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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ事故は継続中)

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2018.09.20
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​​​​​​​​​​​​​​ ALPS処理済み水の「連載」の続きです。
 今回は、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」の委員でもある、開沼博・立命館大学衣笠総合研究機構准教授の、小委員会での発言等を取り上げます。
 氏の経歴や肩書は公式サイトで御確認下さい。

開沼博氏のオフィシャルサイト

 開沼氏は、3.11後に出てきた「有識者」であり、私は、新しいタイプの知識人かと思っていました。とは言っても、伝聞だけでしたので、実際、どのような発言・プレゼンを行うのか、件の小委員会を傍聴しながら注視していました。更に公聴会の動画を視聴し、イイノホールでも傍聴して、私の中で一定の結論を得たので、それをまとめておきます。


第2回・小委員会で行われた開沼氏のプレゼン

 開沼准教授が本格的に発言したのは、第2回・小委員会(2016年12月16日・金曜・10時~・経済産業省本館17階・第1特別会議室)でのプレゼンでした。氏の提出した資料は下記。

福島の現状と風評被害

 全8頁ですが、最初と最後の頁は内容が被っており、写真等をコラージュしたページも有りますから、実質は6頁です。3頁目の「福島の現状」と題された頁は、よく調べているとは思いますが、公式資料から数字を抜き出しただけで、独自調査ではありません。

 他の頁も、「風評被害」と「これからの課題」を羅列したもので、独自調査や考察は有りません。肝になるべき「結論」の部分でも一般論を書いているだけで、独自の提案や考察は皆無です。
 プレゼン資料の文言から、幾つか引用します。元の資料には通し番号はありませんが、分かり易くする為、追加しました。

====一部引用、ここから====

①「事実の共有を可能な限り広くする。その上で、様々なステークホルダー(住民、生産者、消費者等)が関わりながら合意形成をする」

②「風評被害を最小化しつつ、廃炉作業を持続可能に続ける状態を作るのにベストな方法を選ぶ。
そのために、どう事実の共有をし、どのタイミングで処分をするか詳細を検討する」

③「『福島の問題』は『科学技術的課題の解決』に加えて『社会的合意形成』が重要な段階に」

④「徹底的に住民・生産者・消費者等の不安を洗い出し対応する。得たい知識を提供できる受け皿を」

⑤「差別・偏見にさらされる弱い立場に置かれる人を守るための事実の共有を続ける。事実を共有するためには『同じことでも100回言う』。(専門家と生活者の分断を埋めるための事実共有がこの問題の要諦。専門家は生活者が分かるように工夫しながら、ゼロから説明し続ける)」

⑥「【具体的に】
これまでのように漁業者等、一部の地元住民に風評被害を集中させないための方法とタイミングを検討
その前提となる、社会的合意形成のために、消費者・流通等、広い範囲での理解の底上げ(事実の共有)をする道筋も作る」

====一部引用、ここまで====

 開沼氏の議論の特徴は、大きく三点あります。

1.一般論や総論で尤もらしい言葉や文章を並べる。
2.具体的な制度設計や方法は提案しない。
3.東電や政府は、「働きかけ」の対象にしない。

 ④⑤⑥の文章が顕著ですが、「知らないのは生活者・消費者・流通であり、専門家や東電・政府が正しい情報を持っている」という前提になっています。

 東電や政府のこれまでの言動が不信感に繋がっている事には触れず、東電や政府の過去の言動を洗い出す姿勢は微塵もありません(だからこそ、経産省の有識者会合の委員にも選ばれるのでしょうが)。

 総論や一般論を並べるだけなら、私でも出来ます。
 開沼氏が具体的には何も考えていない事は、この第2回小委員会の議論でも明らかです。第2回・小委員会の議事録​31頁から一部引用します。

====引用、ここから====

○崎田委員
 ご発表ありがとうございます。
 最後の結論のほうの今後必要なことというところで、やはり大きな課題を棚上げせずに持続可能な解決に近づくことができる体制を構築すると書いていただいています。(中略)思っておられるこの体制を構築するというところに、今そういうことをみんなで議論をしようとしているわけですが、どのようなイメージをお持ちなのかもう少しお話しいただければありがたいと思いました。

○開沼委員
 すみません、これ答えは私はまだこの委員会で議論をしていく中で知りたいなと思っております。もちろんトリチウムの科学的な安全性危険性の問題も最も重要なテーマだと思います。(後略)

春橋注(敬称略)/崎田→ 崎田 裕子:ジャーナリスト・環境カウンセラー NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長

