727419 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ事故は継続中)

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile


haruhasi

Calendar

Comments

春橋哲史@ Re[1]:パブコメを提出~MOX燃料加工施設の審査書案について~(11/05) きのこさんへ 記事の主旨にご理解を賜り…
きのこ@ Re:パブコメを提出~MOX燃料加工施設の審査書案について~(11/05) 春橋さまが、パブコメの記事を書かれたの…
斉藤まりこ@ Re:関東1都5県の、土壌中の放射性セシウムの濃度・2011~19年度(09/12) 詳細な情報をありがとうございます!東京…
haruhasi@ Re[1]:岩手県の土壌中の放射性セシウムの濃度・2011~19年度(09/20) きのこさんへ  コメントを有難うございま…

Archives

2018.10.02
XML
カテゴリ:反原発・脱原発
​​​​​​​​​​​​​​​​​あちこちに出回る小出氏の抗議文

 最近、小出裕章氏(元・京都大学原子炉実験所助教)が、 IOC(国際オリンピック委員会)バッハ会長宛に書いたとされる抗議文「フクシマ事故と東京オリンピック」 が、​FBで拡散されたり、脱原発を訴える運動のブログで紹介されているのを見かけるようになりました。

 数百人が所属しているFBのグループで紹介されたり、ママの会が拡散しています。
 小出氏の文章は間違いや説明不足が多く、胆振東部地震で北海道全域がブラックアウトした際に拡散された「柏原発」並の文章です。大学で、原子力を研究していた人物が「反・原発」の立場で書いたものですから、原発反対の立場で考えたり行動している人の中には、中味を信用してしまう人も出てくるでしょう。

 元々は、小出氏が村田光平氏(元・駐スイス大使)に送った文章とのことです。村田氏も、文章をそのまま紹介していますから、小出氏の間違いに気付けなかったのでしょう(知見が無いのではなく、公開資料を一人称で確認していないのだろう)。

村田公平オフィシャルサイト​(右端の「近況報告にジャンプ」をクリック。9月24日付の「多方面への発信メッセージ」に原文へのリンクが有ります/フクシマ事故と東京オリンピック 2018年9月​)

 間違いは間違いですし、「脱・原発」を訴える運動の品質を貶める事にもなるので、看過できません。

 先ず、小出氏の文章です


​====引用、ここから(行間は春橋にて挿入)====​

「フクシマ事故と東京オリンピック」 2018年9月
 

 2011年3月11日、巨大な地震と津波に襲われ、東京電力・福島第一原子力発電所が全所停電となった。全所停電は、原発が破局的事故を引き起こす一番可能性のある原因だと専門家は一致して考えていた。その予測通り、福島第一原子力発電所の原子炉は熔け落ちて、大量の放射性物質を周辺環境にばらまいた。日本国政府が国際原子力機関に提出した報告書によると、その事故では、1.5×10の16乗ベクレル、広島原爆168発分のセシウム137を大気中に放出した。広島原爆1発分の放射能だって猛烈に恐ろしいものだが、なんとその 168倍もの放射能を大気中にばらまいたと日本政府が言っている。

 その事故で炉心が熔け落ちた原子炉は1号機、2号機、3号機で、合計で7×10の17乗ベクレル、広島原爆に換算すれば約8000発分のセシウム137が炉心に存在していた。そのうち大気中に放出されたものが168発分であり、海に放出されたものも合わせても、現在までに環境に放出されたものは広島原爆約 1000発分程度であろう。つまり、炉心にあった放射性物質の多くの部分が、いまだに福島第一原子力発電所の壊れた原子炉建屋などに存在している。これ以上、炉心を熔かせば、再度放射性物質が環境に放出されしまうことになる。それを防ごうとして、事故から7年以上経った今も、どこかにあるであろう熔け落ちた炉心に向けてひたすら水を注入してきた。そのため、毎日数百トンの放射能汚染水が貯まり続けてきた。東京電力は敷地内に1000基を超えるタンクを作って汚染水を貯めてきたが、その総量はすでに 100万トンを超えた。敷地には限りがあり、タンクの増設には限度がある。近い将来、東京電力は放射能汚染水を海に流さざるを得なくなる。

