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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ事故は継続中)

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きのこ@ Re:19年4月第一週のフクイチの汚染水の貯留量・滞留量(04/09) 評価・見解ありがとうございます。 氷結温…
haruhasi@ 情報を有難うございます きのこさんへ  いつも拙ブログをお読み…
きのこ@ Re:19年4月第一週のフクイチの汚染水の貯留量・滞留量(04/09) いつも、精緻な情報をありがとうございま…
春橋哲史@ Re[1]:金曜行動「希望のエリア」で、主権者・国民の責任の重さをスピーチ(12/24) きのこさんへ  コメントを有難うございま…

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2019.09.04
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​​建屋滞留水の抜き取りは停滞気味だが、明るい面も

 フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)敷地内の汚染水の数字が公表されました。
 タンク内貯留水は約117万101tとなり、117万トンを突破しました。

 8月の水の動きを見ると、建屋のドライアップ(具体的な目標は、当記事の最下部のポンチ絵を参照)に向けて、進んでない訳ではありませんが、停滞している印象を受けます。建屋滞留水は5週間で約1100tしか減っていません。
 反面、タンク内貯留水の増加量は抑制されましたが、建屋からの水抜きが進まないのでは、汚染水対策の意味がないでしょう。

 一方で、ストロンチウム処理水(ALPS処理待ち水)は、8ヶ月間で約3万6千t減少していますから、貯留水のインベントリ(放射能量)は下がっています。
 9月2日に原子力規制委員会で開催された「第74回 特定原子力施設監視・評価検討会」では、4号機タービン建屋の滞留水除去が見えてきたとの報告がされました。3号機タービン建屋滞留水表面の油分は、8月28日に除去を完了したそうです。

 建屋からの水抜きは停滞気味ですが、着実に進んでいる部分もあるので、今後、新しい展開があるものと期待できます。


プロセス主建屋の地下で、毎時2.6シーベルトが観測される

 先の監視・評価検討会では、気になる報告がされました。
 プロセス主建屋・高温焼却炉建屋の最下階で、高線量が確認されたとのことです。
 プロセス主建屋の最高線量は毎時2.6シーベルト(福島第一の海抜-1.2mの部分)、高温焼却炉建屋の最高線量箇所は毎時828ミリシーベルト(同、-0.7m)です(詳細は下記資料の6・7頁を参照)。

(リンク)​建屋滞留水処理の進捗状況について​(第74回 監視・評価検討会の資料4)

 デブリ(溶融燃料)が落下している原子炉建屋でもないのに、プロセス主建屋最下階の毎時2.6シーベルト(「ミリシーベルト」ではありません)は、何が原因なのでしょう? 地下貯槽Dピットには、AREVAスラッジ(推定インベントリはストロンチウム90で約1.1京ベクレル)が貯蔵されていますが、それと関係あるのでしょうか?

 何れにしても、無人カメラ等の調査結果を待つしかありません。
 フクイチは調べれば調べるほど、難問が見つかります。こうしている間にも廃棄物は増え、作業員の被曝線量も累積していきます。
 とにかく、安全最優先で、リスク低減・除去を進めて欲しいものです。


タンク容量の計画値上限までの猶予を計算

 今回は8月末の数字ですので、過去1年間の増加量に基づいて、計画上の貯留容量上限に達するまでの猶予等を計算してみました。(下記の計算の数字は全て「約」)。

2019年8月末のタンク内貯留量:117万t
2020年末までの計画上の貯留容量上限:125万t
理論上の残り容量:8万t

過去1年間のタンク内汚染水増加量:6万5000t(117万t-110万5000t)
同・月間平均増加量:5400t

計画上の貯留容量上限125万tに達するまでの時間的猶予
 月間平均増加量を5000tと想定(8万t÷5000t):16ヶ月→ 2020年12月末

 同・6000tと想定(8万t÷6000t):13ヶ月→ 2020年9月末

 以上の計算は、過去1年の増加量に基づいたものなので、今後の増加量によって変動する可能性があります。あくまでも、目安としてご覧下さい。


フランジタンク解体に「レーザー除染」が本格導入

 東電のリリースによると、8月29日から、水抜きを終えたフランジタンク(ボルト締めタンク)の解体に「レーザー除染」が本格導入されたとのことです。

 従来は、フランジタンク側面の内側に塗料を塗布して、表面の放射性物質を固着させ、集塵機で吸い取っていたそうですが、この方法を用いると、「集塵機停止4日後には、空気中のダスト濃度が作業可能な基準値(1立方メートル当たり50ベクレル)を超える濃度まで上昇」「解体したフランジタンク片を裁断する等の後処理工程で、表面に固着していた放射性物質が拡散する」という問題があり、作業員の被曝線量増加や、後処理での二次汚染に繋がっていたそうです。

