"美しき大川橋蔵" 私の想い出***優美*大川橋蔵の時代劇

2018/11/29(木)01:21

「不知火小僧評判記 鳴門飛脚」・・・(4)

大川橋蔵 映画 (主演)(190)

​​​​​​​​​​​​​​​証文の書付を取り返してやりましょう 阿波屋の番頭彦七から娘のお夏を阿波屋万右衛門のところまで連れて行く約束をした新三はお夏を連れ箱根に着きました。 新三から彦七が三人の武士達に斬られ懐のものを奪われたことを聞いて、阿波屋万右衛門はこれで阿波屋の身代も終りだと嘆きます。新三はその様子を見ていて阿波屋に聞くのです。 新三 「阿波屋の旦那、おっしゃることはそれだけでござんすか。もうねえんでご     ざんすね」​ すると、阿波屋は気がつかなかった良く知らせてくれたと言い、僅かだがお礼だといって新三の前に金子を出したのを見たから大変、 新三 「よしてくれ、こんなものが欲しくって、わざわざここまで来たんじゃあり     ませんぜ。どんなに大切なものを取られたか知らねえが、それと引きけえ     に彦七さんは、旦那のおめえさんに頼まれて持って歩いていたばっかり     に、二つとない命をふいにしてしまったんだぜ」   新三の勢いにおどおどしている阿波屋、新三ははらわたが煮えくり返えり、おさまりません。 新三 「ちえっ、さっきから黙って聞いてりゃ、困った困ったを百万弁並べるばか     りで、死んだ者が気の毒だった、可哀想だったとは、一言もおっしゃらね     え。阿波屋万右衛門さんといやあ、大阪で指折りの大商人と聞いていた     が・・そうーですかい、そういうお方でござんしたかい」​   阿波屋は、つい自分を忘れ取り乱してしまった、勘弁してください、と新三に頭をさげます。それを見て新三は、「よーし」と言うと、気を静め、分かればそれでいいがと言い、 新三 「また、旦那ほどのお方が、自分を忘れるほど大切なものとは、いってい何     を盗られたんでい」​         盗られたのは阿波の殿様にご用立てした金子の証文で、阿波の藍玉売りの権利までついているものなのだが、お調べの筋があるから大阪の蔵屋敷まで持参するよう言ってきたというのです。 新三 「すると、捕った奴は借金の証書とは知らずに・・」 「なんの、知っていればこそ・・きっと阿波のご家来しゅうの仕業や」と言い切る万右衛門です。​ 阿波屋万右衛門が言ったように、阿波藩の仕業でした。真木三之助が泊まっている宿に、川尻達の姿があります。彦七から盗った証文を渡しています。真木は証文さえあれば阿波屋かの藍玉の権利を取り上げることは簡単、借金はなくなり、取り上げた権利を他の商人に高く売りつければ、藩の財政も楽になる、と話しているのを、これも又新三を追いかけて旅に出たまぼろしのお六が、うまい話しのようだと隣りの部屋から聞いています。 阿波屋万右衛門の部屋では、新三が詳しい話を聞いていて、 新三 「なるほどねえ、惨いことをしやがる。御大名の借金といや途方もねえ金高     でしょうに、それを棒引きにした上まだ」​         阿波屋「そのような気配が見えましたので、彦七に持たしてやりましたのやが、と     んだことになりました」 いきさつを聞いた新三は阿波屋に「そうしたいきさつならなおのこと」と言うと、 新三 「阿波屋さん、この子のことはお頼みしてえ、徳島へ送り届けるなり、手元     へ置くなり、幸せにしてやっておくんなさい。どうか、あっしからもお頼     みいたしやす」 お夏 「おじちゃん」 新三 「お夏坊・・もうさよならだよ」 ​(新三の言い方が優しいの・・橋蔵さまの言い方は本当に優しいのですよね)​ ​​​お夏 「やだやだ、あたいもおじちゃんと一緒に行く」 新三 「そんなこと言うんじゃねえ・・あのおじちゃんのいうことをよく聞いて、     可愛がってもらうんだぜ」​    お夏 「やだぁ、あたい、あんなおじちゃん嫌い」 新三 「これ、お夏坊」 お夏がはっきり言うので慌てる新三は阿波屋の方を見ます。 お夏 「ううーん、やだやだ、やだぁやだぁ」​​   新三 「聞き分けのねえ子は、このおじちゃんもきれえだぜ」 その言葉に、お夏はじっと新三の顔を・・・そして黙りうつむきます。それを見て新三はやさしく 新三 「いい子だな、おじちゃんの言うこと、分かったね」   お夏は大きくうなずき、新三の膝に顔を埋め泣きじゃくります。   ちらちらと阿波屋を見ていて、お夏に対する思いやりの気持ちがないことを受け取った新三は、自分をしたって泣くお夏にほだされ決心をし、阿波屋に言います。 新三 「阿波屋さん、やっぱりあっしが、大阪までお引き受けいたしましょう」​                     そうしてもらえば何より、と阿波屋は言い、一刻も早く大阪に行きお奉行さまに訴えなければならないと。それを聞き、新三は「証文の書付を取り返してやりましょう」と言うのです。 新三 「その代わり、一生お夏っちゃんの親代わりになって、面倒見てくれま     すね」 阿波屋「それはまあいいが、でも、あなたにそんなことが」 新三は、とにかくやって見ること、「旦那のためにするんじゃねえ、お夏坊のために」と言うのです。 阿波屋万右衛門にお夏坊の面倒をみる気持ちは見られません。新三の心意気から慕うお夏を放っていけるはずがありません。お夏坊のためにも早く書付を取り返さなければ・・・ お六、弥太と猪之、も書付を狙っています。そして、捕物小町のお豊が追ってきています。 そんな中、お夏を連れての子連れ旅になった不知火の新三はどのように動くのでしょう。 続きます。​

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