狂った天使に狂わされ、しかし羽のない僕は地上をただあちこちと駆けずり回ることしかできない。
それは不幸この上ない。
どんなに彼女の事を愛していても、そこから抜けられず、痛みをポケットの中におさめ、ただ何気ない会話と、ただ何気ない行動に務めなければならない。
未来がない。
そもそも未来に期待していた訳じゃあないが、それでも何かを掴んでみたかった。
手には何も残らない。
子供のように、握られた手の中で、幸せを守ることすらできない。