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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ事故は継続中)

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2018.08.17
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カテゴリ:カテゴリ未分類
​​​​​​​​​​​ フクイチ(福島第一原発)で増え続けるALPS処理済み水の最終処分方法・時期に関する経産省の説明・公聴会の日程が決まって以来、当ブログでは集中的にこの問題を取り上げています。
 事実上の「連載」となり、既に6回を数えました。

緊急アップ! フクイチのALPS処理済み水に関する説明・公聴会の情報

経産省が「公聴会」を採用した理由と、スリーマイル原発事故の前例

ALPS処理済み水の処分に関する「説明・公聴会」の開催決定に至る経緯

フクイチのALPS処理済み水の扱い~タンク用地と137万t容量~

フクイチ・ALPS処理済み水の扱い~処分方法と準備期間~

ALPS処理済み水の最終処分~経産省の考える「落としどころ」と理屈を深堀りする~

 これまでは、「公聴会決定に至る経緯」「考えるべき前提条件」「経産省の資料の作り方の偏り」「海洋排水する側の理屈やスケジュール感の推測」等を書いてきました。

 本記事から、私の考え方を書いていきます。

 これまでにも繰り返し書いているように、私は、「処理済み水の海洋排水には反対」であり、「海洋排水以外の方法を採用すべき」と考えています。

 本来は

①海洋排水に反対する理由

②海洋排水以外の具体案

 の順番に書いていくべきですが、①は長くなるので、順番を入れ替え、②から書いていきます。


具体案を考える前提

 これまでの記事の振り返りにもなりますが、処理済み水の扱いに関して、具体案を考える前提となる条件を列挙します。

① 確保可能な用地の限界までタンクを設置しても、確保可能なのは2020年までに137万t容量。それ以上の確保が可能かどうかは、今のところ、不明。

② 137万t容量の内、ALPSの稼働に必要な2万t容量と、地下水量急増等に備えてのリスク対応分9万t容量は、貯留可能容量から差し引く必要があり、実質的な貯留可能量は126万t容量。

③ 2018年1~7月のタンク内貯留量の増加量は月間平均・約6000t、2018年7月末のタンク内貯留総量・約109万tであり、2年~2年半後には、実質貯留可能量126万tに達すると思われる。

④ 何らかの対応方法を決定しても、準備(設備設計・申請・建設・使用前検査・地元と国民への説明等)に最低限、1年半から2年程度は必要。

⑤ タンク建設・リプレース(ボルト締めタンクから溶接タンクへの更新)は被曝労働であり、作業安全や被曝線量の低減が最優先。安全上の理由でタンク建設が停滞・遅延する可能性は常にある。「2020年末で137万t容量」という数字を絶対視するのは避けるべき。

⑥ 仮に、タンク運用計画や敷地内のタンク用地の見直しで、数万トン程度の貯留容量を確保できたとしても、問題を1年前後、先送りするに過ぎない。

 これ等の点が前提条件になることは、どの立場であれ、同意・一致するものであろうと思います。


私の考える「タンク貯留継続案」の概要

 前置きが長くなりました。
 以下が、私の考えるタンク貯留継続案の概要です。ポンチ絵の無断転載・利用は御遠慮下さい。

●タンク貯留継続・用地拡張案



 箇条書きで纏めます。

● フクイチ周辺は除染で発生した廃棄物を一時保管する中間貯蔵施設として確保されており、居住・仕事は不可となっている。その敷地の一部を転用する(​中間貯蔵施設・イメージ図​[環境省のサイト])

● ALPSや既存のタンクとの接続、配管の引き回し等を考慮すれば、既存のタンク群に隣接させるのが、工期も短くなり、最も合理的。

● 新たに設置するタンクは、可能であれば、石油基地で使用されているような数万トン容量の超大型タンクも考慮し、大容量・長期保管を前提とする(但し、石油用の大型タンクは、8年に一度の検査が義務付けられており、放射性液体廃棄物を貯留しているタンクの検査方法は検討の必要有。又、タンクが大型になるほど、貯留水の漏洩に備えた外周堰の設計に余裕を持たせる必要があり、この点も検討が必要)。

●「(処理済み水の)最終処分方法」は、「放射能の自然減衰を待つ」こととする。トリチウムの半減期は12.3年であり、約120年保管すれば、現在のトリチウムの放射能量・1000兆ベクレルは、1兆ベクレルに減衰する。

●「中間貯蔵施設として確保している土地の用途転用」と「放射性液体廃棄物を100年単位で地元で保管する」ことについては、東電の社長・会長、及び、原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)が地元自治体や地権者に頭を下げ、対面で、何度でも依頼して、了解を貰うようにする。土地の買収・賃貸の費用を引き上げる場合には、首相・閣僚の給料の返上から始め、国として責任を持つ。

