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今でこそネコ飼い主なんぞやっておる春正なのだが以前イヌを飼っていた事がある。
オヤジが取引先の重役サマの家からもらってきたメス犬。 オカンによって「エリ」と名付けられた。 この「エリ」という名前はウチに女の子が生まれたら付けるつもりだった名前だそうで。 個人的にはこういう人間でも普通にいそうな名前を付けるのは反対である。 何故か。だって近所に同じ名前の子がいたら困るモン。 「エリちゃんあそこの家の犬と同じ名前~。」 イジメに発展しないかとか変な心配をしてしまう考え過ぎ春正であった。 いや、あながち考え過ぎでもないのだが。 ある日、小学校の運動会で催されるバザーの商品集めにウチに訪れた親子がいた。 知らない人が来たので吠えまくるエリ。それに対してオカンが一言。 「エリちゃん!静かにしなさい!」 何故かビクッとする訪れた親子の娘の方。 「あらヤダ。ウチの娘の名前もエリって言うんですよ。」 ものすごくクサイ表情で訪れた親子の母の方が言う。 実話である。 ちなみに僕はエリの事をはじめのうちエリ公と呼んでいた。 がよく考えるとエリコと聞こえる可能性も無きにしも非ずであったのでエリ犬と呼ぶ事にした。 これでもエリーヌと聞こえない事も無い。 が、さすがに近所にエリ犬もしくはエリーヌという女の子はいないだろう。 そんなある日エリ犬が脱走した。いや、よく脱走する犬だったのだが。 間の悪い事に丁度小学生のおガキ様達の下校時間あたりだった。 探しに出てみるとあっさり発見。下校途中の小学生達に囲まれていた。 ・・・ヤヴァイ。あそこから連れて帰るのか・・・ しかし、ほっとくわけにもイカンしなぁ・・・ 近づく僕に気が付いたエリ犬がこっちに駆け寄ってくる。 それと共に駆け寄ってくる小学生ども。来るなぁ、あっち行けぇ。 ガキ「ねぇねぇオジサン。」 春正「オジッ!?」 この時春正22歳。この世に生を受けて以来初めてオジサンと呼ばれた瞬間であった。 その直前までインフルエンザにて丸一週間ほど寝込みヒゲボーボーだったので仕方ないといえば仕方ないのだが。 よく考えてみたら今まで生きてきてオジサンと呼ばれたのはあの1回っきりだと思う。 失礼極まりないガキ「この犬なんて名前なの~?」 憤懣やる方ない春正「エリって言うんだよ。あ。」 このガキャァよりによってなんて事聞きやがるんでございますか。 ・・・周りにウンカの如くたかる将来性豊かな国の宝達を見回してみる。 イカン。女の子もいる。エリとは言わない方が良いだろう。 って言ってもうてるやん。 心なしか一人の女の子の表情がかげったような気がした。 ヤヴァイ。・・・キミはもしかしてエリちゃんなのかい? 焦ってフォロー春正「エリ・・・ザベス=テーラー。」 空気を読まないガキ「え~、そんな変な名前なのぉ~?」 キサマ、エリザベス=テーラーに土下座して謝れ。 とは言うもののいくらなんでもそれは無かった。 春正「じゃあ、マリー=アントワネット。」 何がじゃあ、なのか。今思いついた事丸出しである。 こしゃまっくれたガキ「ああ、アレ。パンがなければウンコを食べればいいのに(裏声)の人だ。」 ・・・キサマが食えや。大爆笑する国の宝達。イヤなヤツらに将来を託すもんだなぁ。 一応訂正する春正「パンがなければお菓子を食べればいいのに(裏声)ね。」 国の宝「そんなの面白く無いよ。」 ぬう。面白い面白くないの問題じゃなくてさ。 生まれて初めてマリー=アントワネットのモノマネまで披露したのに・・・激似だったのに・・・ 何故かウンコを大合唱し始めたガキどもを置いてエリ犬を連れて帰った。 可愛い犬だったなぁ・・・。 3年ほどでフィラリアという病気を発症して逝った。 思っていたよりはずっと悲しかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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