2024/08/31(土)20:39
若さま侍捕物帖・・・(3)
そりゃあ、なつかしいやな
店を閉めている伊勢屋をやくざ者たちが見張っています。奥座敷には主人の周兵衛が病の床に就いています。番頭の弥平が周兵衛の娘おちかに奉行所にも行き、御納戸役のところへも行ったがダメだったと話します。分かっていると弥平がいいます、「どうせあの鈴木様が・・・」と、おちかも「やっぱり・・・」と。鈴木采女との間に何かがあるようです。
若さまは琉球踊りを見ての帰り、頓平と平吉に誘われ、浅草近くの矢場の”お若い矢”に行って遊んでいます。お澄が勝ったら、若さまの名前と屋敷を白状させるという矢の的当てをやっています。お澄が勝ったので、若さま名前をいわなければなりません。石川五右衛門といい加減なことをいうと、頓平と平吉が分ったといって、
平吉 「石川様ちゅうのはやっぱり、青山の石川様でしゃろ」
若さま「えっ、・・・ううん、そうだい、・・・その青山の、石川の・・・せがれ
だい」
やっぱりと頓平はいうと、こちら様は、青山で800石、西の丸御書院の番士小頭を務められる石川様の若様だと、若さまは唖然としています。
それを聞いていた矢場の主人お蝶が、5年前まで石川様のお屋敷に奉公していたと、嬉しそうにしゃしゃり出て来ます。
お蝶 「まあ、お懐かしい」
若さま「ううん、ああぁ、・・・石川に奉公していたね、ああっ、(小さな声で)
そりゃあ、なつかしいやな」
殿様にはすっかり御恩を受け、店を開くときにも世話をしていただいた、・・・あらそういえば、お父上様にそっくりといったのには、若さまも驚き、
若さま「えぇっ、・・・似てるかい?」
お蝶は、ええ、そっくりといいかけたとき、「あら、ちょっと変じゃない。・・・・・あら、今年19じゃないの、19の殿様の若さまにしちゃ年が合わないんじゃない」
そんな話になった頃、若さまは、いつの間にかお若い矢から逃げだしていました。
店から急いででてきたところで、「若さまっ」と呼び止める声がします。
若さま「野暮用二人お迎えか」
続きます。
🎬『若さま侍捕物帖』前回までの投稿掲載分は、ページ内リンクできるようにしてみました。下記のそれぞれをクリックしてご購読することができます。
若さま侍捕物帖・・・(1)
若さま侍捕物帖・・・(2)