 もちろん一番大切なのは、熔け落ちてしまった炉心を少しでも安全な状態に持って行くことだが、7年以上の歳月が流れた今でも、熔け落ちた炉心がどこに、どんな状態であるかすら分からない。なぜなら現場に行かれないからである。事故を起こした発電所が火力発電所であれば、簡単である。当初何日間か火災が続くかもしれないが、それが収まれば現場に行くことができる。事故の様子を調べ、復旧し、再稼働することだって出来る。しかし、事故を起こしたものが原子力発電所の場合、事故現場に人間が行けば、死んでしまう。国と東京電力は代わりにロボットを行かせようとしてきたが、ロボットは被曝に弱い。なぜなら命令が書き込まれている IC チップに放射線が当たれば、命令自体が書き変わってしまうからである。そのため、これまでに送り込まれはロボットはほぼすべてが帰還できなかった。

 2017年1月末に、東京電力は原子炉圧力容器が乗っているコンクリート製の台座(ペデスタル)内部に、いわゆる胃カメラのような遠隔操作カメラを挿入した。圧力容器直下にある鋼鉄製の作業用足場には大きな穴が開き、圧力容器の底を抜いて熔け落ちて来た炉心がさらに下に落ちていることが分かった。しかし、その調査ではもっと重要なことが判明した。人間は8シーベルト被曝すれば、確実に死ぬ。圧力容器直下での放射線量は一時間当たり20Svであったが、そこに辿り着く前に530あるいは650シーベルトという放射線が計測された。そして、この高線量が測定された場所は、円筒形のぺデスタルの内部ではなく、ペデスタルの壁と格納容器の壁の間だったのである。東京電力や国は、熔け落ちた炉心はペデスタルの内部に饅頭のように堆積しているというシナリオを書き、30年から40年後には、熔け落ちた炉心を回収し容器に封入する、それを事故の収束と呼ぶとしてきた。しかし実際には、熔けた核燃料はペデスタルの外部に流れ出、飛び散ってしまっているのである。やむなく国と東京電力は「ロードマップ」を書き換え、格納容器の横腹に穴を開けて掴み出すと言い始めた。しかし、そんな作業をすれば、労働者の被曝量が膨大になってしまい、出来るはずがない。

 私は当初から旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所事故の時にやったように石棺で封じるしかないと言ってきた。そのチェルノブイリ原発の石棺は30年たってボロボロになり、2016年11月にさらに巨大な第2石棺で覆われた。その第2石棺の寿命は100年という。その後、どのような手段が可能かは分からない。今日生きている人間の誰一人としてチェルノブイリ事故の収束を見ることができない。ましてやフクシマ事故の収束など今生きている人間のすべてが死んでも終わりはしない。その上、仮に熔け落ちた炉心を容器に封入することができたとしても、それによって放射能が消える訳ではなく、その後数十万年から100万年、その容器を安全に保管し続けなければならないのである。

 発電所周辺の環境でも、極度の悲劇がいまだに進行中である。事故当日、原子力緊急事態宣言が発令され、初め3km、次に10km、そして20km と強制避難の指示が拡大していき、人々は手荷物だけを持って家を離れた。家畜やペットは棄てられた。それだけではない、福島第一原子力発電所から40~50km も離れ、事故直後は何の警告も指示も受けなかった飯舘村は、事故後一カ月以上たってから極度に汚染されているとして、避難の指示が出、全村離村となった。人々の幸せとはいったいどのようなことを言うのだろう。多くの人にとって、家族、仲間、隣人、恋人たちとの穏やかな日が、明日も、明後日も、その次の日も何気なく続いていくことこそ、幸せというものであろう。それがある日突然に断ち切られた。避難した人々は初めは体育館などの避難所、次に、2人で四畳半の仮設住宅、さらに災害復興住宅や、みなし仮設住宅へ移った。その間に、それまでは一緒に暮らしていた家族もバラバラになった。生活を丸ごと破壊され、絶望の底で自ら命を絶つ人も、未だに後を絶たない。

