補に挙げられ、自らも原子力分野の研究に携わっていた身として、その意義の大きさに居住まいを正して臨まなければならないとの感を強くしています。委員に任命された場合は、これまでの経験も生かしつつ、国民に信頼される原子力規制に取り組んでいきたいと考えております。 ====山中氏のコメント、ここまで==== ====山中伸介氏の経歴==== 1955年12月21日生 1979年3月:大阪大学工学部原子力工学科卒業 1981年3月 :同 大学院工学研究科原子力工学専攻博士前期課程修了 1983年5月 :同 大学院工学研究科原子力工学専攻博士後期課程退学 同年6月:大阪大学工学部助手 1989年11月:工学博士(大阪大学) 1994年12月:大阪大学工学部助教授 1998年5月: 同 大学院工学研究科教授 2010年4月: 同 大学院工学研究科附属フロンティア研究センター長 2016年4月: 同 大学院工学研究科附属オープンイノベーション教育研究センター長 同年8月:大阪大学理事・副学長(現職) ====経歴、ここまで==== この記事では、更田次期委員長の国会同意にのみ絞って書きます。 更田委員長候補への国会議員からの意見聴取は、5月9日に衆議院議院運営委員会にて行われました。 議事録 本会議での同意の採決は参議院が先となり、参議院が5月24日、衆議院が5月26日に行われました。 圧倒的賛成多数で同意されたので、反対した会派・議員のみ列挙します。括弧内は本会議での議席数です。衆議院での議員個々人の投票行動は、ネットで調べた限りでは見付けられませんでした。抜け・洩れはご容赦下さい。尚、参議院の議席定数は242、衆議院の議席定数は475です。 参議院で反対した会派:「日本共産党」(14)・「沖縄の風」(2) 参議院で会派内で賛否が分かれた会派:「希望の会」(自由党・社会民主党の合同会派) 「希望の会」所属議員の投票結果(敬称略)→反対:福島瑞穂・又市征治 賛成:木戸口英司・青木愛・森ゆうこ・山本太郎 衆議院で反対した会派:「日本共産党」(21)・「社会民主党・市民連合」(2) 参議院本会議での投票結果 / 衆議院議院運営委員会での投票結果(「採決順序」の9番目) 衆参両院とも、同意率9割以上です。 2.問題点と危惧・懸念 私は、大きく、以下の問題点があると思っています。 ① 国民の代表が集う国権の最高機関が、「策定された新規制基準と、それに基づくこれまでの審査」を追認した事になり、「国策としての原発再稼動路線」がいよいよ強固となる。 ② 圧倒的多数が賛成した為、「再稼動に反対の声は小さい」ことにされる。 ③ 国民(主権者)の間で議論されるどころか、委員長人事が提示されていた事すら知られておらず、国民が気が付かない間に、原子力ムラ(原子力利益共同体)の再構築が進められている。 ④ ③とも関連するが、「脱原発・反原発」を掲げるメディアですら、この人事案やその問題点を伝えていなかった為、図らずも、「脱原発」側の情報収集能力・発信能力が低い事が露呈した(公開情報なので、「調べられなかった」「気が付かなかった」は有り得ない)。 又、炉規法(原子炉等規制法)の改正案も、主要政党で反対したのが共産党だけという事実を踏まえると、「少なくとも、原発の国内の問題に関しては大政翼賛会」的な流れが出来つつあるとも言えます。(当ブログでの炉規法の記事はこちら) 私は、この「大政翼賛会的」なトレンド(傾向)が気に入りません。 折しも、このトレンドが強まったところで、恐らく国内最悪になると思われる内部被曝事故が起きました。国権の最高機関たる国会は、この問題に向き合うのでしょうか? 事業者と規制当局(今回の場合は日本原研と原子力規制委員会)に任せるなら、それは3.11前へのタイムスリップであり、同じ過ちの道と言えます。 世界最大の核災害が続行中のこの国で、原子力規制委員会の委員長人事が議論らしい議論もされず、国民が関心を持たないまま任命されるというのは、どう考えても、良い事とは思えません。この国と民主主義が、第二の3.11に向かって歩みを進めているのではないかとの危惧・懸念を禁じ得ません。 私は今後も、規制委員会等を通じて、リスク情報・リスク要因の把握に努めていきます。 最後に、この記事の意見に関わる部分はは私個人のものであり、他の如何なる個人・組織とも関係の無いものであること、又、特定の党派を称賛したり貶めたりする意図が無い事をお断りしておきます。 春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.06.09 23:23:17
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