 これに対し、レーザー除染を用いると、フランジタンク内面に付着している放射性物質と金属面の防食塗装が融点を超えて蒸散するので、塗料塗布方式に比べて、遥かに多くの放射性物質を除去できます。
 この結果、集塵機を停止させても放射性物質の空気中の濃度は作業の基準値(1立方メートル当たり50ベクレル)を大幅に下回り、「日数が経過しても濃度は上昇せず」「後工程での二次汚染も低減できる」とのことです。

 レーザーの種類・集塵機の性能・発生するフィルタの数等、詳細は東電の資料をご覧下さい。

(リンク)​フランジタンク解体におけるダスト飛散抑制対策の選択肢追加​(6月29日、規制庁に提出)

(リンク)​福島第一原子力発電所における新技術「レーザー除染」によるフランジタンク解体時のダスト飛散抑制対策について​(7月1日リリース)

(リンク)​福島第一原子力発電所における新技術「レーザー除染」によるフランジタンク解体作業の本格運用開始について​(8月28日リリース)

注:作業管理基準値(5.0×10-5Bq/cm3未満)
  =5×0.00001=0.00005ベクレル/立方センチメートル未満
  立方メートルに換算→ 0.00005×100万立方センチメートル=50ベクレル/立方メートル未満

 塗料塗布方式に比べると、タンク一基当たりの解体日数は長くなるそうですが、作業員の被曝・後処理工程での廃棄物の濃度が低くなるなら、そちらを優先すべきです。作業安全と廃棄物の削減が最優先でしょう。

 以下、関係のポンチ絵・グラフを掲載します。 

 当ブログのポンチ絵やグラフはクリックすると拡大します。無断転載・引用はご遠慮下さい。​​​
 グラフ・表・ポンチ絵はB5サイズ以上のタブレット・PCでご覧頂くことを前提に作成していることをお断りしておきます。
 見難い場合には、ワード・ペイントに張り付けてご覧下さい(Windowsの場合)。


福島第一原発の構内図と周辺監視区域の線量
 
ポンチ絵の水色部分(数字とアルファベットでエリア分け)がタンクエリア



2019年8月29日時点の福島第一原発の汚染水の貯留量・滞留量​​​​​​​

​​
(リンク)​元データ→ ​​​​​​​​​福島第一原子力発電所における高濃度の放射性物質を含むたまり水の貯蔵及び処理の状況について(第416報)​​​​​​​​​​​​​​/PDFファイル3頁右上の「RO処理水(淡水)」「濃縮廃液」「処理水」「サンプル水」「Sr処理水等」「濃縮塩水」の5項目から計算。

タンク内貯留総量:約117万t​​​​(撤去予定タンク底部の残水・移送中の水・タンク底部の水は、計測不可の為、含めず/RO濃縮水は過去の処理量に基づく計算値)

​タンク運用上限値:約127万1千t容量​
(RO濃縮水・Sr処理水・ALPS処理水が残っているフランジ[ボルト締め]タンクは、撤去・解体予定。当ブログでは運用数値に含めず)
​​​​

 ​タンク理論上空き容量:約10万1千t容量​
​(バッファタンク等、貯留容量として見込めない分も含む。公開情報から、実質空き容量を正確に読み取るのは困難)​

建屋滞留水:​​​約3万1千t​(原子炉建屋+タービン建屋[1号機除く]+プロセス建屋+高温焼却炉建屋/水位計の計測等に基づく計算値)

 タンク貯留容量計画値上限まで
 :約8万t容量
(2020年までの計画容量上限125万t-タンク内貯留量117万t)


(リンク)数字・注記の出典

●​​エリア別タンク一覧​(8月22日時点)​

●​​タンク建設計画進捗・日々の水処理に必要な約2.5万t​(8月29日公表)

●​リスク対応分9万t容量​(2018年5月18日の資料/PDF最終頁の「別紙」)

●​5・6号建屋滞留水(6月下旬)

●​1号タービン建屋地下階の線量(2017年3月末の保安検査官レポート)

●​5・6号滞留水の浄化散水

●​2018年度の「5・6号滞留水」「タンク外周堰内雨水」の散水量と放射能量​(平成30年度放射線業務従事者線量等報告書)

●​タンク内の硫化水素発生とその後の点検計画​(2019年4月25日公表)

●​建屋滞留水の2018年度末の推定インベントリ​(2頁)

●​HIC内スラリーの2018年5月の推定インベントリとHICの保管場所​(2頁)

●​2018年3月時点のトリチウムの推定インベントリ​(公聴会資料・5頁)

●​建屋開口部の閉塞の計画と進捗​(2019年2月)

タンク外周堰



ALPS補足資料1


ALPS補足資料2





資料1-1 汚染水対策・3つの基本方針



資料1-2 汚染水対策・俯瞰図



資料1-3 汲み上げ水の排水基準



春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​​​​​​​​​​






Last updated  2019.09.17 20:00:14
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