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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ核災害は継続中)

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haruhasi@ ややこしい記事を読んで下さり、有難うございます きなこ様  度々、コメントを頂戴して有…
きなこ@ Re:フクイチの汚染水(処理水)放出までの経緯 2012年11月~23年8月(10/13) 詳しい経緯のまとめ、ありがとうございま…
春橋哲史@ 提出、お疲れ様です 押田様  コメントを有難うございます。 …
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●​「その1」​から続く

 施設見学会の様子の続きです。写真の無断転載・引用はお控え下さい。

挨拶の後、楢葉へ

 常磐線・広野駅の東側広場に止まっていたバスには、他の参加の皆さんが次々と乗ってこられ、予定通り、10時53分に出発しました。

 日本原子力研究開発機構(原研機構)の担当者は、N次長とS副主幹の2名で、バスが出発する際、次長から挨拶が有りました。内容としては、

・ご支援を有難うございます。
・真水の研究費の確保が厳しい状況で、企業様や個人様からの寄付は貴重です。
・寄付によって実施できた研究やプロジェクトも有り、それらを成果として公表することで、助成金の確保や新たなご寄付にも繋がります。
・今後ともご支援を宜しくお願いします。

 というものでした。

 当日の予定も改めて説明されました。
 事前に案内されていたもの(楢葉遠隔技術開発センター→東電廃炉資料館→東電福島第一原子力発電所→いわき駅で解散)と変わりませんでした。

 出発したバスは、遠隔技術センターが立地している楢葉工業団地に向かいました。
 写真には撮れませんでしたが、福島第二原発の原子力規制事務所兼オフサイトセンターも、この工業団地の中にあり、建物の表示が見えました。

 楢葉遠隔技術開発センターには、11時4分に到着しました。

 ↓ 正面玄関の前で、バスの窓から撮影



 センターの職員が待機していて、検温とアルコール消毒の後に入館しました。
 入館の際、副主幹の方が「検温はバスに乗車する際に済ませた」と言っていましたが、センターの職員は「建物の規則なので、入館の際にも必要です」と説明していました。
 同じ原研機構の人なのに、建物のルールが伝わっていなかったようです。

 11時7分にセンターの研究管理棟に入館し、展示室に通されました。
 テーブル一つに1人が着席し(離隔距離の確保でしょう)、施設紹介のビデオが上映され(11時10~17分)、石原正博センター長の挨拶が有りました。

 このセンターは略称が「NARREC(ナレック)」なので、今後は当ブログでも「NARREC」と記載します。

(リンク/NARRECのWebサイト)
●​トップページ(下にスクロールすると、見学会の際に上映された動画が有ります)


​VR室で原子炉建屋内を「歩く」

 石原所長の挨拶の後、研究管理棟2階のVR室に案内されました。
 ここでは、3D眼鏡を装着して、実物大の立体映像で再現されたフクイチの原子炉内を歩きました。多少酔っぱらったような感じがしました。

(リンク)
●​VR室

 投射された立体映像や表示される空間線量は、原子炉建屋内に投入された無人ロボットが記録したものを元にしていて、壁の亀裂や汚れ具合・色合いなども再現しているそうです。
 線量が余りにも高いなど、ロボットを送り込む事すら危険と思われる箇所の立体映像は、設計図を元にしているとのことでした。
 ドーナツ状のサプレッションチェンバー(S/C)を実物大で観たのは初めてで、大きさには多少、驚かされました。
 壁を通り抜ける移動が出来るのも、立体映像ならではですね(笑)

 上記のリンクにある写真で分かるように、フクイチの原子炉建屋内の立体映像の画面右上には、3つの数字が表示されていました。
 上から、建屋に入ってからの経過時間・その場の雰囲気線量・累積被曝線量です。
 これらを把握することで、被曝線量を極力低くする行動計画を立案できるとのこと。
 又、通路や手摺の幅も忠実に再現されているので、レーザーポインターのようなもので場所を指定すると、「目の前に見えてきた階段の幅は○○m」ということも瞬時に分かります。建屋内に資機材を持ち込む際、資機材の寸法と照らし合わせて「この資機材は、ここで壁に引っ掛かる」とか、「この階段を下ろすのは無理」というようなことも事前に把握できます。

 線量が高い建屋内に何度も入ったり、時間を無駄には出来ませんから、こうして、事前に何度もシミュレーションや訓練を繰り返す必要が有ります。

 実際に3D眼鏡をかけて、立体映像の中を歩き回り、映像右上の空間線量・累積被曝線量の数値を見ていると、NARRECのような施設の必要性や、事故を起こした核施設の後始末の困難さが、身体で理解できるような気がしました。頭で理解するのとは別の感覚です。