 それだけではない。極度の汚染のために強制避難させられた地域の外側にも、本来であれば「放射線管理区域」にしなければいけない汚染地帯が広大に生じた。「放射線管理区域」とは放射線を取り扱って給料を得る大人、放射線業務従事者だけが立ち入りを許される場である。そして放射線業務従事者であっても、放射線管理区域に入ったら、水を飲むことも食べ物を食べることも禁じられる。もちろん寝ることも禁じられるし、放射線管理区域にはトイレすらなく、排せつもできない。国は、今は緊急事態だとして、従来の法令を反故にし、その汚染地帯に数百万人の人を棄てた。棄てられた人々は、赤ん坊も含めそこで水を飲み、食べ物を食べ、寝ている。当然、被曝による危険を背負わせられる。棄てられた人は皆不安であろう。被曝を避けようとして、仕事を捨て、家族全員で避難した人もいる。子どもだけは被曝から守りたいと、男親は汚染地に残って仕事をし、子どもと母親だけ避難した人もいる。でも、そうしようとすれば、生活が崩壊したり、家庭が崩壊する。汚染地に残れば身体が傷つき、避難すれば心が潰れる。棄てられた人々は、事故から7年以上、毎日毎日苦悩を抱えて生きてきた。

 その上、国は2017年3月になって国は、一度は避難させた、あるいは自主的に避難していた人たちに対して、1年間に20ミリシーベルトを越えないような汚染地であれば帰還するように指示し、それまでは曲がりなりにも支援してきた住宅補償を打ち切った。そうなれば、汚染地に戻らざるを得ない人も出る。今、福島では復興が何より大切だとされている。そこで生きるしかない状態にされれば、もちろん皆、復興を願う。そして人は毎日、恐怖を抱えながらは生きられない。汚染があることを忘れてしまいたいし、幸か不幸か放射能は目に見えない。国や自治体は積極的に忘れてしまえと仕向けてくる。逆に、汚染や不安を口にすれば、復興の邪魔だと非難されてしまう。

 1年間に20ミリシーベルトという被曝量は、かつての私がそうであった「放射線業務従事者」に対して初めて許した被曝の限度である。それを被曝からは何の利益も受けない人々に許すこと自体許しがたい。その上、赤ん坊や子どもは被曝に敏感であり、彼らには日本の原子力の暴走、フクシマ事故になんの責任もない。そんな彼らにまで、放射線業務従事者の基準を当てはめるなど、決してしてはならないことである。しかし、日本の国はいま、「原子力緊急事態宣言」下にあるから、仕方がないと言う。緊急事態が丸 1日、丸1週間、1月、いや場合によっては 1年続いてしまったということであれば、まだ理解できないわけではない。しかし実際には、事故後7年半たっても「原子力緊急事態宣言」は解除されていない。国は積極的にフクシマ事故を忘れさせてしまおうとし、マスコミも口をつぐんでいて、「原子力緊急事態宣言」が今なお解除できず、本来の法令が反故にされたままであることを多くの国民は忘れさせられてしまっている。環境を汚染している放射性物質の主犯人はセシウム137であり、その半減期は30年。100年たってもようやく 10分の1にしか減らない。実は、この日本という国は、これから100年たっても、「原子力緊急事態宣言」下にあるのである。

 オリンピックはいつの時代も国威発揚に利用されてきた。近年は、箱モノを作っては壊す膨大な浪費社会と、それにより莫大な利益を受ける土建屋を中心とした企業群の食い物にされてきた。今大切なのは、「原子力緊急事態宣言」を一刻も早く解除できるよう、国の総力を挙げて働くことである。フクシマ事故の下で苦しみ続けている人たちの救済こそ、最優先の課題であり、少なくとも罪のない子どもたちを被曝から守らなければならない。それにも拘わらず、この国はオリンピックが大切だという。内部に危機を抱えれば抱えるだけ、権力者は危機から目を逸らせようとする。そして、フクシマを忘れさせるため、マスコミは今後ますますオリンピック熱を流し、オリンピックに反対する輩は非国民だと言われる時が来るだろう。先の戦争の時もそうであった。マスコミは大本営発表のみを流し、ほとんどすべての国民が戦争に協力した。自分が優秀な日本人だと思っていればいるだけ、戦争に反対する隣人を非国民と断罪して抹殺していった。しかし、罪のない人を棄民したままオリンピックが大切だという国なら、私は喜んで非国民になろうと思う。

