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くま五朗君の部屋

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2005年06月04日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
この物語は、私はるかすが書いたものであります。
人物の設定などは本編に沿ったつもりですが
私が考えて設定したものもありますので
その点はご了承ください。

もしも皆様のクラウディア感を
損なうようなものだったら、ごめんなさい。
どうぞご容赦ください。



2・神親殿


昔々、人々がまだ神とともに在った頃
娘のその能力は人間にとって恐れるものではなかった。

けれども、人々が武器を持ち互いに殺しあうようになった時
娘はその能力のために人間の社会を追われた。

娘は鳥と話し、風や海の声を聞いた。
ほんとうならば太古の人間はみな、同じ力を持っていたのだ。
人間は神と寄り添うことを捨て、
自然からの声に対して耳をふさいだ。

そして娘は龍のもとにその身を寄せた。

龍の考えることが娘にはわかった。
それは言葉ではなく、色彩のような音楽のようなコミュニケーションだった。

龍は娘に自らの生き血を飲ませた。
龍の生き血を飲んだものは不老不死となる。
娘は龍とともに気の遠くなるような時間を生きていた。



龍は人間たちが神の領域に踏み込んだとき
その姿を現し、人間たちに刑罰を与えた。

けれども人間たちは少しずつ、そしてある時から加速度的に堕落していった。
龍がどんなに刑罰を与えようとも、
人間たちの堕落にはもう歯止めが利かなかった。
だんだんと人間たちは増長し、自分たちが神であるかのように振舞い始めた。


人間たちがどうしてこうなってしまったのか
娘にはわからなかった。
自分がどうしていいのかもわからなかった。
なすすべもなく、ただ行く末を見つめていただけだった。


そしてある時、人間たちが溶けた。
一瞬にして溶けた・・・。


青い星の大地を汚し、水をけがし、
限りある資源を食い尽くしていった人間の、それが最後だった。

娘は断末魔の声を聴いた気がして耳をふさいだ。



大地には何ものも動かなかった。

ただ、無だけがそこに存在した。


娘はただ怖くて、かつて同胞だったヒトの
そのおろかな行為が恐ろしくて
ただ涙するだけだった。



どこからか龍が、一人の少年を連れてきた。
傷だらけでおびえきった少年のその瞳には憎悪があった。
憎悪だけが、その少年の生を支えていた。

その姿のあまりの醜悪さに娘は眼を背けた。


ミルンダ!

オレンジ色の閃光は娘にそう告げていた。

コノコハヒトリデハナイ。
スベテダ。
オロカナニンゲンタチノギセイトナッタムクナタマシイ。

アイダケヲ、ソノミニウケルハズノタマシイタチ。
ゾウオトイウカンジョウデ、ケガシテハナラナイ・・・。

オーロラのような光が娘に語った。



その日から少年は龍と娘ともにいた。
龍は大自然そのもの、この宇宙のすべてだった。
その懐にあって、少年の瞳から憎悪は消えたかのように思えた。
龍はその少年にも自らの生き血を飲ませた。

リュウノコ・・・。

龍は少年に「龍の子」という名を与えた。

オナジチヲモッタ、ダイチノコラ。
トリタチトハナシ、ソラヤウミノコエヲキクガイイ!

娘は龍の子と名づけられた少年を、その無垢な魂を
汚してはならないと心に誓った。



ある日、娘は大地に動くものを見つけた。

(ヒトだ!!)

ヒトは次第にその数を増やしていった。
そのことは娘をおびえさせた。
ヒトを見たその日から、少年の瞳に憎悪の影が生まれたからだった。

「ヒトはなんのために生まれてくるのでしょう?
結局は同じことの繰り返し。
いつの日にかまた、大地を汚し、すべてを破壊するのであれば
今のうちに根絶やしにしてしまえばいい!!」
娘は龍に言った。

龍は黙ったままだった。

「どうして・・・どうして何も答えてはくれないのですか?!」

娘は龍に懇願した。
「ヒトを、あの忌まわしい人類を
この大地から消し去ってください!!」

龍はやはり何も答えなかった。

「ヒトが生まれてくる意味が、この世にあるというのですか?」
娘の問いに、龍は吠えた。
あるともないともその声は言っていなかった。
ただ、吠えた。

オマエモカツテ、ヒトトヨバレテイタノデハナカッタカ?

そう問われた気がして、娘は言葉を失った。
娘もまた、ヒトとしてのDNAを受け継いでいるのだから。



龍の子の憎悪は日増しに強くなった。

娘は思った。

ヒトのその愚かなDNAに刻み込まれた戦いのしるし。
ヒトは争わずには生きてはいけない。
再び生を受けても、また滅亡への道を歩むだろう。

それならば私が、この私が神としてヒトを治めよう。
龍の子の無垢な魂を「憎悪」で汚してはいけない。


その日から娘は「神親殿」としてヒトを律した。
ヒトから愛という感情を取り上げ、
最低限の武器だけを与え、戦いを与えた。
それが平和への道だと人間たちの歴史が教えてくれた。


龍の子の瞳から憎悪が消えていった。
そう、あの日までは・・・。


その3 龍の子に続く





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最終更新日  2005年06月07日 07時23分06秒
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