環境省の「除去土壌の再利用」に関する省令案に、パブコメを提出
※2023/3/12追記 本件パブコメの募集期間:2020年1月8日~2月6日(環境省) 提出意見:2854件(リンク)結果公表・資料/2020年3月27日 環境省は本件省令案・告示案は制定せず、引き続き検討することとした※ツイッターで質問を受けた関係で、2020/2/7午後に、施行規則と指定廃棄物に関する環境省の説明へのリンクを追加した上で、記事に追記しました。環境省が実施している、省令案・告示案へのパブリックコメント 環境省では「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(案)」及び「環境大臣が定める者の告示(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)を実施しました。 内容は下記。PDFが4頁です。(リンク)●平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(案)及び環境大臣が定める者の告示(案)について これは、除染で発生した大量の土壌を、再利用する為のものです。 問題は、その除去土壌の汚染が、セシウム134・137で計測して最大「8000ベクレル/Kg」までなら再利用できるという方向で進められていることです。「最大800ベクレル/Kg」の根拠は以下の通り。(リンク/環境省の説明)●放射性物質廃棄物汚染処理情報サイト (真ん中の「指定廃棄物の処理方法」のフロー図を参照。8000ベクレル/Kgで扱いが分かれている)●放射能濃度が8,000Bq/kg 以下の廃棄物の処理について(2016年3月の資料/PDF)●100Bq/kg と 8,000Bq/kg の二つの基準の違いについて(環境省廃棄物・リサイクル対策部の資料) 具体的な数値は、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成二十三年法律第百十号)の規定に基づき、及び同法を施行するため、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則」(2011年12月14日/細野豪志環境大臣[当時])で指定されています。施行規則第十四条:「法第十七条第一項の環境省令で定める基準は、事故由来放射性物質についての放射能濃度を第五条に規定する方法により調査した結果、事故由来放射性物質であるセシウム百三十四についての放射能濃度及び事故由来放射性物質であるセシウム百三十七についての放射能濃度の合計が八千ベクレル毎キログラム以下であることとする」「法第十七条第一項」の「法」とは、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法」を指します(以下、「特措法」と略。詳細は後述)。特措法・第十七条第一項:「環境大臣は(中略)廃棄物の事故由来放射性物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないと認めるときは、当該廃棄物を特別な管理が必要な程度に事故由来放射性物質により汚染された廃棄物として指定するものとする」 前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。 日本には、元々、クリアランス制度があり、原子力発電所等の解体で発生する金属やコンクリートを破砕・裁断した結果、その表面線量が年間0.01mSv(10μSv)なら、再利用して良いという事になっていました(具体的には、核種毎に濃度を計測することで被曝線量を割り出します。セシウム134・137なら、基準値は「100ベクレル/Kg」以下です)。 私は、放射性廃棄物を無闇に増やして、保管容量・保管場所を食い潰したり、リスクが極めて低いものの為に管理や警備の手間をかけるのは不合理だと思っていますから、クリアランス制度そのものは否定していません(被曝線量を年間0.01mSvに設定して良いのかという議論はあるかも知れませんが、ここでは踏み込みません)。 ところが、今回の除去土壌の「再利用構想」は、最大8000ベクレル/Kgまでなら使用を許容するというものです。従来の基準の最大80倍です。 とても、このような再利用を認める訳にはいきません。 しかも今回は、従来のような建築資材やベンチ等への再加工とは違い、土壌です。河川敷や道路の資材として用いたら、水害等で流出する可能性もあり、何処に流れていくのか、溜まるのか、分かりません。 福島県内の旧避難指定地域に適用されている「年間20mSv基準」と同様で、震災前の基準を緩めることで、フクイチ事故の影響の縮小化・限定化を図り、時間や「政策コスト・政治的コスト」を減らしていく狙いがあるものと思われます。私の提出した意見と、参考にしたWebサイト 以上を踏まえて、私は、環境省の省令案には、下記のリンクのフォームを用いて、反対の立場から意見を提出しました。(リンク)●「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(案)」及び「環境大臣が定める者の告示(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)について====私の提出した意見、ここから(末尾の数字は内容とは無関係)====省令案に反対の立場から意見を送ります。1.クリアランス制度との整合性を取るべき。再利用する除去土壌からの被曝線量は年間10μ㏜(0.01mSv)であるべきで、含有核種と核種毎の被曝線量の計測・公表を義務付けるべき。基準を満たさない除去土壌は、放射性廃棄物として隔離し、原子力発電を推進してきた国の責任に於いて、処分場を確保すべき。2.流出防止策上記基準を満たした土壌であっても、再利用した場合、水害等により流出する可能性が有る。除去土壌を利用する際は1m以上の覆土、又は50cm以上のコンクリ―トで覆うべき。3.事前相談除去土壌を再利用する際は、含有核種・年間被曝線量を厳格に確認し、その結果を公表すると共に、再利用する場所・量・工事方法等の詳細を、使用予定住所を含む自治体に工事開始予定の90日以上前に伝え、同時にその内容をホームページ等で公表し、首長と議会3分の二以上の同意を得るように義務付けるべき。同意が得られない場合は、再利用を撤回すること。 東日本大震災前と後で基準を変えたり、二重基準を作るべきではない。大震災前の基準を基本とし、厳格に守るべき。202002050000966138====私の意見、ここまで==== 今回の施行規則改正案は、改正案概要には「(特措法)第41条第1項の環境省令で定める除去土壌の処分の基準のうち、除去土壌の再生利用(中略)の基準は、次のとおりとする。」と記述されているので、再利用する際の具体的な手続きを決めようとしているものと思われます。(参考)「(特措法)第41条第一項:除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行う者は、環境省令で定める基準に従い、当該除去土壌の収集、運搬、保管又は処分を行わなければならない。」 尚、私は、放射線関係の資格を持っている訳でも、仕事をしている訳でもなく、素人が詰め込みで勉強しているに過ぎません。用語の遣い方や、不勉強な点があるかも知れないことをお断りしておきます。「勉強してない」「よく分からない」などと愚図愚図言っていたら、いつまでも何もできません。 私は、とにかく、自分の意見・意思を表明することが第一という考え方で動いてます。 今回は、自分の意見を組み立てるに当たって、クリアランス制度に関しては、主として下記のサイトを参考にしました。(リンク/クリアランス制度の説明)●クリアランス制度(電気事業連合会)●クリアランスの安全性と、核種別濃度基準(同)●日本のクリアランス制度(ATOMICA)春橋哲史(ツイッターアカウント:haruhasiSF)