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元SF小説家・春橋哲史のブログ(フクイチ核災害は継続中)

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haruhasi@ ややこしい記事を読んで下さり、有難うございます きなこ様  度々、コメントを頂戴して有…
きなこ@ Re:フクイチの汚染水(処理水)放出までの経緯 2012年11月~23年8月(10/13) 詳しい経緯のまとめ、ありがとうございま…
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春橋哲史@ 提出、お疲れ様です 押田様  コメントを有難うございます。 …

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2023.06.02
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※6/2 過去記事のデータを最新のものに入れ替え、リンクを修正の上、文章を改めて再アップしました。​

放射性液体廃棄物の放出は「市場構造の変化」という被害を深化・拡大させる

 政府・東京電力は、フクイチ(福島第一原子力発電所)のタンク内に増え続ける「処理水」(ALPSで一度でも処理した、相対的に低濃度の放射性液体廃棄物)を、海洋へ希釈放出する準備を進めています。

 私は「核災害に伴って生じている放射性液体廃棄物の、意図的な環境中への放出」には反対の立場です。
 このことは拙ブログでも繰り返し言及しており、昨年9月7日に、個人として経産省へも申し入れています。

(リンク)
​​●​​​フクイチの汚染水等に関する、経産省への申し入れと回答 ​(22年10月17日)

●​フクイチの汚染水に関する私見~増加抑制策・タンク用地確保・性状分析~​(23年5月30日)


 当記事は、フクイチ核災害によって、福島県で「市場構造の変化」「ブランド価値の毀損」という被害が発生している現状を最新の統計に基づいてまとめ、私見を書いたものです。

 下に2つのグラフを掲載します。
 フクイチ核災害で、福島県の農林漁業・観光がどれだけの打撃を受けたのか、市場構造がどれだけ変化したのか、把握できると思います。核災害が一度起こると、如何に税金を投入しようが、如何に官製報道で安全をアピールしようが、このようになるのです。
 尚、2020年以降の観光客入込数(グラフ2)が減少しているのは、新型コロナウィルス感染防止策に伴う行動制限の関係だと思われます。

 当ブログのポンチ絵やグラフはクリックすると拡大します。無断転載・引用はご遠慮下さい。​​​
 グラフはB5サイズ以上のタブレット・PCでの閲覧を前提に作成していることをお断りしておきます。

​​ 見難い場合には、ワード・ペイントに張り付けてご覧下さい(Windowsの場合)。

グラフ1 福島県の農林漁業・年間産出額推移(2010~21年度)



グラフ2 福島県の観光客入込(いりこみ)数(2010~21年度)


(出典リンク)
●​​​ふくしま復興のあゆみ​​​(32版/23年3月)

​​​​福島県観光客入込状況 令和3年分(23年4月に一部修正)


第4回ALPS小委での説明・質疑~水俣の前例~

 公害に伴う「市場構造の変化」「ブランド価値の毀損」については、水俣病の前例が有ります。水俣で獲れた魚は、未だに全国流通していません。
 この件は、第4回「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」(2017年4月21日/通称「ALPS小委」)で、濱田武士・北海学園大学教授(経済学部)がプレゼンテーションで紹介しています。

 議事録と関係資料にリンクを貼っておきます。​


====引用①(濱田教授のプレゼン/水俣に関する部分)====

(前略)
 熊本の水俣にも調査に行きまし たが、月に1回朝市とか開催されて、狭い範囲では地魚が問題なく流通しております。危なかった海域も埋め立てされたりしていますので、既に危なくないということは、地元では知られており、魚を消費するということに対して地元の人は抵抗感はありません。

 ただ、現在もカサゴとササノハベラという魚のモニタリング調査が行われておりまして、微量な水銀が確認されるということもあって、そういったニュースがたまに出ると、漁業者のほうも心痛むということもありますし、風評が発生するんじゃないかというおそれを持っておられるということでございます。  
 50年も過ぎたんですが、今でも魚への水銀の懸念が払拭したと言えないという状況でございま す。

