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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ核災害は継続中)

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きなこ@ Re:フクイチの汚染水(処理水)放出までの経緯 2012年11月~23年8月(10/13) 詳しい経緯のまとめ、ありがとうございま…
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2020.10.19
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​​ フクイチ(東京電力・福島第一原子力発電所)の汚染水の扱いに関する考察の「後編」(笑)です。
「前編」に相当する拙記事は下記。

(リンク)
●​フクイチでのタンク増設の余地を探る​(20年10月18日)

 最近、多くの報道機関が「政府は10月下旬にも、福島第一原発のALPS処理水について、海洋排水の方針を決定する見込み」である旨を報じています。
 これらの報道は、情報源が「関係者」とされていて、正式発表ではないので、私は、世論の反応を見る「アドバルーン」の可能性も有ると見ています。


3つの選択肢

 とは言え、フクイチのタンク容量が、現行のタンク計画では物理的限界に近付いているのは間違いありませんから、「環境中への放出」か「貯留継続」かはともかく、準備に要する期間を考慮すると、何らかの決定を下すギリギリの時期に差し掛かっているのは間違いないでしょう。

 そこで、タンク容量と実施時期を軸に、現時点で政府・東電が取り得るであろう選択肢を考察してみます。
 尚、現在のタンクエリアで、溶接タンクが数万t単位の容量で増設可能であることは、上記にリンクを貼った拙記事で書いています。


1.22年度上期から希釈排水(タンク増設せず)
:タンクは現行の計画(20年末時点で約137.2万t容量)を上限とし、希釈排水を22年度上期に開始。

2.決定を先送り(6万t容量前後のタンクを増設)
:現時点では決定を下さず(「更なる検討を加える必要が有る」とか、理由は何とでも付けられる)、フクイチの敷地内に5~6万t単位でタンクを増設する。現在のタンク内貯留水の増加量は月間5500t程度なので、6万t容量を増設すれば、物理的限界と思われる時期を23年秋~冬に先送りできる。

3.22年度下期以降に希釈排水(タンクを2~3万t容量程度、増設)
:1と2を足して割ったようなもの。希釈排水の準備とタンク増設を並行して進める。物理的限界の時期を半年程度延ばすことで、排水開始時期も先送りする。

 現時点では、上記3つの選択肢が現実的に取り得るものだと思います。

 4番目として「地上保管を継続する」決定も有り得ますが、それは、政府・東電が国内外の世論(パブリック・プレッシャー)に追い詰められた場合にのみ選ばれるものでしょう。現時点で、政府・東電がそこまで追い込まれているとは思えません。

 私から見ると、「最悪の決定」が1、「最悪の手前」が3、「現時点で相対的に最善に近いもの」が2、になります。

 政府の立場からすれば、「世論の鎮静化を図る」時間稼ぎをするなら、3でしょうか。
 2を選択すれば、「もっとタンクを作れるのではないか」との声が高まることも考えられますし、1年後に改めて希釈排水を決定しようとして、今以上に揉めることも考えられます(「揉める」とは、政府からの視点)。「逃げを打つ」ことだけを目的にするなら、最善の策かも知れません。

 最も強硬な策が1でしょう。国内外への説明や、予算的な措置も含めて、実質1年半以内には準備を整えなければならず、設備面でもハードルが高いでしょうフクイチの現場への負担も増えることが考えられます(尤も、政府や東電のお偉いさん達には、現場で働く人のことは眼中にないと思いますが)。


1・3を選べば、どうなるか~世界史としての福島第一原発事故~

 1・3は、実施時期の違いは有れども、「環境中への希釈排水」がゴールになります。
 恐らく、政府がこの方針案を示した途端に、フクイチの汚染水の扱いは「国内マター」から「国際マター」になるでしょう。

 政府や、その提灯持ちの政治家・有識者は、「国内の消費者への説明」「漁業関係者への風評対策」を打てば良いと思っているかも知れませんが、海洋放出については、韓国・ロシア・中国・チリが反対、又は懸念を表明しており、台湾(中華民国)の複数の環境保護団体も、連名で経産省にパブコメを提出しています。

 現在、表立って反対を表明しているのは韓国だけですが、私には、ロシア・中国といった大国が沈黙しているのが不気味です。特にロシアは、一度は外務省の報道官が明確に放出反対を表明しているにも関わらず、その後は沈黙したままです。

 アニメ映画「機動警察パトレイバー2」に「国家に真の友人はいない」というセリフが有りましたが、このセリフの通りでしょう。政府として海洋放出案を示した途端に、外交カードとして利用される可能性が大です。放射性廃棄物を数十年に渡って放出され続けるということは、周辺諸国にとって何の利点も無いことなのですから、日本の「弱み」になるのは確実です
 諸外国政府だけではなく、世界の団体・個人も懸念の声を上げるのは必至と思われます。

 政府やその関係者は、国内向けには、記者クラブという閉鎖された空間でレクを繰り返したり、「パンケーキをご馳走するような」懐柔策を講じるかも知れません。国内向けにはともかく、世界中の国の政府や国際世論には通用する筈がありません。

 国内では、市民運動も含めて「福島の声を」「漁業関係者の声を」と言った報道や発信が大半を占めていますが、最早、発災直後ではありません。色々と情報や事情も整理できています。
 今、問われているのは、「核災害で発生した放射性廃棄物を、意図的且つ大量に環境中に放出して良いのか」ということです。

 報道も、運動も、東電や政府も、「福島」という狭い地域に捉われるのではなく、それも包摂しつつ「世界史としての福島第一原発事故」という視点を持つべきでしょう。

「世界の視点」以外にも、私が環境中への放出に反対する理由は有りますが、それをクドクドと繰り返す煩は避けます。具体策も含めて、月刊「政経東北」に掲載した拙記事をご覧下さい。私は、あくまでも、「地上保管継続」を求めます。

(リンク)
●​「処理水」はタンク貯留を継続すべき​(「政経東北・20年4月号」)

●​汚染水「タンク用地確保」の具体策​(同・5月号)

 今後とも、この国の主権者との一人として、これまで同様、フクイチを追いかけていきます。


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​ ​​​​​





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Last updated  2020.10.19 11:42:36
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