沢木耕太郎 「血の味」
沢木耕太郎の「血の味」を読んだノンフィクション作家の初めての小説ということで興味を持って読んでみた<あらすじ> 人を殺し 少年院に入っていた主人公が 電車の中で突然 殺害シーンを思い出す どうして殺したのか 僕にも分らなかった ナイフを体に刺したときから 記憶がないのだ 逃げてはいけない 僕はゆっくりと 記憶をたどった・・・作者の後記に書いてあるが「十五年前に書きはじめられ、十年前にほぼ九割方書き終えていたものである。 <中略> 十年ぶりに『血の味』を読みかえしてみると、残りの一割に何を書けばよいのか 明瞭に見えてきた・・・・」とある確かに 後半は他の章とは違い 異質な感じがするしかも伏線があまり働かず あいまいなまま終っている中盤までの 中学生の葛藤などは良かったのにそのつながりで失敗しているのではないか?しかし 主人公の心の葛藤や 淡い恋心は良かった沢木耕太郎がもつ 繊細な文体がマッチしていた所々 心理描写がわかりづらいというか 足りないところが多かった「血の味」とは自分に流れる 父の血という意味なのかもしれない★★★☆☆