====引用①、ここまで====

(リンク)
●​濱田教授のプレゼン資料

●​水俣湾の埋め立てと環境回復の取り組み

●​第4回小委員会・議事録

 この第4回委員会では、「市場構造の変化」「ブランド価値の毀損」「消費者心理の変化」について、突っ込んだ質疑・説明が行われています。
 重要なので、引用・紹介します。
 読み易さの為に、適宜、平仮名を漢字にし、改行しています。


第4回ALPS小委での説明・質疑~影響が生じるのは不可避~

 濱田教授のプレゼンテーション部分です。

====引用②(濱田教授のプレゼン)====

(前略)
 ALPS処理水の希釈後に仮に海洋放出した場合の私見について、お話しさせていただきます。
(中略)

  もし、ALPS処理水希釈後に放水するということを進めることになれば、太平洋側の全漁業者を説得する必要があろうかと思います。当然、漁業者だけではなくて卸業界、小売業界、もっと言えば国民に対しても説得が必要であろうかと思います。こういった説得がなければ、叩かれるのは恐らく漁業者になります。地下水バイパスとかサブドレンのときも、福島の漁業者が了承したことで放水が行われたということで、これに対する批判が非常に強かったということがございました。
 そのことを踏まえると、やはり説得の範囲は影響する全範囲だという風に思います。
 当然、そうすると説得に膨大な時間とコストがかかろうかと思います。
 もし放水となれば、今、福島では穏やかに販路回復しているわけですが、こういった状況から一転して、また買い控えモードに変わっていくんじゃないかとも思います。
(中略)

 それは当然福島だけに及ぶものではなく、全国にそういうものが波及して賠償発生の可能性もあるんじゃないかという風に思います。
 それと、流通の原理からいえば、こういった事態がもし起これば、物を買い叩く材料を与えることになります。福島産という産地銘柄は、他産地と劣後している状況が、恐らく固定化されます。
(中略)
 よりアウトレット化、傷物扱い的な産地扱いがされるんじゃないかという懸念がございます。

 それと、海外・輸出に与えるインパクトということです。非関税障壁の材料にされるという可能性があります。
(中略)

 海外にも非常に敏感な、過激な消費者団体がおります。その団体の運動で、要するに例え輸出できても海外での買い控えみたいなものも考えられるわけであります。

 リスクコミュニケーションで何とか買い控えは払拭できないかということでございます。
 それは恐らく無理だという風に思います。魚は科学的に大丈夫だとしても、1Fの過酷事故と海洋汚染の事実は消えないわけで、そこから連想して危ないものは買いたくないという風に考える人が一定程度いるというのは、これは否定できないと思います。
 そういった心閉ざされた人には何を言っても通じませんし、通じないからといって無視するというのは社会的コミュニケーションではないということになります。少なくともリスクコミュニケーションによる買い控えの払拭は無理であろうという風に思います。あくまで私の見方です。

 最後ですけれども、漁業は獲る人だけでなく、魚を流通させ、食べる人が連なって成り立っています。食べる人たちは当然自由に物を選んで買っている訳であって、当然少しでも不安のある消費者、或いは流通業者は、リスクを低い方、できればゼロリスクだと判断できるものを選ぶ訳でございます。

====引用②、ここまで====


第4回小委員会での説明・質疑~商品を選ぶのは消費者~

 続いて、プレゼン後の質疑応答から、2つ、ご紹介します。
 先ず、「商品の購入を決定する権利は誰に有るのか」という点。

====引用③(質疑応答での濱田教授の回答)====

(前略)
 産地表示が必要のない、例えば、総菜化したりすれば表示は必要がない一方で、スーパーの生鮮品売り場に行けば必ず産地表示が必要になります。
(中略)
 スーパーはセルフで買い物をする場所ですから、説明して売るところじゃございません(中略)、スーパーは消費者より先回りして物を判断して仕入れるところなので、消費者が理解しているかどうかということが担保されていなければ、当然売れないものなんというのは仕入れないわけでございます。
(中略)
 テクニカルな意味で、流通業界を政府がコントロールするというのは相当無理だと思います、社会主義経済でない限りですね。自由経済では、商品を選ぶ選択は消費者や流通業者にありますので、当然だと思います。