● 新たな土地で整地作業を行うに伴って発生する伐採木・土壌・その他の廃棄物に関しては、フクイチ敷地内での保管・減容を前提とする。

● 中間貯蔵施設の土地を転用する事で、中間貯蔵施設の用地が不足した場合は、中間貯蔵施設を既存の計画より拡大する。これに関する地元への対応は原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)が対応する。土地の買収・賃貸の費用が更に必要な場合には、首相・閣僚の給料の返上から始め、国として責任を持つ。

● 買収費用や賃料、更なるタンク建設費用に国の予算を投入する事を躊躇すべきではないが、その場合には、社会保障の予算を削らない事を前提として、支出を見直す。


私案を考えた背景と、実行の為の政治的課題

 以上が概要ですが、私が、上記の考えをまとめた背景を更に補足します。

 フクイチの敷地内では、固体廃棄物の保管・管理計画に従って、増設焼却炉や固体廃棄物貯蔵庫の建設が動き出しており、敷地内の用地運用を見直すと、固体廃棄物の保管・管理計画も見直しを迫られ、固体廃棄物の管理計画に影響を及ぼす可能性が有ります。液体廃棄物の扱いすら困っているのに、固体廃棄物の扱いも暗礁に乗り上げるような事は避けなければいけません。

 又、敷地北側(双葉町側)にタンクを設置しようとしても、構内の道路やその他の設備を跨いで、配管を設置しなければなりません。地下配管なら可能かもしれませんが、工期の問題や、漏洩が検知し難くなる等の問題もあります。「2年前後」という時間の制約から、最もシンプルに工事できる場所を選ぶ必要があるでしょう。

 幸いな事に(このような事を書くと、地元の方には殴られるかも知れませんが)、フクイチ周辺の土地は中間貯蔵施設として、国が取得・取得予定ですから、用地取得の交渉を一から始める必要も有りません。(注・中間貯蔵施設の総面積は約1600ha。取得済み面積は2018年7月現在で987ha)
 実行すると、フクイチの敷地を南側に拡げることになりますが、その場合には、放射線管理区域も南側に拡張すれば良いのです。

 長期貯留の見通しさえ立てば、「半減期を活用して、放射能の自然減衰を待つ」選択肢も取れるのではないでしょうか。「敷地内で対処」という前提を外すことで、選択肢を広げることも出来ます。

 但し、この案の実行は、東電や経産省だけで不可能でしょう。地元を含めた国民は、特に東電には不信を持っていますし、東電が独力で土地を確保できる財力があるとも思えません。原子力災害対策本部長である内閣総理大臣が地元に頭を下げ、何度も足を運び、場合によっては、東電の社長と並んで、地権者に土下座し、任期中の給料全額を返上して、お願いする覚悟が必要でしょう。

 又、国会や主権者・国民も、処理済み水の問題を政局や政争の具として使ったり、ただ「騒ぐだけ」ではいけません。特に、首都圏の主権者・国民は、フクイチ・フクニで発電されていた電気を消費してきたのですから、当事者として議論に加わる責任は一段と重いと言えます。


海洋排水以外の、その他の案を検討する

 以上、「フクイチの敷地南側にタンク用地を拡張する」という私案の概要・考えた背景・実現の為の政治的条件になります。

 ここで、処理済み水の扱いに関する、海洋排水以外の他の案を検討してみます。ここで取り上げるのは、私が個人的に聞いたものや、ネットで拾ったもの、、原子力市民委員会のものになります。


●フクニ(福島第二原発)敷地内にタンクを増設し、水を移送

 福島第二原発の敷地は約147万平米(=147ha)で、福島第一(約350万平米)の半分以下です。しかもフクニは、廃止の方向性が打ち出されており、今後、廃止措置計画が策定されるものと思われます。フクニの廃止措置と干渉せずに、津波の来ない高台にタンクを設置するとして、設置可能な広さはどのくらいでしょうか? フクニの廃止措置計画が固まってない以上、タンク用地の選定にも時間がかかるでしょうし、10万t容量程度の設置では、1~2年程度、問題を先送りするだけです。

 又、フクニに大量のタンクが設置可能だとしても、フクイチから水を移送する手段が問題です。タンカーやタンクローリーを使うにしても、機材や運転手(乗組員)の確保をどうするのか。タンクローリー・タンカー等も、トリチウム水を入れてしまえば、最終的には放射性固体廃棄物として処分するしかないでしょう。固体廃棄物の発生抑制という点からも後々の手間を増やすことになります。