 フクシマ事故は巨大な悲劇を抱えたまま今後100年の単位で続く。膨大な被害者を横目で見ながらこの事故の加害者である東京電力、政府関係者、学者、マスコミ関係者など、誰一人として責任を取っていないし、処罰もされていない。それを良いことに、彼らは今は止まっている原子力発電所を再稼働させ、海外にも輸出すると言っている。 原子力緊急事態宣言下の国で開かれる東京オリンピック。それに参加する国や人々は、もちろん一方では被曝の危険を負うが、一方では、この国の犯罪に加担する役割を果たすことになる。

====引用、ここまで====


小出氏の文章への指摘

 以下、小出氏の文章の間違いや説明不足を指摘します。

1.タンク基数は1000基を越えていない
 フクイチ敷地内のタンク基数は1~4号建屋の水に対応する分で、8月末時点で約900基です。5・6号機分を加えても、1000基は越えていません。タンクの数は毎月、東電が提出しています→​(リンク)8月末時点

2.2018年8月末のタンク内貯留水は約110.5万t
 8月末の時点でタンク内貯留水の量は110.5万tを越えていました。「100万tを越えた」ではなく、「約110万t」と書かなければ、事態を正確に伝えていることになりません。


3.訂正前の数字を堂々と書く無知・不勉強
 小出氏の文章の最大の問題点であり、小出氏が無知・不勉強のまま書いていることを象徴している部分です。
 東電が「胃カメラのような機器」を投入したのは2号機の原子炉格納容器内です。小出氏は号機数を書いていません。
 当初公表された「530・或いは630Sv/時」という推測値は、後に訂正されています。
 →(リンク)​7月27日の発表資料の3頁

 上記の資料には、530Svは70Svへ、650Svは80Svへと訂正される旨が書いてあります。しかも、これ等の数値は、上下に幅を見なければならないもので、数字を特定できるものではありません。
 又、小出氏は「計測された」と書いていますが、線量は画像のチラつき等からの推測値で、「計測」ではありません。この点も間違っています。


4.チェルノブイリ原発の石棺は、日本には通用しない建造物
 チェルノブイリ原発の石棺方式を推奨するのは、小出氏の以前からの持論のようですが、この石棺は建築物としては極めて好い加減なもので、第二の地震や津波のリスクが有るフクイチには通用しません。
 チェルノブイリ原発の石棺の実態と、それをフクイチに適用する事の考察については、拙ブログに書いています。→(リンク)​「フクイチ石棺化」論について~石棺化は不可能だろうという考察~


5.公式資料を使わず、漠然と書くだけでは説得力が無い
「放射線管理区域」に相当する土壌汚染が関東にまで広がっていることは、環境省の調査によっても明らかになっています。IOCに送るのなら、日本政府の公式機関の資料を引用すべきですが、何らの引用もせず、ただ「広大に生じた」だけでは、説得力も無いでしょう。環境省の資料に基づいた表は、拙ブログに掲載しています。元のデータにもリンクを張っています。

(リンク)
(関連記事1):​関東1都5県の、土壌中の放射性セシウムの濃度・2011~18年度

(関連記事2):​福島県会津地方・中通りの、土壌中の放射性セシウムの濃度・2011~18年度

(関連記事3):福島県浜通りの、土壌中のセシウム濃度・2011~18年度

(関連記事4):​宮城・岩手県内の、土壌中の放射性セシウムの濃度・2011~18年度

(関連記事5):​​​
フクイチから環境中へのトリチウムの管理放出量~19年度第1四半期まで~


6.分かり難く書いてどうするのか
 間違いではありませんが、数字を指数表記にするのは、世論一般の理解を深めると云う点では逆効果でしょう。「1.5×10の16乗ベクレル」は1.5京ベクレル、「7×10の17乗ベクレル」は70京ベクレルと書くべきです。小出氏は、多くの人に拡げようという意思が無いのでしょうか。


