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カテゴリ:些末な日常
お話を書いていて一番楽しいのは、張り巡らした伏線をうまく回収できたときです。 == 「くまなく探してみたのですが、チェツィン殿の”フルカス”が何処にも見当たりません」 「ピースの”ベリト”も無い。人智を越えた異能を発現出来るアーティファクト……敵が奪わない道理は無い……か」 「でもでもっ!ピースさんの”ベリト”でも勝てなかった相手なんてかなり強大な組織の犯行ではないでしょうか?」 「いえ、恐らく孤児たちを人質として取られていたんでしょう。虫唾が走る手口ね。本当に」 「だが、ロザリィの談も一理ある。これだけ派手をやらかして、外れにあるとは言え自治の厳しい帝国領だ。帝国軍が出て来ない理由が無い」 「じゃあ、やっぱりこれも帝国の仕業なんですか?!」 「十中八九そうだろう。……そうなると、尚更……フランとミルファの安否が気になるな」 バタンッ 「お待たせしました。ワンダさんを連れてきました」 「ラスターから大まかな事情は聞いたぞ!怪我人はどこだ!」 一同「………………」 「……間に合わなかった……のか……?」 「そんなっ!……くそっ!自分がもっと!もっともっと早ければっ!」 ガンッ! 「ラスター……気に病む必要は無い。どの道発見した時点で既に手遅れだったのだ。無駄足を踏ませて済まない」 「……冷たいようだが、終わってしまった結果を嘆いても仕方無い。それよりも今は前へと進む事こそが重要だ。 ……ラスター。あれをカリンに見せてくれないか?」 「……自身の不甲斐無さに打ち拉がれてしまいますね。本当に……無力だ。でも、確かに今は嘆いている時ではありません! 隊長!これを孤児院から少し離れた場所で発見しました。アーサさんが愛用していた狙撃銃です!」 パシッ 「確かに……これはアーサの銃だな。何故こんな辺境に彼女の銃が……?」 「恐らくは彼女も何らかの形でこの騒動に巻き込まれていると邪推します!」 「ねーさん!」 「Oui.もうやってるわ。……と、アーサ殿の姿を確認。どうやら無事の様です。プロジェクター用意出来ますか?映像送ります」 「御意。5秒以内に本部から持ってきます」 タッ! ~ ~~~~ 「~~!~~~?~~~!」 「何やら談笑してる様ですね?あの相手方の恰幅の良いおじさん……隊長は知ってますか?」 「……いや。ケイト、音声は拾えるか?」 「Oui.今、音声デバイスを向かわせています。あともう少しでとうちゃ……」 ~~~ ~~~~~ 「~~~~?~~!~~………て……ザザ……るな!」 ズドン! ~~ ~~~~ ザーザーザー………… 「映像が途切れた!?」 「何があったの?!ねーさん?!」 「……やられた。”アンドレアル”が感知されて、彼女の”魔砲 ダンタリオン”に撃ち抜かれた……。 ロザリィ……座標はxxxx/xxxxよ。今の彼女は得体が知れない……気をつけなさいね」 「うそっ!ねーさん!ねーさん!!!!」 「大丈夫だ!見た目ほど酷い怪我じゃない!角膜を上手く逸れる様に傷が付いているから半日もあれば視力も回復する! ただ、このままではマズイ!緊急手術を行う!ラスター!手近な滅菌施設へ!」 「御意!飛ばしますよ!」 ダッ! 「ロザリィ……姉が心配だと思うが今は……」 「はい!大丈夫です!超一流の医療技術を持っているワンダちゃんが大丈夫って言ってるんですから!信じて待ってます! 今は……アーサさんの動向を探るのが先決です。そうじゃないと、ねーさんの怪我も無駄になっちゃうから……! 座標はxxxx/xxxx!アーサさんの思考に潜入します!」 ~~ ~~~~~ ザザッ……ザッ………… (アーサさん……何でねーさんを……ううん!きっと間違いです!アーサさんの近くに敵がいてそれで……) 「…………て……るんだろ?」 (ん。上手く繋がったかな?どれどれ……) 「……るんだろ!ルズリハ!聞いているんだろう?カットレイスの”アンドレアル”があったって事は、お前の”バルバトス”も私へアクセスしてきている筈だ! まぁいい……聞いている前提で話させて貰うぞ。 孤児院を襲撃したのは私だ!それに伴って君たち共和国……いや、SS小隊に宣戦布告をするとしよう!かかってくるがいい!」 「嘘です!何で……何でそんな!!アーサさんがあんな……!あんな事出来る筈……いや、許す筈ありません!!!!誰よりも仁と義を重んじる方じゃないですか!?」 「……やはり来ていたかルズリハ。買い被り過ぎだ……私は自身を正義と名乗った事なぞ一度も無い。 ……ただ自身が自身である為に理想を追い求めているだけに過ぎん。前大戦ではそれがたまたま結果的に善行になっただけさ」 「でも……!それでも手段は選ぶ人の筈です!何で……!何であんな事を答えて下さい!」 「……カットレイスに言われなかったか?”なんでなんで”と聞くのでは無く自身で考えろ。君は甘え過ぎだ。 ……私の真意なぞ、君の能力で私の深層心理まで潜り込めばすぐ判るだろう?」 「もう見ています!それで……その上で聞いているんです!貴女の選んだその道は…………!」 「……ああ。解っている。覚悟の上だ。さっきも言っただろう?自身を貫いてそれで倒れるならば本望さ。 ……これからはもう……道が交わる事も……並んで歩む事も無い。……それでも、選んだ答えに悔いは無い」 「……ごめんなさい。私……私は……!」 「おいおい。何故、謝る必要があるんだ?私は……君の姉を傷付けた敵の一人に過ぎないんだぞ?」 「それでも……それでも謝りたいんです!伝えたいんです! アーサ分隊長!私は!貴女の事を尊敬していました!もう二度と肩を並べる事が無くても!闘うべき相手になったとしても!これだけは偽れない本当の気持ちです! 自分にだけは……絶対に嘘は吐きたくないから…………!」 「……ふふ。私は君の様なまっすぐな部下を持つ事が出来て幸運だったよ。……本当にとことん不器用だな。君は」 「えへへ、お互い様です!」 続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011年01月16日 22時26分23秒
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