The same pictures 10
………”ピシャリ”彼女の部屋のドアを開けると、彼女は俺の頬を強く叩いた。冷たく澄んで響く音だった。”もう~、のび太さんのエッチ~!!”ああ、俺としたことが。彼は慌ててドアを閉じた。寝ぼけてバスルームのドアを開けてしまったのか。ってのは冗談で、こいつはいつものお約束。うっかり八兵衛はこれで視聴率とギャランティーを稼いでいるんだ。彼女がシャワーを浴びている間に、少し眠ってしまっていたみたいだな。しかし、タオルに包まれた彼女の裸体は、日を追うごとに妖艶な輝きを増してゆくようだ。どうしてこんなにも君に魅せられてしまうんだろうか。君の部屋に泊まると、いつも思うことがある。それは、君自身の生活に、俺はどれだけ必要とされている?色々なものを犠牲にしてでも、君と過ごす時間を大切にしたいって思うんだ。例え出演者の声優が変わって視聴者が離れても、前の絵の感じが好きだったって言われてもね。”いつか君と一緒になれたらいいな”彼女の部屋の写真立てには、ディズニーランドで撮った二人の写真が飾られていた。ドライヤーで髪を乾かしている彼女の後ろで、彼は背中から抱きつくようにして、窓越しの空を見上げてみた。ねぇ、ドラえもん。幸せの意味はまだ分からないけれど、この先もずっと楽しくやっていけそうだよ。ねっ、今度どら焼きでも賭けよっか。生クリーム入りの美味しいやつ。俺と彼女がこの先どうなるか、タイムマシーンで、”賭けてみない?”俺は、きっとね…、君を幸せにするために生まれてきたんだ。