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カテゴリ:福島第一原発
以前から抱いていた疑問
現在、フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)で廃炉・汚染水対策を実施しているのは、東京電力HD(ホールディングス)内の「福島第一廃炉推進カンパニー」です(2014年4月設立)。 (リンク)東京電力HD・組織図 私は以前から、以下の理由から、フクイチの対処を東京電力HDに任せるのは無理があると思っていました。 ●廃炉・汚染水対策は「リスク低減・リスク除去」を目的としたものであり、収益が上げられるものではなく、営利企業の目的とは相容れない。 ●総コストや期間が見積もれない。 ●廃炉・汚染水対策の費用の大半は東電HDが負担している。国として、やめることが出来ない作業である以上、全国民で等しく負担し、又、支出の在り方を監視する為にも、国費投入すべきではないか。 ●発災以前からの多重請負構造のままであり、雇用等に東電が責任を負っている社員は総人員の1割程度に過ぎない。 現に、東電が公表・認めているだけでも、発災以来のフクイチの作業員の死者は20人に上っていますが、その内18人は協力企業の従業員です。 又、国の仕組みとも関連しますが、生涯の放射線管理に関する制度が無い為、例え東電の社員であっても、退職後の健康管理は自己責任になっています。 これらの件は以前から気になっており、フクイチ過労死訴訟の原告から色々とお話を聞く内に、「抜本的な解決策」を形にする必要性を強く感じました。 実現可能性はともかく、考えたのが、下記の案です。 公社化と国の関与の明確化に関するスキーム(枠組み)・案 考え方の骨子は次の通りです。 ★福島第一廃炉公社(仮称/以下、「廃炉公社」)を新設し、フクイチで働く人達全員を、公務員・又は見做し公務員とする。 ★廃炉公社の役員は、国会の承認を得た上で内閣総理大臣(原子力災害対策本部長)が任命する。 ★廃炉公社の予算についても前項と同様とする。 ★国会に「福島第一原発事故究明・対策委員会」(仮称/以下、「究明・対策委員会」)を設置する。 ★経産省が実施している「廃炉に関する中長期ロードマップ」の作成等は、究明・対策委員会が設置する専門家委員会に移管する。 ★「特定原子力施設」の指定は継続し、原子力規制委員会は審査・検査を行う。 ★全ての会議体の議論は全面公開とする。 個別のやり方について。 ●協力企業の従業員が廃炉公社に横滑りする場合、元々の雇用主には転籍料を支払う。 ●廃炉公社では多重請負は法的に禁止し、派遣社員や出向者を必要とする場合も、指揮命令の権限と責任は廃炉公社が持つものとする。 ●廃炉公社で現場作業に携わる方々には専用の「被曝・健康管理手帳」のようなものを交付し、健康診断や医療費を生涯に渡って低廉で受けられるような措置を講ずる。 ●究明・対策委員会は通年開催とし、熟議と効率的な議論を両立させる為、衆参とも、1会派当たり正副1名ずつを委員とする(小会派に関しては1名でも認める)。落選・引退まで、原則として交代しない。 ●究明・対策委員会は党派的な運営は禁止(例:参考人招致が特定の会派の反対で実施できないようなことがあってはならない)。 ●究明・対策委員会の元には、国会の予算で事務局を設置し、パブコメ・公聴会の実施、匿名での通報の受付等を行う。 ●事故究明委員会や長期対策委員会の委員は、国会事故調方式で任命する。 ●廃炉公社の予算は、年間2000億円程度と想定される。福祉・教育予算に影響を与えない範囲で予算を組み替えて捻出(例:政党助成金の廃止、国会議員の給与の削減、等)。 ●原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)に、本部長代理の資格を持つ補佐官をつけ、内閣総理大臣が参加できない場合には、補佐官が各会議体に参加し、発言できるものとする。 ●「廃炉に関する中長期ロードマップ」は、長期対策委員会が作成した案を、パブコメ・公聴会を経て、究明・対策委員会が審議し、本会議で議決する。廃炉公社は、そのロードマップに基づいて、実施計画を策定する。 ●全ての会議体は傍聴可能とし、生中継でネット動画も配信する。ノーカット動画はアーカイブとして残し、議事録は英語版も作成。 ●公社の設置、究明・対策委員会設置等、所要の変更は新法の制定や改正によって対応する。従来の枠組みや慣例に捉われず、関係者全員が「世界最大の核災害に対処し、原因を究明する」という認識を共有すべき。 公社化と国の関与の明確化に関するスキーム・案以上が、粗々ではありますが、私の考えるフクイチ対処に関するスキーム案です。 ●で記載した個別のやり方関しては、色々と検討の余地は有りますが、★の骨子はポンチ絵に落とし込めていると思います。 あくまでも、現時点での案ですので、骨子さえ維持できるのなら、ポンチ絵でまとめたものにこだわるものではありません。 当ブログのポンチ絵やグラフはクリックすると拡大します。無断転載・引用はご遠慮下さい。 グラフ・表・ポンチ絵はB5サイズ以上のタブレット・PCでご覧頂くことを前提に作成していることをお断りしておきます。 見難い場合には、ワード・ペイントに張り付けてご覧下さい(Windowsの場合)。 参考までに、現在の、フクイチに対処するスキームと費用負担です。 全体のスキーム 政府(経済産業省)内の役割分担 2019年度分までで判明している国民負担 春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.12.05 18:58:12
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