157118 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

魔法使いの弟子 3


渡りきって驚いたよ、こやまがいるじゃないか?
いや、よく見るとこやまじゃない
若いイケメンのわんこじゃないかい

「誰だい?お前は?」
「ボク、犬太っていうんだ」
「ああ、犬太って、知ってるよ」
「ちぃたん、お帰りなさい。ちぃたんがこっちに来ることが分かってたから、ボクずっと待ってたんだ。ちぃたん、こっちではボクがちょっとだけ先輩なんだから、せめて『犬太くん』って呼んでよね」
「そうだね、ごめんよ犬太、じゃなかった、犬太くん」

犬太くんは、立派なバイクにまたがり、私を後ろに乗っけて、私を創造主(犬太くんは「光さん」と呼んでいる)の所に連れて行ってくれた
そうだ、思い出した
私はここにいたことがある
ここからあっちの世界、つまりお嬢のいた世界に行ってたんだ

光さんは言った
「ちぃたん、お疲れさま。今回はずいぶん長い旅だったわね」
「光さん、犬太くんの話では、ここで私の人生を振り返るんですよね」

「それは、心の準備が出来てないまま、急にこちら側に来た者のこと。あなたは、さっきお嬢の腕の中でもう振り返ったでしょ?どうだった?今回の人生は?」
「私は、お嬢に会うために今回あっちの世界へ行きました。もう少し早く戻るはずだったんだけど、お嬢が心配で今頃になっちゃいました。でも、もうお嬢は大丈夫です。優しい、本当に優しい人でした。もうちょっとそばにいたかったけど、私の身体が限界だったから、こっちに還ってきました。私は人間をとても愛しました。そして、とても愛されました。何も思い残すことのない幸せな人生でした」

「そう(^^)、本当にすばらしい人生だったようね」

それから、光さんは私がすっかり忘れていた、私がこちらの世界にいたときのことを話してくれた

NEXT




© Rakuten Group, Inc.