試験棟

 11時40分過ぎにVR室を出て、研究管理棟から試験棟に向かいました。
 施設の職員さんを先頭に駐車場を横切って行ったのですが、風が強かったです。長時間外にいるのは厳しいくらいの寒さでした(寒さを別にすれば、青空で良い晴天でした)。

 全員がヘルメットを装着して、11時45分に試験棟に入りました。
 高さ40mの試験棟は巨大な体育館のようでした。
 ここでは、モーションキャプチャ・モックアップ階段・試験用水槽・フクイチ2号原子炉格納容器のモックアップが紹介されました。

(リンク)
●​試験棟

●​モーションキャプチャ

●​モックアップ階段

●​ロボット試験用水槽

●​フクイチ2号原子炉格納容器のモックアップ​(経産省のサイト)

 モーションキャプチャエリアは、主としてドローンの動作確認・撮影を行うところで、周囲に16台のカメラが設置されているとのこと。1秒で2000コマ撮影できるそうです。
 これらのカメラで撮影したデータを元にドローンの動きを立体映像にして、操縦者の訓練を行います。
 この試験棟でドローンの基本的な動作確認や操縦性確認を実施した後、多くの場合、南相馬市のロボットテストフィールドに持っていき、屋外での動作確認・訓練を行うとのこと。
 税金の遣い方の賛否はともかくとして、技術的に筋は通っているとは思いました。新開発のドローンの動作確認・訓練を、いきなり屋外で実施する訳にもいかないでしょう。
 又、立体映像を作成して操縦訓練を行うのも、実機が破損する可能性を極力低くする取り組みとしては合理的でしょう。

 11時53分から、モックアップ階段でのロボットの昇降デモが行われました。キャタピラ付きのロボットが、まるで自力で階段を上っているようでした。小動物が一生懸命動いているようで、可愛い感じでした(笑) ロボットにはカメラがついていて、操縦者が、遠隔で映像を確認できるようになっていました。
 昇降デモに用いたロボットも、最初から開発できたのではなく、試行錯誤の結果だそうです。

 11時55分から、ロボット試験用水槽の説明でした。水深5mだそうで、このプールを使って、水中を自律航行できるロボットを開発したとのこと。
 フクイチのプロセス建屋・高温焼却炉建屋の地下階には、滞留水の底に高濃度のゼオライトや活性炭の土嚢が沈んでいます。土嚢の堆積状況の調査を行った水中ロボットも、この試験水槽で実験したそうです。このような説明を聞くと、フクイチのリスク把握に関してロボットの果たす役割の大きさが分かります。

 11時58分には2号原子炉格納容器のモックアップを前に、「取り出し装置の検証や訓練をここで行う」旨の説明を受けました。
 尚、試験的取り出し装置は、1月31日に神戸からNARRECに到着しています。

(リンク)
●​2号機燃料デブリ試験的取り出し装置の楢葉遠隔技術開発センター到着について​(東電の資料)

 ヘルメットを外して試験棟を出たのは、12時1分でした。

 研究開発棟の展示室に戻った後、簡単な質疑応答が有りました(私は質問しませんでした)。印象に残っているのは、「放射性物質を扱った実験や動作確認していないのか」というものでした。地元との約束で、NARRECには放射性物質は持ち込まず、全てコールド試験(放射性物質を扱うことを想定した機器であっても、放射性物質を用いない動作確認・検証にとどめる)と決められているそうです。

 そこから先は昼食休憩で、1000円を払って昼食の弁当とお茶を受け取りました。

 ↓ 昼のお弁当






 昼食を摂りつつ、渡されたパンフ等を読んでいましたが、「実際に見ることができた」のは得難い体験でした。
 読んだり、聞いたり、写真や動画で観るのは、間接的な知識です。実際に見るのとはやはり違います。

 それに、ロボットだとか実物大の立体映像は、普段の生活ではなかなか体験できません。そういう意味では、核災害の加害責任云々を別にすれば、とても興味深かったです。プラモデルとかラジコンが好きな人なら、夢中になるかも知れませんね。

 昼食後は、展示室内のポスターや広告、カタログ・機器の模型などを見ました。

 試験棟もVR室も撮影禁止でした。展示室は撮影禁止ではなかったのですが、個人で初めて参加した見学会ですから、目立つようなことをするのもどうかと思い、展示物の撮影も控えました。

 バスは「13時出発」と言われていました。他の皆さんと一緒に、5分前には展示室を出てバスに向かいました。

「その3」​に続く


春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)





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Last updated  2023.03.30 20:53:43
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