====引用、ここまで====

 開沼氏は多くを発言し、プレゼン資料を書いてはいますが、結局のところ、「(今は)分かりません・答えが見つかっていない」のです。
 2016年12月の段階でこの状態でした。それなら、小委員会での議論を通じて、「答えが見つかったのか」というと、見付けていないでしょう。開沼氏は今年8月末の公聴会までに、小委員会でプレゼンをしておらず、独自の考えも発表していません。
「議論をしていく中で知りたい」と言いつつも、タンク容量のリミットが近づく中、1年半も議論してきて、答えが見つかっていないということは、「答えを見付ける意欲が無い」のか、「最初から見つけるつもりが無い」のか、どちらかでしょう。何れにしても、「答えを見付けたい」と言っている割には、社会学者として失格だと思います。


「『汚染水』と『処理済み水』は違う」発言

 開沼氏は、公聴会で殆ど口を開きませんでした。意見表明者への質問の為に富岡会場で発言し、郡山会場で意見表明者から問われて発言していましたが、自分の意見は述べず、東京会場では全く沈黙していました。

 私はこの開沼氏の態度を見て、氏のズルさ(卑怯さと言って良いかも知れません)を実感しました。

 意見表明者が次々に「トリチウム以外も高濃度で含まれている」「情報が開示されていない」「騙されていたのではないか」「最初から議論をやり直すべき」と、委員会の路線・資料に真っ向から反対する中、どういう思いでいたのでしょうか? 開沼氏は、第7回・小委員会(2018年2月2日・金曜・9時~・経済産業省本館17階・第一~三共用会議室)で、次のように発言しているのです。​第7回・議事録​・38頁から一部引用します。

====引用、ここから====

(前略)汚染水と言われるものと処理済み水あるいは処理水の話が違うんだということを、全体の中でのトリチウムの性質についての説明の位置づけをまずしないと、これはマスメディアでも普通にトリチウム水の話をしているのに「汚染水」と呼び続けている例もあります。汚染水と処理済みの水とは科学的にも社会的にも扱いを区別する必要がある。汚染水タンクとかいまだに使っているところがあります。ちゃんと意識できている記者の方とかは処理済み水とか丁寧に言っていますけれども、そこの議論の整理が、マスメディアでそれなりに勉強している方でもそうですから、一般住民・国民がそこの認識はできている前提でこの話を始めちゃうといろいろな誤解があるかと思いますので、汚染水と処理済み水、言い方はいろいろあると思うんですけれども、そこの点の区分けが重要ではないかというふうに思います。
(後略)

====引用、ここまで====

 私は、傍聴席で聞いていて、苦笑するしかありませんでした。

 問題は、開沼氏が、委員会の場では「汚染水と処理済み水は違う」と主張しておきながら、生中継も録画も入るフルオープンの公聴会の場では、その意見を微塵も表明しなかった事です。

「生産者・消費者・地元住民への情報発信が大切」「同じ事でも100回言う」という主旨でプレゼンしておきながら、自分は、公聴会で目前の「消費者」「地元住民」に何も語らず、意見を表明しないのでは、全く筋が通りません。

 第7回・小委員会で「汚染水と処理済み水は違う」と主張していたのですから、どうして、公聴会でそれを、自分の言葉で、疑問を投げつけてきた意見表明者に(そして、その向こうにいる多くの国民に)、説明しなかったのでしょうか。

 クローズドな場のみで意見を表明し、「消費者」「地元住民」への説明を他人任せ(この場合は経産省の事務局と委員長)にするなら、誰でも委員は出来ますよ。
 要するに、当事者に向き合う知識・意見・勇気・自信が無かったと思わざるを得ません。社会を構成する消費者・生産者・国民に一人称で向き合わないなら、社会を相手にする研究する社会学者とは言えないでしょう。単なるチキン(臆病者)か、中味が空っぽの「学者紛い」でしかありません。


「事実の共有」と言っているのに

 更に続けます。
 第2回・小委員会の開沼氏の発言で、もう一つ見逃せないのが以下の部分です(議事録・21頁より引用)。

====引用、ここから====

 現実社会はイメージで動いている部分があります。どういうふうに私たちが合意する、そのための事実の共有をしていくのか。(中略)私の今回の発表のキーワードの一つも事実の共有です。事実です、ファクトです。

====引用、ここまで====

 では、開沼氏自身は、事実を共有する努力をしてきたのか、事実を社会に向けて発信してきたのかというと、していません・できていません。

 時系列は飛びますが、公聴会後の9月6日、開沼氏は、NHKラジオ第一の福島県向け番組「こでらんに」のコーナー「知的な木曜日」に出演しています。

 その時の発言を一部、抜粋で引用します(文字起こしはブログ「やいちゃんの毎日」より、許可を得て引用)。全文はこちら→ 「開沼カフェ」のミスリード。

====引用、ここから====

福島第一原発に1000トン入りの水が入るタンクが1000台ほど、今、溜まっています。

計算すると100万トンの水がタンクに保管されているのですけれど

タンクの中の水は、事故を起こした原発の建物の中から取り出された後に、フィルターのようなもので浄化処理されています。で、トリチウムという放射性物質以外は、ほぼ取り除かれているものなんですね

