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カテゴリ:些末な日常
◇ ↑ 今回の話に登場するUVB-76基地のビープ音 非常に無機質で不気味なので閲覧注意&音量注意です。 === 「…………」 「フラン!」 「……お言葉ですがアーサ様。機は熟しました。これ以上は隠す必要も無いでしょう。 ……頃合いだと。そう、私が判断致しました」 「……アーサ。調度良いタイミングを見計らって伝える様に指示を出したのは私よ。フランを責めないでね」 「しかし……!」 「良いの。もうこの件に関しては、貴女の任務は終わり。これからは私が直接伝え、導きます」 「…………本当なの?アーサ?」 「やめてくれ!そんな目で見ないでくれ!そんな目で…………私の名前を呼ばないでくれ……」 「まぁまぁまぁ、みんな落ち着けってばよ。今はそんな事はあんまり重要じゃねぇ。 今、最も大切な事はだな……その、なんだ。フラン様!俺と結婚してください!」 「え?え?」 「おい~!!この流れでそれかーい!そんなとっきゃねぇだろう!?」 「……いや、”そういうとき”だぜ?今!このとき!プロポーズしなきゃ!いつするってんだ! 悪い虫が付く前に攻略するのが真の漢道!出会いは常に先手必勝!事はお前が想像しているより重大だぜぇ……」 「ほっほっ!やるのぅ!坊主!儂もあと半世紀ほど若ければ求婚しておったわい!」 「おい!じいさんまで悪ノリかよ!」 トントン…… 「心配しなくても大丈夫だよ。あの男は下品で粗野で粗暴で、品位の欠片も無くて、ガサツで下品で下品だけど……そういう根っこの部分は判っている奴だから」 (言われてみれば、今のでさっきまでの剣呑な空気の流れが変わってら……) 「それにあいつが求婚なんてする筈無いんだよ。 あいつ、昔、目の前で恋人を亡くしちゃって、柄にもなく責任感じちゃってるんだよね。 あの顔で亡くなった恋人に操を立ててるって、もはやギャグギャグ。変なとこで純情なんだよアイツ」 「さあ!お返事は?!」 「え?!は。はい!え、え~と、まだお互いの事を良く知らないといけないと思いますので、先ずはお友達からお願い頂けますか?」 「よっしゃ!脈アリ!こちらこそお願いします!フラン様!」 「……あれ?もしかして結構本気だったり?」 「……イイハナシダッタノニナー」 「……コホン。 少々、横槍が入ったみたいだけど、本題に移りましょう? 盥回しの様で悪いのだけれど、会って欲しい人物がいるの。 私なぞ、かの者の傀儡にすぎないわ。……そうね。言うならば真の黒幕よ。 来てくれるかしら? ポイント”北緯56.08278度 東経37.08944度”……そこに真実があるわ」 「その座標にある施設は……”Зуммер"だな」 「”the buzzer”……UVB-76基地……ですわね。けど、あそこには特に何も無いと思いましたけれど……」 「ほう。流石にその存在を知ってはいるみたいね?確かに、表面上では何も無い。ただひたすらに怪しいだけだ」 「ああ、あそこまで露骨に怪しいから一度我々も調べてはいたのだが……」 「教官殿が”これ以上ビープ音聞くのが怖い!”とか言って傍受するのを途中で止めたのであります!」 「な、ななな!何を言ってますの!そんな事ありませんわ! あそこまで胡散臭いから、どうせいつもの ”帝国様お得意、意味は無いのに意味ありげにみせるフェイク” だと判断して早急に捜査を打ち切っただけですわ!」 「ふふ……まぁ、そう考えるわよね。普通は。 だからこそあそこは隠れ家にするのはうってつけだったのよ。 ――そう、木を隠すなら森の中。 そして更には、その森自体の信憑性を無くしてしまえば上出来ね」 「それに関してはわたくしの完全敗北ですわ。……まさに、してやられましたの」 「では、そろそろマギーのメンテも終わった頃合いでしょうし、出発するわよ。 ……みんな。そこに、何があっても取り乱したりはしないで頂戴ね」 ==== ~UVB-76基地~ 「ふぅ……まさか唐突に徹夜でセスナの運転させられるとは思わなんだ。姫様もジジイ使いが荒いですのぅ……」 「ごめんなさいね。マギー。後で埋め合わせはするから許して頂戴ね」 「ひょっひょっ!姫様の我侭なぞ今に始まった事ではないわい。もう慣れっこじゃて。 ……では、小生はセスナの中で仮眠をとっておるから要件が済んだら起こしてくれぃ」 ピピッ! ???「やぁ、こんな時間にどうしたんだい?」 「ミルファレーナです。カリン=エーギルパッフェを連れてきました」 「フランチェスカです。またお会いできて光栄です」 「…………」 ???「ああ、フランちゃん。そんなに畏まらなくてイイよ。ボク、そういうの苦手なんだ。 ちょっと待っててね。今、セキュリテティを外すから」 プシュ~…… ???「どうぞどうぞ入ってイイよ。いつもの部屋で待ってるね」 カツカツ…… (帝国史上、屈指の傑物と謳われる”怪物皇女ミルファレーナ”と”聖騎士フランチェスカ”を傅かせるとは……!一体何者がこの扉の先に待っているというの?) カツカツ…… ピタッ 「着いたわ。この部屋よ」 コンコン ???「ノックなんて要らないよー。入ってきなよー」 プシュ~…… 「やぁ、初めて会う人は”はじめまして”。二度目以降の人は”久しぶり~”。遠路遥々こんな辺鄙な所まで御苦労だったね。何か食べる?」 (この子が……重要人物……ですの?ワンダちゃんとそんなに歳が変わらない様に見えますけれど……) 「うん。カリンちゃん。しばらく見ない内大きくなったね。ずっとずっとボクは君に会いたかったんだよ? 君はボクを良く知らないだろうけれど、ボクは君をよく知っている。それこそ赤ん坊の頃から、ね?」 「生憎と、わたくしにボクッ娘の知り合いは思い当たらないのですけれど……」 「そりゃそうさ。ボク達は初対面だからね」 続く! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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