 或いは、パイプラインという手法も有るかも知れませんが、パイプラインで放射性液体廃棄物を移送した実績が世界でも有るのかどうか、私は承知していません。日本で初の取り組みでしょうから、規制基準の策定、設計・建設・使用前検査も手探りになります。耐震裕度をどのくらい見込むのか、最後にパイプラインを解体する時にどうするのか、疑問は尽きません。パイプラインも最後は固体廃棄物になりますから、ゴミが増えます。

 最後に、最も重要な点ですが、フクニにタンクを増設してフクイチから水を持ってくることに、立地自治体である富岡町・浪江町の了承が得られるかどうか。

 以上の点から、私は、フクニの活用は現実的でなく、仮にやろうとしても、政治的な理由・用地確保・設備設計の面で、2年以内に間に合わせるのは厳しいと思います。


●フクイチの敷地北側に巨大タンクを建設

 原子力市民委員会が提案しているものです。

関連リンク:​声明「トリチウム水は大型タンクに100年以上保管せよ」ほかを福島県に提出・意見交換を行い、記者会見を開催しました

 フクイチの敷地は、計画も含めて一杯になっているのは、私の案を説明する文章でも書いた通りです。
 原子力市民委員会が、フクイチの固体廃棄物の保管・管理計画を把握しているかどうかは分かりませんが(市民委員会の資料には構内図も付いておらず、文章を読む限り、把握しているとは思えない)、市民委員会の提案は現状を踏まえていません。

 但し、石油基地で使う巨大タンクというのは一理あります。この点は、私は、自分の意見をまとめる際に参考にしました。整地作業・設計期間を含めて2年以内に建設できるのなら、有力な選択肢となり得ます。

 因みに、参考として、日本最大の国家石油備蓄基地である、苫小牧東部国家石油備蓄基地のデータを紹介しておきます(話は飛びますが、原子力市民委員会の甘さは、このようなデータを詳細に詰めていない点にも有ります)。

使用されている最大容量のタンク:約11.5万t容量。高さ24.5m・直径82m・周囲長さ256m。
タンク基数:約11.5万t容量×55基と、約4.1万t容量×2基の合計57基
屋根の構造:浮屋根方式
敷地面積:約274ha

苫小牧の「国家石油備蓄基地」に行ってきた​(東洋経済オンライン)

タンクの構造のイラスト​(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)


● 地層注入・地下埋設

 以前の記事にも書いた事ですが、適切な地層や地盤の選定、更には、適切なモニタリング手法の検証が必要です。トリチウム水タスクフォースの報告書に記載されただけで、地盤・地層の選定も、地下のモニタリング手法の実証試験も行われていません。
 仮にこの案を採用しても、2年以内の実行は困難でしょう。


● 分離技術

 分離技術に見通しが持てないのも、以前の記事で書いた通りです。
 分離技術で、2年以内にプラント化可能、且つ、稼働率も高くなると見込めるものがあれば、経産省は飛びついているでしょう。少なくとも、予算を付けて実証事業(フィージビリティ・スタディ)を始めている筈です。少なくとも、凍土方式陸側遮水壁の時はそうでした。今回は何も行われていません。つまり、分離技術に有望なものは見付けられていないということです。


現状で最も合理的と思いますが、こだわるものではありません

 以上が、私が考える、

「各種の前提条件を満たしつつ、設備設計・所要期間・政治的に最も合理的と思われる、海洋排水以外の方法」

 です。

 出来るだけ幅の広い視点で見たつもりですが、もとより、私個人で見られる・気付ける部分には限界があります。
 私は、「放射能の自然減衰を待つことを前提として、大熊町側にタンク用地を拡張し、地元の説得には原災本部長が当たるべき」という案で、公聴会に意見を送る予定ですが、「これだけが絶対に正しい」と主張するものでもありません。

 以前から書いていることの繰り返しですが、処理済み水の問題(正確には、「福島第一原発事故の収束に向けた課題全般」)は、主権者・国民全員が当事者として議論に参加すべきなのです。
 私の考えた案以外に、各種の条件を満たしつつ、より合理的な案が有るかも知れません。
 1人でも多くの国民が、公聴会に意見を送り、多くの意見が公的なチャネルで可視化されることが必要です。

 さて、本記事までで、「海洋排水以外の具体案」は書けました。 

 一番の問題は、「海洋排水に反対する理由」です。処理済み水の問題の半分はここにあると言っても過言ではありません。本来は、真っ先に書くべきことですが、長くなるのが分かっているので、他の点を先に書いてきました。

「海洋排水に反対する理由」は、次回から書いていきます。

 今回は7000文字以上の長文になりました。この記事を最後まで読んで頂いた方に感謝いたします。


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​ ​​​​​​​​​​​​​​​​​ ​​​​ ​​​​​​​​​​​






Last updated  2018.08.22 22:11:15
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