2024/04/27(土)13:29
海賊八幡船・・・(18)
生涯を、八幡大菩薩の旗の下で暮らすのだ
右衛門太夫の船では、今夜イスパニアの船に女達を売り飛ばす前祝いをやっています。青影丸と住吉丸が静かにニセめくら船に近づいていました。ニセめくら船がそのことに気づいたときには、大砲が打ち込まれます。
そして、その大砲の音を聞き、対岸に待機していた鹿門は「いまだッ」というと、
鹿門「それッ」
といい、先頭で海に飛び込みます。
青影丸、住吉丸の攻撃に気を取られている間に、泳いでニセめくら船に乗りこもうというのです。
帆をあげている船員に気がつかれたので、鹿門は「潜れ」と指示します。海中めがけ飛んでくる銛をかわしながら船まで近づくと、投げたかぎ縄を伝って船に上ります。
ここから、双方入り乱れての船上での立廻りになります。青影丸や住吉丸が応援に来ると新蔵人の名を呼ぶ鹿門がいました。寿賀、与太夫、も応援に右衛門太夫の船に斬り込んでいきます。
大混乱のなかでの、鹿門と右衛門太夫の一騎打ちが始まります。色んな手段でかかってくる右衛門太夫に応戦する鹿門。右衛門太夫は剣を振り払らわれ追い込まれ、鉄砲を鹿門にむけますが、新蔵人により鉄砲も蹴落とされ、帆柱に上って行きます。鹿門は蹴落とされそうになりながらも、右衛門太夫が上りきったところで一刺し、仇を討ちました。右衛門太夫は海へ落ちていきます。
小静と五兵衛は助かり、無事会うことができました。
澄みきった青空のもと、八幡船団は帆にいっぱいの風を受けて、一路目的地に向かって進んでいきます。めくら船の先端に、大海原をじっと見つめている鹿門の姿があります。寿賀が鹿門に近づきます。鹿門と寿賀のにこやかな表情がとても素敵です。
寿賀「とうとう、海の男、八幡船の男になってしまったわね」
鹿門「寿賀さん、俺は入道殿や父君の意志を継ぎ、八幡船の頭領として働くぞ」
寿賀は優しく鹿門を見つめます。
鹿門「・・・生涯を、八幡大菩薩の旗の下で暮らすのだ」
そういって、風になびく八幡大菩薩の旗を見あげる鹿門の顔には、海の男の力強い誇らしさが溢れています。
(終)
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