早速観劇、劇団☆新感線プロデュース「いのうえ歌舞伎☆號『IZO』」
はい。タイトルの通り、『IZO』観ました。でも、感想を一言で言うならば、「森田剛ファンにとってはお涙頂戴の感動芝居」というところだと思う。岡田以蔵という人物はご存知か?(1838年、土佐に生まれる。土佐勤王党のボス・武市半平太の支持のもとに、京都で暗殺を繰り返し「人斬り以蔵」と恐れられた。坂本竜馬の紹介で勝海舟の用心棒を努めたこともある。8月18日の政変以降、京都で公武合体派が台頭し始め、尊攘派が一掃されるようになり、勤王党メンバーが追放され、以蔵も牢に入れられた。土佐藩での厳しい拷問の末、罪を自白し斬首された。そんなIZO(森田剛)を主人公にした物語。グリングの青木豪さんが脚本だっということで、しかも青木さんが人の感情や細かな動きを描写するのが得意ということで、どんなんだろうと、思っていたんですが、前半、あんまーり伝わってこなかった。なんつーか前半のテンポが一定。テンションの上がり下がりがなく、場面転換もさらりという感じで、メリハリがない。「右から左に受け流」していたわけではないが、まさしくそのような感じで終わった。「アレ?もう休憩?もう前半終わり?」と思ったし…なぜ以蔵が「人斬り」マシーンになってしまったのか?安五郎の死をきっかけに、復讐をすると執念を燃やし始めたこと、藩のスパイであった戸田を殺して(だっけ?あんまり覚えてないんだけど)から、殺人マシーンへと化していったこと、そんな所での以蔵の心情の変化をもっと深く掘り下げてほしかった。人殺しをしたことのない人が殺人に手を染めるようになる話で、「蘇える金狼」っていう大好きなドラマがあるんですけど、コレににてるなぁ、って思ったわけですよ。金狼も、大好きなお兄さんを陰謀により殺されてしまい、その執念から「人殺し」となり、あらゆる人々を殺していくっていうストーリーなんですよ。主人公が成長(?)していく描写がすごく丁寧で細かくてね、IZOもそのようにもっと描写して欲しかったのですよ。前半がホントもったいなかったなぁ~。後半は、テンポが今までとは違い、話も盛り上がっていったので、前半のような違和感はなく見られた。逆に気持ちが読み取れて良かった。新兵衛(山内圭哉)への嫉妬とかよく分かったし。何より幼馴染のミツ(戸田恵梨香)と結婚の契りのままごとをするシーンが感動的で。「あー死んじゃう死んじゃう死んじゃう!!」と思い口惜しかった。そして、捕らえられた武市半平太(田辺誠一)の前で証言させられそうになっても、「天の指令で殺した」と必死に弁護するところも。でも新感線には「朧の森に棲む鬼」で多大な期待を持ってしまったので、これじゃ正直物足りない。「新感線らしさ」が足りないのか…。歌も少ないのはしょうがないかもしれないが、迫力が薄い。エロを含め、人間のドロドロした負の感情や、そういうところを浮き彫りにするのが上手いと思うのに、それが足りない。だからちょっとだけ、惜しいな、という感想を持ってしまった。ゴメンナサイ。それでも最後のシーンですすり泣く音が聞こえたり、スタンディングオベーションで4回のカーテンコールを迎えたり、赤い目をして出てくる若い女性が多かったりしたのは、やはり「森田剛クンに泣かされた!」と感じた女性が多かったからであろう。私は客観的に全体的に物語を捉えるクセがあるので、なかなか感情移入しにくいのだが、以蔵視線で物事を見れると、感情移入できるのだろうか。森田氏ファンには、たまらない舞台なんだろうな、と感じた。でも舞台の装置や映像の使い方、伝えたい言葉(「天を仰ぐのではなく山を見ていれば良かったのだ(上や名誉を目指すのではなく自分に合うそれなりの幸せを求めた方が良い)」的な…)、その他音楽はベリーグーだった。装置なんか「おっグルグルグルグルしとる!!」と思って(歌舞伎みたいに回転するんです)、殺陣のシーンが立体的に観られてとても迫力あったし!←かなりの誉めドコロ死んでいく人たちにアカデミー賞をあげたいくらい。映像も歴史の説明をしっかり入れていて、難しいことをしっかりと分からせてくれましたし。(それでも一部覚えてないのは私のアホな頭脳のせい)それぞれの役者について・森田剛以蔵という性格には合っていると思う。しかし、声は聞こえにくいし、ガラガラ声だし、身体を張って頑張って感情を表現しているのはすごく伝わったけど、まだ足りない。もっともっとイケルはず。だから後半に淡い期待。・戸田恵梨香映画で観るときはいつも一番の賞をあげたいくらいに上手いのに、特に天国は待ってくれるだとかライアーゲームで観ると存在感がキラキラ光っていたのに、舞台では動きも含めちっぽけに見える。声も舞台向きではない。・池田鉄洋イケテツ氏の坂本竜馬が一番の笑いどころだったかな。イケテツがあの歴史的有名人物の「竜馬」役っつーのがまず笑えたし(大河ドラマ等では一級の人気俳優が演じているから)、両手に女郎を抱えながら踊るわ、頭がバクハツして登場するシーンはあるわ、変なところで坂を滑って笑わせるわで、芝居を重くならないようにする役割を担っていた。動きも大きいし、ジェスチャーで伝えたいことを一生懸命伝えているし、すっごく目立っていた。・木場さん存在感もたっぷり。舞台がしまるわ。・山内圭哉坊主でないと山内さんと気づきにくい(笑)ひーはーで観た時とは別人のように真面目な役だし……そんな感じ?…新感線!ひでのりさん!五右衛門ロックを楽しみにしてますヨ!http://www.goemon-rock.com/