2024/03/24(日)13:08
海賊八幡船・・・(14)
二人の間に恋の芽生え
島に上陸し、負傷者達が木陰に運び込まれます。その中に伝馬もいました。鹿門が弾を取り出すことに。
鹿門「いま荒療治をしてやるから、弱音を吐くなよ」と声をかけますと、「わてかて八幡船の勇士だ、弾ぬくぐらい蚊が止まっているみたいなものだ」と伝馬がやせ我慢。「よーし、はじめるぞ」と声をかけ、酒を吹きかけると、痛いと叫びもう終わったか聞く伝馬に「馬鹿、これからだよ」といい小柄を足に刺します。
その様子を遠くから寿賀も見ています。悲鳴をあげる伝馬に「それでも八幡船の勇士かい」といいながら弾をえぐり取り出し、「やっと出た」と汗を拭います。
笑いながら歩いていくと、ボーとして立っている寿賀の様子を見て、
鹿門「おう、どうした、気分が悪いのか」
と声をかけると、寿賀は気丈に振る舞い、
寿賀「あんなことぐらい平気、あたしにだってできるわよ」
と鹿門の手から小柄を取ると、鹿門に対抗するように、近くに横たわっている負傷者の腕から弾を取り出そうとします。鹿門はそんな寿賀が可愛く思っていたのです。何回も試みてやっと取り出せたのか、鹿門の「よーし、取れたぞ」の声で安心したのか、寿賀は気を失います。
鹿門は寿賀を抱き木陰によこたわせると、気がつき動こうとする寿賀に、
鹿門「静かにしていた方がいい」
寿賀「・・・・・」
寿賀をじっと見つめやさしい笑顔を見せ去って行く鹿門に、
寿賀「鹿門様」
呼びかけられた鹿門が振り返ると、寿賀は優しい笑顔でじっと見つめ、
寿賀「忘れものよ」
と小柄を差し出します。
このとき、二人の間には恋が芽生えていたのです。
鹿門は寿賀のところに戻り、
鹿門「なかなか上手かった。(小柄を受けとりながら)寿賀どのは名医だな」
と話しかけているところに、「若~」という声がします。
島の様子を見て来た黒白斎と新蔵人達が帰ってきたのです。鹿門と寿賀は一緒に迎えに出ます。
材木も見つかったと新蔵人から聞き、今夜は久しぶりに土の上で眠れると、みんな喜びます。
続きます。
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