7.処理水の公聴会に意見を送るのが先ではなかったのか
 小出氏はフクイチ敷地内のタンク容量の限界を訴えて、「東京電力は放射能汚染水を海に流さざるを得なくなる」と、勝手に結論を出しています。この点は、8月30・31日の公聴会で、40人以上の市民が経産省に反論し、「敷地を広げてでもタンク保管を検討するように」要求しています。小委員会の委員長も「タンク保管を選択肢に加えるよう検討」する事を明言せざるを得なくなりました。
 公聴会の議論を全く考慮せずに「海に流さざるを得なくなる」と断言するのは乱暴です。そもそも、小出氏は公聴会に意見を送ったのでしょうか。村田氏宛に長文を送るリソースが有るなら、そのリソースは、公聴会への意見送付に向けるべきでしょう。小出氏は、放出に反対する努力を尽くさずに、海洋放出を黙認するつもりなのでしょうか。

 以上、小出氏への文章への指摘です。


事実を確認しないままの運動は、ネトウヨと同じ

 小出氏は脱原発を真面目に考えているのかも知れませんが、氏の意見は、「マスゴミ」報道を元にしたもので、一人称での調査や考察がありません。間違いが多い上に分かり難いのでは、脱・反原発運動の信頼を毀損するだけに終わるでしょう。
 私が東電や経産省の立場なら、この書簡には簡単に反論し、否定できます。「間違いや事実誤認が多い」事を説明すれば、小出氏や書簡の信頼性を貶めるには十分です。

 この文章を拡散している人達も、小出氏の間違いや不勉強を見抜けないのでしょう。これは取りも直さず、運動に関わっている人達の全体の不勉強の表れと言えます。

 事実を確認せず、「脱・原発」の方向性で一致している事だけを以て、誰かが書いたものや言ったことを拡散するのでは、「柏原発」「在日特権」「○○が知事になると沖縄が中国に占領される」という言葉や言説を拡散したネトウヨと変わりません。

 こんなことをしていては、政治や原発に無関心の多くの主権者からは、「政治的な言動の多い人は、どっちもどっちだ」「市民運動の人達って信用できない」「自己満足だから勝手にやらせとけ」と冷笑されるだけで、世論に訴えるどころか、逆効果でしょう。

 私が、公開資料に当たり、会議を傍聴しているのは、自分が知りたいという単純な欲求も有りますが、「事実を知らなければ、他人を説得する言葉は紡げない」からです。
 私が、ブログに載せる記事に出典へのリンクを張っているのもそういう事です。第三者が検証できる状態で書くからこそ、自分への縛りとなり、緊張感を持てます。

​​​​​​​​​​​​​

​広瀬氏や小出氏に見る、市民運動の抜け・洩れ・弱さ

 私は、小出氏の文章を読んで、昨年5月12日に拙ブログに書いた、「5月5日の金曜行動~希望のエリアで広瀬隆批判をスピーチ~」を思い出し、改めて読み返してみました。​記事へのリンク

 小出氏も広瀬氏も、伝え方に違いはありますが、事実と異なること(間違い)を堂々と言い放つという点では、「同類」です。誰でも調べられる公開資料を調べないのでは、お話しになりません。
 小出氏も広瀬氏も、3.11前から「反・原発」を訴えてきた人達ですが、3.11を経ても尚、自分のスタイルを変えていないのですね。

 3.11を経ても原発ゼロが実現できていない原因の一端は、市民運動のこのような弱さに有るのかも知れません。事実と異なることを発言する人が影響力を持ち、周りの人間もそれに気付かず、指摘せず、学習会や講演会の講師に呼んだり、その人が書いたものを拡散したりしています。