====引用③、ここまで====


第4回小委員会での説明・質疑~生き物としての反応~

 続いて、消費者の心理面です。

====引用④(質疑応答での濱田教授の回答)====

(前略)
 必ずしも科学的に大丈夫だと言っても、頭で理解できても科学者でもないから本当に大丈夫だと確信できるわけじゃない訳ですね。(中略)頭で理解できてもですね。
 基本的に一度、高濃度に汚染されたものは、もうイメージが悪いと。そういうことだと思います。
 例えば不動産で新しい部屋を決めるときに、その部屋で殺人事件があったら、科学的に大丈夫でもそこに住みたくないのと同じだと思うんですよね。
 1回床に落ちた食べ物を科学的に大丈夫だといっても食べたくないというのと同じで、それは人間としてそういう反応するのは、生き物として普通だと思うんですよ、人間として。
 そういう感覚でやっぱり受け入れられないというこ
とが、まずあると。
(後略)

====引用④、ここまで====


経産省は、全てを承知して進めている筈

​ 私は、第4回・ALPS小委を傍聴して大いに勉強させて貰いました。濱田教授のプレゼンテーションと、その後の質疑応答は分かり易かったです。

 核災害に伴う「市場構造の変化」「ブランド価値の毀損」「消費者心理の変化」は、先に引用・紹介した部分で不足なく説明されていると思います(より詳細に知りたい方は議事録の全文をお読み下さい)。

 経産省の事務局や、会議に同席していた福島県の担当者から、濱田教授の説明に質問や反論は有りませんでした。濱田教授の見解や説明に異論は無いのでしょう。
 政府は、それでも「環境中への放出」を打ち出したのです。経産省は、「風評被害」という言葉が実態を表しておらず、実際は「核災害による市場構造の変化」、又は「核災害による消費者の心理の変化」であることが分かっている筈です。消費者が選択の自由を行使するのが、犯罪や社会悪でもないことも同様です。
 それらを分かっていながら、「風評被害」という言葉を敢えて用い、市場構造の変化を深化・固定化させかねない「環境中への放出」という方針を打ち出してきた経産省の姿勢は、発災の責任追及と合わせて、二重の意味で許せません。


自らの責任でない被害

 2つのグラフでも明らかなように、農林水産業の産出額は減り、浜通りを中心に観光客も減少しました。一次産業や観光業の側から見れば、自らの責任でないのに、お客さんが減り、収入が減っているのです。しかも、その「構造の変化」が固定化しているのです。
 これが、核災害が生じた後の現実の被害です。まさに「市場構造の変化」であり、「ブランド価値の毀損」です。それを直視するなら、加害企業である東電や、「全体への奉仕者(=公僕)」である公務員が、その被害をより固定させたり拡大させる選択肢を採用するのは有り得ませんし、許してはなりません。

「市場構造の変化」「ブランド価値の毀損」は、核災害による被害であり、観光業や農林水産業に携わっている方の責任ではないのです。自らの責任でないことの被害を受け続ける理由は有りません。
 増してや、その被害を更に深化・固定化させかねない行為を、加害者が実施しようとしているのです。人の道としても、「核災害に伴って生じている放射性液体廃棄物の、意図的な環境中への放出」は有り得ません。


春橋哲史
(ツイッターアカウント:haruhasiSF)​​​​​​​​​ ​​​






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Last updated  2023.09.06 01:35:04
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Re:「風評被害」ではなく、「市場構造の変化」という実害(06/02)   八巻俊憲 さん
これまで、「風評被害」に対する適当な解説や解釈を見たことがありませんでした。政府寄りの学者によって「風評加害」などという空理が跋扈する中で、春橋さんの「核災害に伴う「市場構造の変化」「ブランド価値の毀損」「消費者心理の変化」」という表現はまさに卓見と膝を打つ思いでした。
ご高説についてぜひ参考に致したく、私の参加する原子力市民委員会にも紹介させて頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。 (2023.09.06 01:01:23)

愚見ですが   haruhasi さん
八巻俊憲様

 コメント投稿を有難うございます。
 丁寧に読んで下さったようで、感謝です。
 紹介、恐縮です。愚見ですが、役に立つならお使い下さい。
 今後とも、取り組んでいきます。
 
(2023.09.07 07:57:07)


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