====引用、ここまで====

 最も分かり易く説明できる箇所だけ、3つ、抜き出しました。

 先ず、タンクの設置基数と容量に関して。
 1~4号機建屋用のタンクは約900基で、容量は700~2900tまで、バラつきが有ります。これは、毎月一回公表されている「各エリア別タンク一覧」を見れば分かる事です。(​最新版は9月6日に公表​)。

 2点目の水の保有量。
 8月最終木曜日の水の保有量は9月3日に公表されています。​拙ブログでも既に紹介済みです。
 原子炉注水用のRO水の保有量を除外したとしても、8月末時点の水の保有量は約110万tです(建屋滞留水は、それとは別)。開沼氏は数字を少なくして話しています。

 3点目の含有核種の件は、開沼氏のいい加減さを証明する典型的な例です。
 拙ブログでも紹介したように、ALPS処理済み水でも含有核種の濃度には幅が有り、ストロンチウム90やセシウム137の最大濃度が告示濃度を越えていることは、第1回・小委員会の時点で配布資料で知らされていました。又、公聴会では、それ以外にヨウ素129が相当程度の濃度で残っていることも指摘されました。
 開沼氏はそれらの情報について何ら言及せず、山本委員長が「タンクの中の水を調べるように依頼した」ことにも触れていません。

 4点目。
 ラジオ番組の書き起こし全編を読んで頂ければ分かりますが、開沼氏は、最も大事な「タンク用地の枯渇」に触れていません。
 拙ブログでも繰り返し指摘しているように、「フクイチの敷地面積は約350万平米、その内、建屋やALPSに近い所で、海抜35mの、タンクが設置可能な区域はほぼ使い尽くしている。ボルト締めタンクのリプレース(置き換え)で容量を増やしたりタンクの配置を見直したりして容量を確保してきたが、それでも、2020年末までに137万t容量という限界が見えてきた」というのが、議論の前提条件です。

 開沼氏は、敷地面積にも、中長期ロードマップに記載されている「2020年までに137万t容量」という数字にも触れていません。

 これが、「合意の為に事実を共有しようとする社会学者」の態度なのでしょうか? 何が「ファクト(事実)」ですか。事実を矮小化したり、歪めたり、省略しています。


場によって雄弁と沈黙を使い分ける

 以上、「風評被害」や「リスクコミュニケーター」を扱うとされる社会学者・開沼博氏の言動を、分かり易い範囲で追ってきました。

 氏は、自分の発言が精査されないところでは雄弁になり、精査されるところでは沈黙しているように見えます。自分を守る術に長けているのでしょう。氏の卑怯とも言えるズルさが見えます。

 氏が何を目指しているのか、私には分かりません。氏が本音を語る事も無いでしょう。
 最後に紹介したラジオ番組の例で分かるように、地元向けに事実を矮小化したり歪めて伝えているところを見ると、考えられる可能性は二つです。

 1つは「とても優秀だが、何らかの意図(例えば「原発事故の被害の矮小化」「東電や経産省への社会的批判の緩和」等)を持って発言している」可能性。

 もう1つは「本当に不勉強」という可能性です。体系だって学ぶ事も、公開資料を徹底的に調べる事も無く、又、その能力も無く、たまたま、経産省に有識者として選ばれた為に、与えられた情報の範囲でしか考えていない可能性。

 何れにしても、具体的な提案も無く、場によって発言を使い分け、公開資料と異なる内容を発言する人物ですから、「社会学者としては信用できない」という結論になります。「フクイチ事故を飯のタネにしている社会学者もどき」という見方も出来るのではないでしょうか。
 尤も、核発電の利活用を推進しようとしている経産省が選んだ人物ですから、その時点で、信頼性には疑問符がつくのですが。
(尚、私は、公開資料と異なる発言や意見を否定する訳ではありません。但し、それをするなら、公開資料に変わる根拠を同時に示す必要があると考えています)。

 開沼氏は、先のラジオ番組で、最後にこう語っています。

「処理水をどうするのか、判断が近づいたかというと、おそらく逆で、話を聴けば聴くほど、より困難さが露呈したというふうにいえると思います。さらに慎重な議論が重ねられていく必要があるかと思います」

 開沼氏お得意の、「自分の意見や立場を表明しない一般論」です。

 ですが、タンク容量の限界は迫っています。恐らく、遅くとも18年度内には結論を得なければならないでしょう。そうなれば、いやでも、(開沼氏に限らず)立場や意見を表明せざるを得なくなります。一般論や総論で逃げ回っても、(誰であれ)最後には、実態が暴かれる時が来るでしょう。


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​






Last updated  2018.09.20 23:52:07
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