 市民個々人が一人称で勉強し、互いに出典を踏まえて情報や意見を交換する事が出来ていれば、広瀬氏や小出氏の間違いに気付く筈ですし、広瀬氏や小出氏のような人たちが「運動の界隈」で影響力を持つことも無いでしょう。
 これは、市民運動に大きな抜け・洩れが有ることの表れですし、その抜け・洩れは市民運動の弱さでも有ります。
 明らかに事実と異なることを発言したり拡散すれば、名誉棄損で訴えられる可能性も有ります。訴えられれば、その時点でゲームオーバーでしょう。原子力複合体に取り込まれているメデイアにここぞとばかりに叩かれ、運動の信用が毀損されるのは明白です。
 幸いにも、これまで、そのような事は起きていませんが、今後は分かりません。

 原子力複合体は資金と様々な権限と政治力を持ち、メデイアという拡声器も手中に収めています。それに対抗して「原発ゼロ」の声を広げようとするなら、「信用」しかないでしょう。信用できない人や運動に誰がカンパしますか。誰が集会に行きますか。


(当然の事ですが)市民運動にも品質を

 やり方の違いは人それぞれでしょうし、注ぎ込めるリソースも人それぞれでしょうから、それはそれで構わないでしょう。ですが、事実や情報を間違えてはいけません。検証できないものを拡散してはいけません。個人であれ、組織であれ、社会に関わることを対外的に発信するなら、「嘘つき」「信用できない」と思われたら終わりです。運動や世論を広げるどころか、逆効果です。

 私の眼には、原子力事業者のやっていることは「品質」が低いですが、市民運動の「品質」もそれほど褒められたものではないように見えます。
「原発ゼロ」とか「安倍辞めろ」と言っていれば、ある種の仲間意識に包まれ、内部で高揚し、思いを共有していれば良いという自己満足に陥ってはいないでしょうか?

 我々は国の主権者なのですから、日々の暮らしや将来に関わる事を調べ・検証し・考え、公僕たる官僚や国民の代表である政治家が役割を果たしているのかどうかチェックし、時には叱咤激励し、時には二人三脚で制度や法律を作ったり改めたりするのが、本来やるべき事です。党派的な口論や内輪で盛り上がるのは重要かも知れませんが、本質ではありません。

 小出氏の間違った文章が批判も無く拡散されているのを見て、私は、大いに疑問と不安を覚えました。
「仲間意識でやっているのではないのか?」
「批判の対象が一致していれば良しという考えなのか?」
「仲間意識を守り、批判する対象が一致していれば、中味は問わないのか?」

「中身は問わない」、又、「中身を問うだけの知識が無いけど、(知識が無いのは)仕方がない」という考えは危険であり、有害でも有ります。

内部の間違いを指摘できない人達が、外部に向かって間違いを指摘したところで、説得力があるでしょうか?

 運動は趣味ではありません。内部で盛り上がる為にやっているのではなく、外部に訴えかける為にやっているのです。そこを履き違えてはいけません。

 私は今後も、確認できる事実や情報を追いかけ、出来るだけ分かり易い形で提示していきます。同時に、同じ志を持っている人や団体であっても、「違うものは違う」と指摘していきます。

 思いがけず、長文になりました。最後まで読んで下さった方にお礼申し上げます。


​春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​

※10/5 誤字を修正。文言を一部追加(主旨は変えてません)。

※2019/05/29 リンクの一部を修正

※2019/9/12 リンクを修正






Last updated  2019.09.15 17:30:57
コメント(2) | コメントを書く


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


Re:運動の品質を低下させる、小出裕章氏の「ネトウヨ並み」の文章(10/02)   岡村隆 さん
春橋哲史様は批判と共に実はこの運動の質を向上させようと懸命に応援されているのですね。行間からそのお気持ちが伝わってきました。

原子力発電所問題に対するコメントは致しませんが(運動者ではないので)、チェルノブイリ以降、危機意識は感じております。

我々一市民には投票権はあっても発言権はないに等しいので、このような勇気と責任あるコメントはすがすがしく感じます。

掲載からだいぶ時間がたっての送信失礼しました。(たまたま今このサイトを見ましたもので。) (2020.07.05 16:28:03)

ご理解下さり、ありがとうございます   春橋哲史 さん
岡村隆さんへ

 長文の記事を読んで下さって、有難うございます。
 意図が伝わり、嬉しく思います。
(2020.07.05 17:53:19)


Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.