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2012.04.10
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中島貞夫監督「新極道の妻たち」を観る。

尼崎の暴力団・藤波組は二代目組長が亡くなり、霊代・加奈江(岩下志麻)が組を仕切っていた。加奈江の妹婿である松岡(曽根晴美)が三代目を継ぐはずであったが、何者かによって暗殺されてしまう。加奈江は娘婿・宗田(桑名正博)を三代目に指名するが、長男の直也(高嶋政宏)が立候補。跡目争いが混沌とするなか、敵対する神原組が、藤波組を傘下に収めるべく暗躍を始める。

2回目。以前観たのは、VHSだった。やはり、大画面で観るに限る。

傑作である。シリーズ最高傑作ではなかろうか。少なくとも、中島監督が撮った「極妻」のなかでは、断然一位の出来である。面白い。観ていて、血沸き肉躍る。

物語の骨格は、時代劇である。お家騒動ものだ。殿様(=組長)の急死によって、次の藩主(=三代目)が成熟した婿(=桑名)になるか、若い実子(=高嶋)になるか、家中が揺れているところに藩撮り潰しを狙う幕府(=巨大組織・神原組)の老中(=若頭・角谷=夏八木勲)が謀略を仕掛ける。

「くノ一忍法帖」が監督デビューであり、傑作「真田幸村の謀略」を撮った中島貞夫は、当然、時代劇のツボはおさえている。テンポよい演出できびきびとストーリーを進行させつつ、要所を〈様式美〉で決めているのは、ヤクザ映画を時代劇テイストで作った遊び心のあらわれか。

例えば、自分を引退させようともくろむ霊代に、直也が日本刀を抜いて迫るシーン。霊代が正座する和室に飛び込んできた直也は、刀をふりかぶる。二人をとらえた引きの画面、その背景には庭の桜が実に美しく咲きほこっている。このあたり、完全に時代劇である。

が、一転。母親を斬ることが出来ない直也が、縁側を蹴って庭に飛び出す。素早くカメラが切り替わり、スピーディな高嶋ぼ動きを躍動感あふれるタッチで映し出す。〈様式美〉から、中島貞夫ならではの〈破調〉の〈美〉がスクリーンに炸裂する。

さらに、このシーンでは、直也と対立していたかに見えた霊代が、ひたすら母親として息子を気遣っていたことが明らかになる。泣きながら引退を迫る岩下と、それを毅然と拒否する高嶋の演技を、カメラはじっくりと撮っている。

〈様式〉と〈破調〉、アクションとメロドラマ。相反するファクターがめまぐるしく交錯する中島貞夫ならではの映像に、ただただ陶然とみいった。

ドラマの逸脱も凄まじい。暴対法の施行によって追い詰められた組を近代的な組織に改革しようとする宗田と、大幹部の国井(西岡徳馬)が激しく対立している。武闘派の国井に対して、穏健な宗田の方が、状況をわきまえた聡明な判断をしているようにみえる。

ところが、宗田と角谷の密会が映し出される。クレーバーな宗田は、生き残りのために組を大組織に売ることを画策していた。松岡を殺したのも、宗田であった。

こちらの予想を裏切る展開。それがストーリーのみならず、映像の流れ自体にはずみをつける。中島作品を観る醍醐味である。

高嶋政弘が、良かった。中島監督いわく、「突っ込み専門」の高嶋を見事に映画のなかで使いこなしている。クルマで、暴力で、直也は暴走を繰り返す。その高嶋のアクションを、木村大作のカメラが的確に追う。ガタイの大きな高嶋の動きが、映画のアクションそのものを躍動させている。

イケイケの武闘派であるだけではなく、霊代としてふるまい続ける母親の愛を求める孤独な青年の心情を、若き日の高嶋政弘は、ストレートな芝居で表現している。

中島監督は、千葉真一を評して、「狭くはいっていく役者」と語っていた。このときの「突っ込み専門」の高嶋もそうだが、「懐が広くない」俳優を、中島貞夫は、実にうまく使う。「日本暗殺秘録」では、何と千葉真一から、弱弱しいホモセクシャル的な演技を引き出していた。

「新極道の妻たち」では、高嶋政弘演じる若き組長に、暴力性とともに、愛嬌・可愛らしさを付加している。それが魅力となって、組員がついていくのだろう……という説得力を映画に与えている。

時代劇テイストで言えば、岩下志麻の霊代に影のように付き添う重田(本田博太郎)という役が面白かった。伝言や後片付けなど、下働きだけしているように見える。が、実は、霊代直属のヒットマン。ラストで角谷を襲撃。マシンガンを撃ちまくる本田博太郎をスローモーションでじっくりみせる。おお、ペキンパーか!

まるで、お庭番実は将軍家直属の忍者。本田博太郎という役者がまたこうしたワケありげな曲者の柄があっている。これまた、中島監督の老練な演出の冴えが感じられた。

中島貞夫という映画監督の力量の凄まじさを堪能する、アクション映画の大傑作。






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Last updated  2012.04.10 17:53:02
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ヤクザ   背番号のないエース0829 さん
「沖縄ヤクザ50年戦争」に上記の内容について、書きました。
もしよろしかったらAccessしてみてください。

(2012.04.12 13:08:56)

Re:「新極道の妻たち」(04/10)   通りすがりです さん
本田博太郎さんのラストの特攻シーンに言及下さりとても嬉しく思います。
霊代への秘めた想いを胸に滾らせ散っていく…と思って観ておりました。
女達が主役の極妻シリーズの中でも、この場面だけは「漢の散りざま」の見事さに「なんて凄い、こんな男に惚れられたら女冥利に尽きる…」と子供心にも思って観たものです(当時はまだ女子小学生だったのに!)
懐かしさのあまりコメントしてしまいました。お許しください。
では失礼致します。 (2020.11.17 23:48:13)


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